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温泉卓ゲ部の奇妙な日常  作者: 宵宮祀花
STORYⅠ◆沼への入口
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二度目の自己紹介

「では、キャラクターの紹介を千景から時計回りで回してください」


 静が言うと、千景が僅かに姿勢を正して前を向いた。演技に携わる者として、遊戯のあいだでも正しい発声をしようと体が勝手に動くようだ。


「ok、僕のPCはフレイ。今回風月ちゃんたちの班で教官を務めることになったよ。試験合格を目指して一緒にがんばろうね」

「フレイは作成時点で出目が鬼だったから、何でも出来るんだよな。頼りにして良いぜ」

「奇跡を使い果たした気がしなくもないけどね」


 照れ笑いを浮かべながら、千景が隣を見る。横目で千景と視線が合った風祢は、もったいつけて一つ咳払いをすると、良く通る声でキャラクター紹介を始めた。


「俺のPCはナーガ。体の値が最大値出たんで、物理特化で作ってあるぜ。その代わり知の技能は悲惨だったから、調査は期待すんな! 以上!」

「いっそ清々しいくらい潔いよね」

「千景に引き続き、ただの本人ですね」

「うっせえよ」


 笑いながら、風祢が巴に悪態を返す。巴も「間違ったことは言っていません」としれっと返し、更になにか言われる前にと自分のキャラクター紹介に移った。


「私のPCはサマエルといいます。補佐官として風月さんたちの試験に同席しますので、よろしくお願いしますね」

「はい、よろしくお願いします」


 男性PL陣の紹介が終わったところで、静が傍らのキャリーからクリアファイルを取り出した。中には数枚の紙が入っており、それらを今し方紹介を終えた面々の前に並べていく。

 風月が目をやると、それはB5のコピー用紙に出力したキャラクターの立ち絵だった。しかも、風月にとって見覚えのある絵柄の。


「あの……その絵ってもしかして……」

「うん。羽月ちゃんに依頼して描いてもらった、僕たちのPCの立ち絵だよ」

「やっぱり。見たことある絵だと思ったんです」


 千景のPCフレイは、金髪碧眼で穏やかな微笑を湛えた、まさしく絵本のような王子様。風祢のPCナーガは、褐色肌に銀の髪に獣の虹彩をした金の瞳と、顔の左半分に刺青が入ったワイルドな容姿。巴のPCサマエルは白の長髪を項で一纏めにし、薄紫の瞳を持った儚げな美人。

 声優として仕事をするようになってから遠ざかっているとはいえ、元壁サークルの羽月の画力は全く衰えていないどころか、〆切を離れ気儘に描いているいまのほうが輝いて見えるほどだ。


「次は私ね。サマリーにある通り、私のPCはカラヴィンカよ。風月のPCと同じ見習いで、技と体が高かったから戦闘と調査にバランス良く振ったわ」

「頼もしいよ。羽月のキャラはイラストないの?」

「ちゃんと持ってきたわ。どういう子にするかは考えてあったから」


 羽月もショルダーバッグからクリアファイルを取り出し、彼らの立ち絵と同じ構図で描いた絵を机に置く。羽月のPCは薄桃色とクリーム色のツインテールにピンクの瞳と、全体的にピンク色と薄紫や水色で纏めた、所謂『ゆめかわ』ファッションの少女だ。


「わ、凄い。……ていうかこれ、大学のミスコンでヤケクソ登録したときの格好じゃない?」

「ふふふ。そうよ。最近こんな感じの格好をしたアイドルの役をもらったから、記念に作ったの。さ、次は風月の番よ」

「うん」


 羽月に頷くと背筋を伸ばし、一つ息を吸ってから口を開く。


「わたしのキャラは、ルーナです。羽月の子と同じ見習いで、技と体が少しだけ高めになったので補助と戦闘を中心に取りました。よろしくお願いします」

「よろしく」


 全員の紹介が終わったところで、さて、と静が切り替えるように言い、全員をぐるりと見回すと一つ息を吸った。


「では、CODE:eシナリオ『最終試験』開始致しましょう」

「よろしくお願いします」


 静の開始を告げる言葉に続いて、風月を含めたメンバーが声を揃える。

 風月の初めてとなる、物語の幕が上がった。

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