その52
「あー、無精髭になってるなぁ」
とりあえず顔を洗って鏡を見た感想だ
手洗い用のペーパーで顔を拭く。
うがいをしてから消臭スプレー、
最低限の身だしなみをして会長にまみえる。
「あう、おはようさん。
て、なんだ、徹夜か?
仕事は分かるが、程々にしとけよ。
身体が資本なんだ、倒れたら
意味がないぞ。 」
無理難題を頼む子息の友人だが
身内のように心配してくれる、
ホントありがたい。
(珠に迷惑なときもあるけど)
今日は倉庫に設置する業務用冷蔵庫や
冷凍ストッカーを納める為、
寸法を計りにきたらしい。
あれ、それはウッチーに頼んだけど
「???」な顔をしていると、
会長が
「検算室で、ウチの奴が腕組んで
悩んどった。
オレを見たら慌ててメモ書きもって
逃げだしたんだ。
何かあると思ってな。
周りのもんで取り押さえて紙を
分盗ったんだ。そしたらまた面白い
コトが書いてあった。
会社にTELしたら昨日、今日は
休みだと聞いたんでな。
満を持して、今日きたワケだ 」
ニヤっと、年甲斐のない笑みを浮かべてくる。
「あんまり会長を頼ると有希子さんに
睨まれて怖いんですけど 」
と言うと、
「おおよ、ワシも怖い 」
て親でしょうが、会長!!
「いやぁ、あいつも段々と歳を重ねて
死んだカミさんに似てきてな、
怒ったときの顔が、カミさんを
思い出してブルっちまう 」
本人には聞かせられないな。コレ。
まあそれとして、来て頂いたからには
と、設置場所を案内する。
ダメ元で業務用エアコンもお願いすると、親指をグッと突き立てた。
セムジュに会長の相手をお願いして、
急いで自宅に戻り、
シャワーや着替えを済ませてきた。
冷蔵庫の本体以外にも、電源部や
ドレン用の下水口、室外機までの配管等を計測してくれたようだ。
「既製品でも、今からの手配だから
しばらくはかかるぞ。
しょうがないと諦めてくれ。
よし、次は面白いほうの話を詰める
か 」
椅子に座り、ポケットからクシャクシャになったメモ書きを出して、
嬉しそうに寄ってきた。




