その59
まとめ役Bが語り出す。
「あいつの集落には川がないからな、
井戸だけでは畑が難しく、昔から
狩りを生計にしている。
人が減ると女、年寄りにお守りが
まわらん。
必然と村に頼るしかなかったのさ」
今度はCが言う
「オレらには、井戸以外の水源が
あったが、
農業の知識が乏しく、出荷する程
こさえられんかった。
サンザ村に教えを乞えば流れが
変わっただろう、だが
前の村長は気位だけ高い奴で、
頑として認めなかった。
その結果、町等に人が流れて
集落におちたのさ。
ま、いつまで続くかわからんが、
細々とやってるよ。 」
淡々と語っていたが、3つの集落全て限界集落なんだろう。
移民をすれば更に詰むだろうし、
お願いしにくいなぁ。
Cは続ける
「あの話が本当なら、うちら全員
村に移るぞ。
その方が今より良い生活が出来るし
オレの判断に横槍は入れさせん 」
「あの話?」と疑問をただすと
どうやら調理中におばちゃんとしていた雑談を聞いていたようだ。
「で、どうなんだい。
塩は1ポンド(450g)あたり、
幾らで卸してくれる? 」
確か並塩だと20kgで1500円
だったか。
醤油を300mlで銀端1枚だし、
あのタッパーなら丁度1ポンド位
入りそうだな。 よし、
「村人になってくれたら、
1ポンド辺り雑貨4枚だな 」
「「ブフッーーーゥ」」
まとめ役B、Cは揃って噴き出した。
「わ、悪いが今日のところはこれで
失礼するよ 」
「お、俺もそう、失礼 」
2人とも踵を返し、小走りで去っていった。
アレ、高過ぎたか?
おばちゃんを見ると、
「ヤスオはここいらの相場を知らんの
だったな。
村長の親父が仕入てくるのは
1ポンド辺り銀貨1枚じゃ。
あやつらは銀端1枚でも動いたハズ
それを雑貨4枚じゃから
腰を抜かす程驚いたんじゃ。
集落に帰れば大波乱になるかもの」
蚊帳の外にいた殴られ男、
最初は唖然としていたが、
「雑貨4枚だとぉ、おい、売ってくれ
1ポンドじゃなく、10ポンド、
いや100ポンド売ってくれ 」
おばちゃんが割って入る
「相変わらず馬鹿じゃの、先程の会話
を聞いとらんのか。
「村人であれば」と、つまり「他所に
は取引せん」ということじゃ 」
「くそぉぉぉ..」
ガックリと項垂れた殴られ男、
後ろから集落の男達が寄ってきた。
「村に親がいるから
オレ達は村人になってもい...
「待て、待て、逸るな。
良く考えてからにするんだ。
今結論を急がなくてもいいはずだ。
一度集落に戻ってから、ゆっくり
皆で考えよう。な、帰るぞ。 」
殴られ男を先頭に、
こちらはゆっくりと歩いてゆく。
それを見ていて、ふとダメ押しが浮かんだ。
「そうそう、サンザ村なら他の集落
を頼らずとも海の魚が食えるぞ 」
ピタリと歩みが止まった。
「馬鹿野郎、
余計なコトを言うんじゃねえ 」
怒られてしまった。




