その67
「ふぅ~ぅ、気持ちいぃ~ぃ 」
銭湯の湯船で声が漏れた。
やはり、シャワーやアツシボで身体を拭くのとは大違いだ。
おばちゃん&村長に昼メシだった
ジャガバタを毟られ、お酒も
献上させられた。
ビールも開けられ、意気消沈した
セムジュに
「早目に戻って、ビアガーデンでも
行く? 」
と尋ねると、
「そうですな。喜んでお供しましょう
ささ、何でもお手伝いしますぞ 」
素早い変わり身に唖然としたが
喜んで貰えて幸いだ。
出来上がった2人をガーディアンに
託し、控室へ。
「赤い扉」で諸島に移動。
ガス台や調理器具を置いて、
「黒の扉」を出してもらう。
くぐる前に
「ビアガーデンには時間が早いから
銭湯へ行くよ。
缶ビールで待ってて頂戴 」
スチロールの箱を抱えたセムジュは
「どうぞ、どうぞ 」と
送り出してくれた。
......
....
「じゃ、改めて、乾杯 」 チン。
銭湯から戻り、駅周辺のビアガーデン
に陣取った。
生ビールとコーラ(運転手なので)で
一息付いた。
セムジュは綻んだ顔をしたまま、
「時間はかかりましたが、
村も落ち着きをみせましたし、
「扉」の継承も近いですな。
そう思うと、この「生ビール」も
飲み納めになりますか。むう...
いえ、私は神に支える立場、
此くらいで落ち込んでいては
なりませんな。 」
そう言ってるわりには、大ジョッキを
飲み干し、お代わりを頼んでいた。
うーん、継承したらあの倉庫を
1人で切り盛りするのか。
大変だなぁ。
秘密はバラさんほうが良さそうだし、
従業員も雇い辛いなぁ。
等と暗にくれていると、
「悩むのはあなたらしくありませんな
「導きのカゼ」を宿していますし、
山崎商事の人達やウチダ機械の
会長さん等、
立派な仲間がいるではありませんか
私から見れば贅沢に映りますぞ 」
そうか、
オレらしくないか.........
......
そうだね、カラ元気でもいいから
前を向いていくか。
んん、
思案に暮れている間に、
一杯毎に片付ける店じゃないのか、
台の上は空いたジョッキだらけだ。
しかも3杯ずつ注文がきている。
マジで「飲み納め」するつもりだな。
......
1時間後、
大ジョッキ30杯以上は飲み干した
セムジュに、店から
「またのご来店を」
とは聞こえてこなかった。




