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その29

段々と夜のとばりがおりてくる


おばちゃんにほうれん草もとい、葉物

について尋ねてみる。芋と比べると

どうしても足がはやいからだ。


「町からこの村まで、街道がないのは

知っておろう。これには訳がある。

中間地点から分かれて集落が3つあ

るんじゃ。集落のもんは税を納め

んでもいい代わりに、街道を通行

することはできん。

更に町や村に入ることも叶わん。


本来ならこの村とも交流が出来んの

じゃが、接触する方法はある。

朝、村の入口付近に「赤旗」を立て

られる。中天頃に村人が外へ出て、

物々交換するんじゃ。

そこにあの葉物は人気があっての、

塩や毛皮と交換するんじゃ。


この付近の集落も、果ては海の近く

の集落とまで繋がっており、干し魚

や塩を交換するときいておる。

元はそれぞれ村だったんじゃがの」


規模を下回ると、この村もいずれは

集落に堕ちるよ。


と当たり前の様にのたまうおばちゃん

めっちゃ重たいです。

(聞いたオレが悪かったケド)


塩はわかるが、他に砂糖か香辛料が

あるか尋ねてみると、

赤砂糖(てんさい糖?)みたいな物や青唐(唐辛子?)は存在する模様。


赤砂糖は特に貴重らしく、病で弱った

時のクスリ的なものらしい。

まあ江戸時代みたいなものか。


先程、籠数個分の葉物と芋を買ったが

アレでも生産量の1割程度らしい。

食糧事情は良好そうだな。


話しながら紹介状を書き終えた

おばちゃんは 「そろそろ行くわ」

と扉に向かったので、ガーディアンに

蛍光灯を持たせて送ってあげた。

最初は遠慮していたが、

蛍光灯の価値を知りたくなったのか、素直に同行して行った。


セムジュに葉物の鮮度を聞くと

「日に当てないようにして、かつ湿ら

せれば3、4日ですかな 」


ヤバイな、日付が変わったらおいとまの予定だったんだが、.....

....

...

仕方がない、恨まれ役になるか。

「赤色の扉」と違い、「漆黒の扉」は

膨大なエネルギーを消費する為か、

1分程で強制的に閉じてしまう。

セムジュに「作戦?」を伝える。




時刻は朝7時頃

「行ってらっしゃいませ」

「漆黒の扉」が開かれる。

モヤに向かってダッシュする。

倉庫の事務室?に着く。

自分の鞄からスマホを取り出し、発信

....

「おはようございます、どう..」


「おはよう、荒井君。実は今日、会社

に行けない。代わりに外回りしてく

れ。頼んだ 」


「エッ、ちょっ..」


「スマン、頼んだ 」ピッ

台にスマホを置いて、またダッシュ。

モヤを抜け、セムジュがみえてきた。


セーフ


「お帰りなさいませ」

セムジュの言葉に、タメ息と息切れを

ついた。

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