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異世界BAR 月に吠える  作者: しゅーる君


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メッセージ

クロウ・エンフォートの最後の記憶。


気を失えば、そこから先に起こった出来事は読み解く事が出来ない。

人の記憶を探る能力にらばここで終わりなのだが、

俺の能力(スキル)はそれだけじゃない。

クロウ・エンフォートの身体に残存している魔素(マナ)から、

それから起こった情報を探る事が出来る。

ダンダリオンと対峙した時と同じだ。

まぁ、直接人が視た記憶に比べれば不鮮明となるが、

その後何が起こったのかくらいは把握する事が出来る。


この人型の何かは、

動かなくなったクロウ・エンフォートを無造作に投げ捨てる。

肉片の山に四肢を肉下彼のカラダが打ち付けられた。

月に向かって放たれる悍(おぞ)ましい咆哮。

人型の何かはその存在を誰に誇示しているのだろう。


その時だ。


人型の何かのカラダが空を舞う。

それは自らの意思で飛んだのではない。

誰かから蹴り飛ばされたかの様にぶっとんだ。


・・・月明かりに照らされたのは、

白い獣人のようだ。

出ているところが出ているという事は女性か。

白く長い髪は銀色に輝いても見える。


そして人型の何かが飛ばされた先では、

地面に衝突すると思われる瞬間、

人型の何かは弾け飛んだ。


弾け飛んだ先には、

ひとりの男が歩いていた。

事に指しているのは刀のようだ。

日本刀にみられる反りがある。

みたところ30代から40代の壮年の男性だ。

弾け飛んだように見えた人型の何かは、

この男によって切り刻まれたのだろうか。


人型の何かはダンダリオンより強力な魔素(マナ)を纏っていた。

そして未だ感じたことのない殺気(さっき)。

あれが捕食者の絶対的支配力だという事がわかる。

それを蹴り飛ばし、瞬殺できるこの二人は何者だろう。


二人が立ち話をしていると、

獣人が肉片の山からクロウ・エンフォートの生体反応に気が付いた様だ。

肉片の山から彼を引きずり出すと、

四肢の無い状態で全く動いていないが、

辛うじて心臓だけが動いている状態だ。


男はなにか呟くと、

男の四肢はゆっくりとであるが、

再生していくのが見える。

肉体の欠損部分の再生は、

宮廷魔術師や女神教教会でも限られた能力者(スキルホルダー)しか出来ない芸当だ。

この男はいったい何者だろうか。


クロウ・エンフォートの四肢が元に戻ると、

男は獣人の女に話しかける。

獣人の女は男の顔を覗き込む。

この獣人、どこかかで見たことがある顔だが、

どうにも思い出せない。

それにこの男の方もどこか見覚えがあるような・・・


「これはトラウゴットのところの間者のようだ」

「ほう、トラウゴットめ。何か嗅ぎつけたか。この男にかかっちょる魔法は、ヤツのところのお姉ちゃんの仕業じゃの。それじゃそれを利用するとしよう」


二人の会話が魔素(マナ)の澱(おり)から浮かび上がる。

どうやらあたりともギルマスの知り合いのようだ。

しかもイザベラさんの能力(スキル)も知ってる。


「ふむ。壊れたカラダは治してみたが、ココロは簡単には治せん。トラウゴットの所に帰してやると、コヤツは殺されてしまうやもしれん。仕方がない、ウチの店を経由してみるか」


・・・ウチの店を経由?


「ワシも詳しい説明なんぞしておらんかったからのぉ。孫も心配しておるだろうし」


・・・孫?


「コヤツには伝言を配達してもらうことにしよう。ということじゃレイよ。せっかく助けた命じゃ。なんとかコヤツを生かしてやってくれ」


・・・・まさかこの男、爺ちゃんなのか!?


確かに背格好は爺ちゃんに似ているが、

見た目は30代半ばに見える。

これはどういうことだろう。

そして隣の獣人は・・・ロミー・シャウアーか!?

こちらもチロルの記憶にある姿とは別人だ。


いや、まて。

リーネやアリサのような能力(スキル)があれば、

見た目も年齢も自在に変化する事は出来る。

爺ちゃんなら何らかの方法で・・・あるいは、

爺ちゃん自身、俺の知らない能力(スキル)を有していたのかもしれない。


「レイよ。長らく留守をしてすまないのぉ。世界はこんな有様じゃ。この始末をつけんとワシはしばらく帰れんよ。あとロミーの孫の面倒も頼んだぞ」


・・・そんな事わかってる。


「こんなことはなかろうと思うが、万が一ロミーの孫に手を出したら、小学校3年生でウンコ漏らして泣きながら帰ってきたことウメ子さんにバラすからの」


・・・もうバレてるから。


「ワシとロミーは、昔の後始末をつけんとしている。これが思ったより厄介での。この街はこの様なような有様じゃ・・・。ワシが追っているのは魔族。といっても正確には悪魔に乗っ取られた召喚者じゃ」


・・・アリサのような地球人の事か。


「この世界で名前は「リリス」と名乗っておる。ロミの里が魔族に襲われたのも、「リリス」が原因の様じゃ」


・・・ダンダリオン邂逅した時、作業小屋の魔素(マナ)の澱(おり)で視た女か。


「ワシとの因縁はのぉ・・・何から話せばよいやら・・・」


・・・爺ちゃんにしては煮え切らない態度、珍しい。


「これは腐れ縁というものかのぉ・・・。魔族「リリス」。お前もよく知っておるものじゃ」


・・・俺の知り合いなのか!?


「魔族「リリス」。ワシの妻。つまり、レイの婆さんの上遠野ナルじゃよ。という訳じゃ、トラウゴットには適当に説明しておいておくれ」



・・・・はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!















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