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異世界BAR 月に吠える  作者: しゅーる君


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31/62

続々・ロミオ

「交換留学生を紹介する」


クレア魔法学院高等部に、

隣国であるセザール公国から、

交換留学生がやってきた。


「レイモンドくんだ。留学期間は1ヵ月。皆さん親切に対応するように。席はリーネくんの隣が開いているから、とりあえずそこに座ってもらおうか」


担任から紹介されたのは、

アリサの能力で12歳の姿となった俺だ。


「レイモンドです。短い間ですが、どうぞよろしく・・・」


リーネ達が通うクラスに正体を隠して潜入した。

まぁ、俺にそんな権限はこれっぽっちも無い。

チロルの能力を使って忍び込むという訳にもいかない。

はて、どうしたものかとあてもなく街をぶらぶら歩いていると、

ふと冒険者ギルトの荘厳な建物が目に入る。


「頼みたくはないが、背に腹は代えられないか・・・」


ギルド受付でギルドマスターへ面談の申し出をすると、

訝しい視線で全身をくまなく探られたのち、

受付嬢は魔法通信(メッセージ)の魔法を発動する。


すると、サブマスターが面会に応じるとの回答があった。

アポなしがゆえに、そう簡単に会うことは出来ないと思っていたのだが、

ギルドマスターであっても、サブマスターであっても、

どちらに貸しが出来てもハイリスク。

どうせなら戦闘力(バスト)が大きい人と関わりたい。

そう思うのは男の性(さが)だろうか。


事情を説明すると、サブマスターは魔法学園に一筆したためてくれた。

それでセザール公国からやってきた貴族の子息として、

なんとか学園に戻りこむことが出来たのだ。

ここまで危ない橋を渡らざるおえなくなったのには理由がある。

リーネの机に入っている例の気持ち悪い手紙は、

1週間に1度程度から、数日に1度となり、

最近では毎日届くようになっていた。

チロルの本気の索敵能力をしても、

誰が手紙を書いているのか、

届けられる瞬間さえ分からない。

彼女ほどの手練れは冒険者ギルドの高ランカーでもそうはいない。

そのチロルを出し抜いたヤツがいる。

相手は相当な固有能力者(スキルホルダー)。

そこで俺の出番という訳だ。


保護者の立場でも、参観日でもないのに授業に付き添える訳もなく、

リーネと同じ年齢まで姿を変え潜入するという苦肉の策だ。

まぁ、いつまでも少年の心を持つ俺としては、

中学生の姿となっても、普段とそうかわらないと思いたい。


「よろしくリーネさん」


リーネの右隣に座る。

その左隣にはチロルの席だ。


「「 ぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷっっっっっっっ!!! 」」


チロルとリーネが机に突っ伏して悶絶している。

俺の身長は180センチメートル。

そんで今は140センチメートル。

確かに背は低くなったが、

顔はそこそこのイケメン(自称)

そこまで笑われる筋合いはないはずだが・・・


まっ、まぁ、そんな辱めを受けても、

俺が潜入調査を試みたのは、

リーネの机の中に手紙が入れられる瞬間を捉える為だ。

犯人を取り押さえられなくても、

魔素の残り香さえあれば、

この不可解な事件の一部でも判明するはず。

それに、3日前届いた手紙の内容は、

俺の中の一線を完全に超えるものだった。

その内容がコレだ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

親愛なるリーネ嬢へ

おはようマイハニー愛しい人。

今朝もキミは森の中を飛び回る妖精の様に美しい。

そういう僕は妖精王(ヤベロン)。

キミにとって唯一の主。

そしてキミは妖精女王(チターニア)。

ああ、一刻も早く僕の元へと戻ってきておくれ。

僕たちから生まれてくる新しい生命(いのち)は、

目に入れても痛くないだろう。

ははっ、失明しないのか心配してるねジュテーム。

たとえ話さ気にしないでおくれ。

野に咲く花々の密に群がる蜂の様に、

キミの匂いにつられた僕はカブトムシ。

いや、アブラムシ。

一歩一歩キミという蜜をナメナメ運び出す。

これって結構逝けてないかい?

密はどこから湧き出すのだろう。

大人のキミならもうわかっているはずだ。

前から見ても横から見ても下から見ても斜めから見ても。

キミのおっ●いに釘付けだ。

キミが歩くたびにぷるると揺れる恥じらう双丘。

その秘密のヴェールに隠されたもの。

中を知るのはこの世界で僕だけという優越感。

ああ、きみのおっぱ●を、


●●を●●したい。

●●を●●めたい。

●●●を●●●込みたい。

●●●を●●●させたい。

●●●●を●●●●したい!!!


