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64/145

その64

おばちゃんが帰ったあたりから

夕暮れになり、一先ず教会の奥へ

引っ込んだ。

報告しに来たガーディアンにお使いを

頼み、もう1人には石塔の様子を

見張ってもらった。

セムジュは入口のある礼拝堂で見張りをしてくれている。


スール氏も近いうちに村を訪れる。

この村の未来を語るのは

それからとして、村長の親御さんに

働いてもらう店をかまえないと。


台や棚とか手持ち金庫もいるかな?

多少のDIYが出来るよう、

工具も必要か。

纏めようとしているのに、することが

拡がる一方だ。

デキる人ならパパッとするんだろうが

自分には無理だな。

精々人の期待を裏切らないよう

頑張るとしよう。


翌朝


またしてもミネラルウォーターで

身繕い。

礼拝堂に行くと、セムジュが


「頼まれていた薬が届きました 」


と言ってきた。ガーディアンに

頼んだお使いの1つがこれ。

目薬位の大きさで素焼の瓶?

瓶口には葉っぱでフタをして、

そこに石をねじ込んで栓にしてある。

にわかには信じがたいが、

これが回復薬か。

鼻を近付けて臭いを嗅いだり、

瓶の様子を触って確認していると、


「あの、本当によろしいので? 」


諺でいう「泥棒に追い銭を...」

みたいに感じたのだろう。

セムジュが怪訝な顔をしていた。

気持ちはわからんでもない。


「物で円満に解決できるなら、

それに越したことはない。

拗れたら、人をみる眼が無かった

ということだけ。

やるだけやってみるよ 」


その最中

「ドンドン」と引き戸が叩かれた。


「彼ら(取り巻き)でしょう。

私が昨日、教会に訪れるよう

言っておきましたので 」


セムジュは応対するため、棒を外し、引き戸を開けた。

立っていたのはリーダー格の男。

後ろには、10人位が控えていた。


「中へどうぞ 」

と言うや頷き、進んできた。

パイプ椅子をあてがい、お互いに座る


「皆の代表として参った。

昨日の話に相違はないかと。 」


「勿論です。

それとは別に、村からの餞別として

1人に1つ、回復薬もつけます。

道中の御守りとして下さい 」


今度は男の方が怪訝な顔をする。


「人質を取ろうとした者に

高額の金銭だけでなく、薬まで。

そうまでして追い出す訳を

聞かせて頂きたい。

何故です? 」


顎に手を宛て考える。

金でホイホイ動くより、その裏を

感じとったということか。

ここは正直が一番だな。


「後腐れがないようにしたかった。

その理由では引き下がらんでしょう

しいて云うなら、働き方改革かな。


これからも見回りや害獣の駆除は

必要です。 ですが

今後は商人の護衛、輸送の手伝い、

詰所当番等、今までの仕事を誇りに

していたら、これらは成し得ないと

思いまして。

この村の先を見据え、あなた方に

無理強いをしない為、円満な解決を

はかった。

この答えでどうでしょう? 」


男が腕を組んで考え込んだ。

しばしの後


「商人は我々と違い、裏をかいてくる

だが先程の答弁は正直さを感じた

守護者もいるし、嘘ではないの

だろう。

村長に付く21人の内、

私を含め、ここに来た12人は

元ガイザールの戦士団だ。

我らは敗残兵だったが、

村長に誘われ、この地にやって来た

長年、それなりに世話にはなった


あなたがこの村を見捨てないのなら

我々は命を掛けて働く所存だ。

だが他の9人は違う。

村から解放してくれ。 」


想像していた展開とは違ったが、

取り敢えず頷く。

9人減なら村の維持は可能だし。


「そうそう、後できっちり

おばちゃんに詫びをいれといて。

次の村長の予定だから。

頼んだよ 」


男が頷くと、後ろに向かって手を

かざす。

残りの男達がぞろぞろ入ってきた。

皆が膝つき、


「村長が退任次第、

我々はあなたの命に従います 」


エエェーーーーー、

めっちゃ重いんですけど。

どうしよう......


セムジュをみると

「私にもわかりません」

みたいな表情だった。

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