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59/145

その59

まとめ役Bが語り出す。


「あいつの集落には川がないからな、

井戸だけでは畑が難しく、昔から

狩りを生計にしている。

人が減ると女、年寄りにお守りが

まわらん。

必然と村に頼るしかなかったのさ」


今度はCが言う


「オレらには、井戸以外の水源が

あったが、

農業の知識が乏しく、出荷する程

こさえられんかった。

サンザ村に教えを乞えば流れが

変わっただろう、だが

前の村長は気位だけ高い奴で、

頑として認めなかった。

その結果、町等に人が流れて

集落におちたのさ。

ま、いつまで続くかわからんが、

細々とやってるよ。 」


淡々と語っていたが、3つの集落全て限界集落なんだろう。

移民をすれば更に詰むだろうし、

お願いしにくいなぁ。


Cは続ける

「あの話が本当なら、うちら全員

村に移るぞ。

その方が今より良い生活が出来るし

オレの判断に横槍は入れさせん 」


「あの話?」と疑問をただすと

どうやら調理中におばちゃんとしていた雑談を聞いていたようだ。


「で、どうなんだい。

塩は1ポンド(450g)あたり、

幾らで卸してくれる? 」


確か並塩だと20kgで1500円

だったか。

醤油を300mlで銀端1枚だし、

あのタッパーなら丁度1ポンド位

入りそうだな。 よし、


「村人になってくれたら、

1ポンド辺り雑貨4枚だな 」


「「ブフッーーーゥ」」

まとめ役B、Cは揃って噴き出した。


「わ、悪いが今日のところはこれで

失礼するよ 」

「お、俺もそう、失礼 」


2人とも踵を返し、小走りで去っていった。


アレ、高過ぎたか?

おばちゃんを見ると、

「ヤスオはここいらの相場を知らんの

だったな。

村長の親父が仕入てくるのは

1ポンド辺り銀貨1枚じゃ。

あやつらは銀端1枚でも動いたハズ

それを雑貨4枚じゃから

腰を抜かす程驚いたんじゃ。

集落に帰れば大波乱になるかもの」


蚊帳の外にいた殴られ男、

最初は唖然としていたが、

「雑貨4枚だとぉ、おい、売ってくれ

1ポンドじゃなく、10ポンド、

いや100ポンド売ってくれ 」


おばちゃんが割って入る

「相変わらず馬鹿じゃの、先程の会話

を聞いとらんのか。

「村人であれば」と、つまり「他所に

は取引せん」ということじゃ 」


「くそぉぉぉ..」

ガックリと項垂れた殴られ男、

後ろから集落の男達が寄ってきた。

「村に親がいるから

オレ達は村人になってもい...


「待て、待て、逸るな。

良く考えてからにするんだ。

今結論を急がなくてもいいはずだ。

一度集落に戻ってから、ゆっくり

皆で考えよう。な、帰るぞ。 」


殴られ男を先頭に、

こちらはゆっくりと歩いてゆく。

それを見ていて、ふとダメ押しが浮かんだ。

「そうそう、サンザ村なら他の集落

を頼らずとも海の魚が食えるぞ 」


ピタリと歩みが止まった。

「馬鹿野郎、

余計なコトを言うんじゃねえ 」


怒られてしまった。

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