その31
助祭らしき人物が近寄ってくる。
「まあ気を落とさずに、よろしければ
当教会の御用商人に相談されては」
セムジュとのやり取りで、葉物の品質
は信頼を得たようだ。
渡りに船だと思っていたが、フワッと「カゼ」を感じた。
助祭の話に、ナニか裏があるということか。
別段、普通だったと思うが。
あるとすれば、...ナニかが違うか、
誘導しているとか、そんなトコか。
....
...あっ、ウソをついてる可能性か。
嘘をついてナニか得する?
教会か?...いや助祭がか!!
どういうことだろう? うーん。
「考え込まれているようですが、
いかがされました?
気分が優れないようでしたら、
横になられますか? 」
話してくる限りでは聖職者だよな。
ハテ? どうしたものか。
「嘘」と考えられる部分はあそこだろうし、誤魔化しきれる自信があるんだろうな。...
こちらも時間稼ぎしておこう。
「お気遣い有り難うございます。
ただ探そうとしていた人物が不在と
わかり、意気消沈していた
ところです。どの町に転属されか、
ご存知ありませんか? 」
「はて、そこまでは。ただこの街の
監督庁に赴けば、2~3日で調べて
もらえるかと。 」
2~3日か。...ちょうど葉物の期限
だな。....
···あっ、そうか、そういうことか。
ということは、教会全体か助祭が悪どいということか。 よし。
「御厚意に甘えさせて頂けるなら、
御用商人にお取りつぎをお願いした
いのですが 」
「ええ、かまいませんとも。礼拝が
終わり次第、呼んでまいります 」
助祭が消え、簡易な椅子に座って
待つことしばし、
コンコンとノックが聞こえてから
助祭がもう1人連れて戻ってきた。
ガーディアンを見て一瞬ひるんだが
すぐに身を持直してきた。
「お待たせしました。こちらが「教会
商人」のスール殿です。では 」
一礼して助祭は部屋を後にする。
紹介された当人も胸に手を当て、深く
頭を下げてきた。
(成る程。これくらいが挨拶な感じか)
「教会商人のスールです。火急の取引
と伺いました。早速ですが品を拝見
してもよろしいですかな? 」
「サンザ村と交易をしております、
ヤスオと申します。御厚意ありがた
く、早速ですがこちらになります 」
こちらも一礼を真似して、葉物の入った籠を渡す。
スールは手袋をして、葉物の鑑定に入った。 2分程で終わった感じだ。
「サンザ村から持ち運んだとしたら
鮮度はかなり良好ですな。出来には
若干のバラつきがありますが。
評価的に見て、7束で雑貨1枚が
妥当かと 」
この世界でも「交渉」しろってことか。
まあ通じるだけやってみるか、
なめんなよ。
「そうですか。その価格の場合、別に
に運送料をいただけるということで
すかな? 」
「はは、ご冗談を」と返してきたので
「こちらも冗談でかえしたまでです。
では帰りますか。セムジュさん 」
そう言って席を立つ。籠を抱えて出る
素振りをする。
「お待ちください。少々イタズラが過
ぎたようで、申し訳ありません。
どうか席にお戻りください 」
扉の前に立ち、行く手を遮ってから
深く頭を下げてきた。
よし、まずは先手をとった。




