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38/145

その38

セムジュの顔がギョっとなる。

まさか、でも、みたいな感じだ。


「普通、他人のお金を流用した、つま

り盗んだりしたら、助祭の追放は妥

当なのかな?

前に言ってた「強制労働刑」になる

んじゃないの?

何だかぬるくないかい?


実は教会自体、特にその司祭が主犯

の可能性もあるんじゃないかな。

トカゲの尻尾切りみたいにしてさ。

妾の話も、特にそうすれば信じやす

くなるだろうし、

ホトボリがすんだら、次の助祭が命

令されて、またあるかもね。


まあ上の立場の人から監督不行届き

の注意がくるだけで、事実上は

司祭にはお咎めなしに近い。

要、経過観察だったりして。ハハ」


と言ったらこの感じになった。

不味かったかな?

でも有り得る事だし、そう簡単に

うまい話は手放さないと思う。


セムジュは、自分が踊らされた感に

苛まれているようだ。


「ええと、あくまで、そんな気がした

だけだから。

取り敢えず中抜きは別として、

こっちの世界で「問屋」という

物流方法に着眼したのはよいこと

じゃないの? 」


一応、フォローはしておく。

すると、悔しさの表情のまま、

セムジュはこう答えた。


「問屋」の仕組みはこちらにもござい

ます。商業ギルドがその任を司どっ

ておりますので 」


あっ、やっぱりあったんだ、失礼。


「私が腹に据えかねているのは...」


どうやらセムジュが怒っていた訳を勘違いしていた。

ギルドだと市場と店舗貸出料で1ヶ月に銀貨3枚。利益の1割をとられる。


だがサンザ村のような、小さな村から売りに来る者は月に1、2度しか

市場に用がない。

村に益をもたらすため、教会の露店販売に活路を求めたが、買い叩かれ、

無下にされた。

教会はわざと見過し、利益をむさぼり

救おうとはしなかった。

加えての中抜きである。


元司祭とか、教会関係者だったんだろな。セムジュは。

話す方向を修正していこう。


「お怒りはごもっともなんだけど、

さっき言ったのはあくまで仮の話だ

し、

もしそうだったとしても、ホトボリ

がすんで再び動き出すまで待つしか

ないよ 」


「そうですな」とセムジュが冷静になったところで、


「その話はそれとして、良いほうの話

はなんだったの? 」


「良いほうの話は、教庁にサンザ村の

教会を再興し、助祭を派遣する議題

が申請されたことです 」


エッ、それだけ?

悪いほうが重すぎたので、

拍子抜けした。

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