その66
新年、
明けましておめでとうございます。
控室
昼メシをジャガバタにしようと
蒸している最中、
ガーディアンが来客を告げる。
火を止め、礼拝堂に向かう廊下で2人に出くわす。
村長とおばちゃんだった。
「ヤスオ、お前が焚き付けたんか?
村長を商人にすると。
数十年前にも打診があったが、
わしゃ固辞した身じゃ。
それに130過ぎた老いぼれに、
まだ働かせようとするんか?
こういう事は若い者が... 」
「おばちゃんよ、自分で言ったじゃ
ないか。
変わるのは今だと。
あんたが一番村を憂いている。
それは周りが良く知っているし、
村長には役目が重すぎたのさ。
各々に相応しい役目をこなすのが
自然だと思うぞ。
固辞したツケが回ってきたんだ、
大人しくやりな。
取り巻きの件も解決したし、
村が良い方向に回るまでは、最低限
面倒はみるつもりさ。 」
「今更....
例え村長になったとしても....
30年も続かんぞ..... 」
「ハハッ、
30年も勤めれるのか、凄いな。
オレは人種が違うからさ、
今と変わらず、現役で動けるのは
精々20年位なもんさ。
ま、やってくれる気になったんだ。
次来た時はドカンと就任祝いだな。
めでたし、めでたし。 」
「く、まだやるとは言って... 」
「先生! 」
村長が座り込む。
「この人が言ったみたいに、これ以上
自分じゃ無理です。
妻を死に追いやった自分が許せず、
贖罪するつもりで村長を続けたが
人の離散は止まらず、
村は悪くなるばかりだ。
オレは...
オレは悔しいが、村長の器じゃない
先生に教わって、他の誰よりも
読み書きは出来た。
それでいい気になって村長を継いだ
熱意もないのに。
薄々は分かっていたが、認めたくは
なかったんだ。
でも今なら素直に言える。
先生、お願いします。
村長を継いで下さい。 」
ほぼ土下座に近い状態で、村長が
懇願している。
おばちゃんは目線を上に向け、
しばし眼を閉じた。
「分かった、分かったから身体を
起こせ。
ハア、わしが村長など....
.....
...
どうなっても知らんぞ。 」
パチパチと手を叩いて
「話が纏まって良かった。
続きはスール氏や村長の親御さんが
きてからだな。
じゃ、オレは昼メシが待ってるから
失礼するよ。 」
踵を返し、控室へ向か...
ガシィ、と肩をつかまれた。
「ククッ、
就任の前祝いといこうかの。
ほれ、酒もあるんじゃろ、出さんか
村長、お前も食ってけ。
コイツのメシは旨いぞ 」
いつものおばちゃんがそこにいた。