PS あいに〜でゅう〜♪

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


この他にも色々不愉快な手紙は届いているのだが、

特に俺が許せなかったのは、手紙の最後6行。

コイツの死刑執行は俺自ら執り行う事を決めた。


だが、犯人に告ぐ。

いいか、よく聞け。

リーネの戦闘力(バスト)はチロルといい勝負だ。

「ぷるると揺れる」と指摘している時点で間違っている。

どう見れば揺れているのか。

双丘といってもその高低差は永遠のゼロではないか。

何を勘違いをしているのだ。

絶対に別人のことだろうが。


ボカボカっ。


「リーネさん、チロルさん。どうかしましたか?」


先生が黒板に文字を書いている手を止めて、

不思議そうにしている。


「「 いえっ、なんでもありませーん♪ 」」


リーネとチロルにタコ殴りにされた俺はボロ雑巾だ。

なにも無かったはずがない・・・


おかしい。

心の中で呟いたつもりだが、

心の事がつい漏れ出てしまっていたのだろうか。

とっ、とにかくあとはジッと耐えるだけだ。

その瞬間が来るときまで。

こうなったら、二日でも三日でも、

いや、チロルとリーネの戦闘力(バスト)がCカップくらいまで成長するまででも待ち続けてやる!


そんな壮絶すぎる覚悟を決めた最中、

その瞬間はあっけないほど直ぐやって来た。

僅かながらだが、リーネの机に魔素の収束反応がある。


(物質転送魔法か!?)


魔法陣を使った転移魔法なら、

Aランククラスの魔導士(ウィザード)なら出来る。

詠唱による魔法発動ならSクラス以上と言われるレア魔法。

だがそれは術者が移動する魔法である。

物質だけを転移させる魔法となれば、

この世界でどのくらいの術者がいるのだろか。

物質を転移できるという事はその逆もある。

つまり他人の物を強制的に奪う事が出来る。

リーネが拉致されたのも同じ系統の魔法だ。

ゆえにこの魔法は禁呪中の禁呪といわれている。

俺も密に練習しようとしたら、

爺ちゃんからゲンコツをもらったっけ。


・・・実はこっそり覚えていたりするが。


「リーネ、ちょっとどいてくれ!」


机からリーネを離して、

転移されてくる魔素に俺が干渉する。

この術式は転送する事が出来るがその逆も然り。

直ぐに魔素を送り込んだ術者を逆探知。

その術者事この教室まで強制転移させるというのが俺の目的だった。

案の定、真っ白に光る収束する魔素の中に、

人影らしきものが見え始めた。


「貴様、よくもうちの娘(リーネ)にあんな手紙を送りつけやがったな!!」


そいつの襟元を握りしめ、

絶対に逃がさぬように締め上げると、

教室の中が一斉に騒めきはじめる。


「がっ、学園長!!!」

「・・・ぐっ、ぐるじぃぃぃぃ」


右手で締め上げられ白目をむく老人。

泡を吹きながら、なんとも小汚いじじいがお出ましだ。

そして、この老人の正体がクレア魔法学園の学園長と判明した。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


その後、俺は警備員から憲兵隊に突き出されたのだが、

事情を説明してくれた冒険者ギルドのサブマスター、

イザベラ・シュロートによって3日振りに牢獄から解放される事になった。

なぜもっと早く出してくれなかったのか。

卑猥な手紙の差出人が学園長だという事は、

学園側としても一大スキャンダルであり、

その事実確認に手間取った事。

そしてあのまま俺を野放しにすれば、

変態じじいを●しかねないという配慮からだった。

まぁ、抜け出そうとすれば簡単に吹け出せたが、

リーネ達の学園生活にし終止符を打ちたくなければ大人しくしていろと、

サブマスターから釘をさされ大人くしせざるを得なかった。


「で、結局あの変態じじいの目的はなんだったんですか!?」


未だに俺自身が変態じじいを始末したい気持ちに変わりはないが、

昔の思い人の姿と瓜二つであったリーネを見て、

忘れかけた青春が甦って来たらしい。


「最近、老人特有の症状も出てきていたみたいなのよねぇ。最近の記憶は曖昧なのに、昔の記憶程鮮明に蘇るって聞くわ。昔は王国でも最強の魔導士と呼ばれていたほどの人だったのに、年には勝てな

いのね・・・」

「いったい何才(いくつ)なんです、あの変態じじいは?」

「確か250歳を超えていたはずよ」


・・・恐ろしい爺さんだった。


「あなたが手を下すまでもなく、間もなく引導が渡されるはずよ、ふふっ」


これで貸しだと言われたくなかった俺は、

サブマスターが気に入っていたア●パカのメルローを開ける。

それにただの●ルパカではない。

値段が倍以上するプレミアムの方だ。


「・・・やだ、美味しい♪」


黄金のアル●カは今夜も輝いている。

後日談であるが、しばらくすると学園長交代の報がもたらされた。

今度の学園長はなんでも女性らしい。

とは言っても100歳を超えるベテランとの事であり、

俺はまったく興味をそそられなかったのだが・・・


「この度、学園長を仰せつかったクラリッサ・ファルです」


俺の驚きは・・・まぁ、

そのうちゆっくり語る事にしよう。


リーネとチロルは心に傷を負わなかったか心配だったが、

チンチクリンにされた俺の姿を思い出し、

俺の顔を見るたびに笑われている。

慣れとは恐ろしいもので、

最初は頭に来ていたのだが、

今ではその態度による責めというものに、

新たな扉を解き放れたような喜びを感じている。


しかし、ウチの娘達に悪い虫がよってきたら、

次こそは息の根を止めてやろうと、

心に強く誓うバーテンダーであった。


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