その69
ゆっくりクリープ状態のまま、
様子を伺っていると、
視界が晴れて、諸島の一室に変わる。
慌てずブレーキを掛け、待つこと
しばし。
セムジュがスチロールの箱を抱えて
現れた。
タウンエ○スから砂糖(30キロ)を下ろし、代わりに調理器具を積込む。
こちらの世界、上白糖でないが、
砂糖45gで銀貨1枚。
業務用サイズを村に持ち込んで
他の町々に知れたら騒ぎになる。
いずれは格安で販売するつもりだが、
「現時点での取引は、混乱を招く」
と意見が一致して取り止めた。
タッパーで少しだけ持っていくことにしよう。
スチロールを置き、セムジュは
スクーターの動作を確認している。
雨だと中止するが、
今回は石塔のある中間点を調査する
のがメインだ。
流石のセムジュも覚えはないらしく、
「扉」の設置は無理とのこと。
ガーディアンに抱えられて、空から
というのもあるが、スクーターの
実用状況を探るのもある。
行程は片道約18キロ。
往復でもバッテリー3本で余る距離
だが、せっかく4本あるんだし、
持っていくとするか。
再度積み荷を確認する。
セムジュが「赤い扉」を
クルマ用に調整してくれた。
タウンエ○スが前を行き、セムジュの
スクーターがそれを追う。
モヤを抜け、ギシギシ、と控室の床板
が軋む。
ふう、何とか入れたようだ。
積み荷が嵩むと抜けるかもしれない。
考えがおよんでいると、スクーターが
横ずけされた。
クルマのライトもあり、控室は明かる
く照らされ、荷下ろしはスムーズに
行われた。
.......
.....
仕事帰りで困憊し、日が差すまで
休憩の予定だったが、
こちらに気付いたガーディアンの報告で一変した。
スール氏を連れ戻す名目で、
武装した一団が隣町までやってきた。
今日にも村へやって来るだろうと。
「スール氏は教会商人を正式に引責
辞任したハズです。
おそらく、教会から依頼された傭兵
ギルドの者でしょう。
強引にでも連れ戻して、再指名する
つもりかと。」
「辞任した者を「再指名」って、
正しいやり方なの? 」
「いえ、本人自ら志願する形を
取るかと。
その為にも、先ずは連れ戻すことを
最優先にしているのでしょう 」
「正式でない。ということは追い払
っても、問題はないんだね? 」
「傭兵ギルドを追い払う技量があれば
の話ですが 」
「出来そう? 」
「スール氏を村へ招聘したのは私です
あのまま教会商人を続けて、
意に沿わぬ取引をさせるより、
懺悔も兼ね、村の発展を商人の
遣り甲斐としてはどうかと、
挑ませた責任は果たしましょう 」
「そうか....
でも村まで待っていたら迷惑が掛か
るし、
目的だった石塔がある辺りで
対処するのでどう? 」
セムジュが頷く。
あとは別動隊があったとしての
対処だな。
ガーディアンに先導してもらい、
村長宅へ向かった。




