魔族
魔族とは何者なのか。
魔族と言っても、ヒューマンやドワーフ、
そしてエルフのように身体的な特徴に統一性は無い。
角を生やしているものが多いようだが、
まったく無い者もいると聞く。
魔王の眷属。
悪魔が受肉した存在などとも言われるが、
ヒューマンであり、異世界人であった須崎アリサが何故魔族となったのか。
その答えは実のところ解明されてはいない。
ただ、歴史に学べば、
過去幾度となく人類と魔族は存亡を賭けて対立してきた。
ゆえに魔族と言えば人類共通の敵というのがこの世界の常識である。
「・・・けど実際は違ってた」
「カラダの変化は何時頃から?」
「違和感を感じたのは召喚後10年目くらいかな。自分の中に自分の知らない誰がか入って来るような感覚。見た目が変わり始めたのは70年目あたりから。今から10年位前ね。それからは人目につかないような山奥に隠れていたんだけどね・・・」
女子高校生のような姿になった「女魔族」改め「須崎アリサ」。
「女魔族」と呼んだ俺をギロリ睨んで「アリサ」と呼べと凄まれた。
まぁ、なんて呼べは良いのか分からなかったので、
そう呼べと言われた方が都合が良い。
真っ裸で抱き着かれたときは、
残念ながら視界が戻っていなかった為、
生まれたままの姿を網膜に焼き付ける事が出来なかった。
だが、よくよく考えれ見れば、
女子高生が召喚されて80有余年。
100歳のお婆ちゃんなんだと一気にテンションが下がる。
下がるというより垂直に落下だ。
クラリッサとアンネリーネには、
チロルの服を借りたのだが、
アリサはサイズ的に着る事が出来ない。
当然ながら戦闘力の差だ。
とりあえず俺のパーカーを着てもらった。
だが、魔族の頃に比べ、
その戦闘力は大幅に低下している。
あんなに突き出したロケットお●(ピー)ぱいが、
手のひらで隠せる程度まで衰退している。
けしからん。
まったくもってけしからん。
という心の葛藤が噴火するたび、
「でもお婆ちゃん」という負の感情に支配される。
年齢でいえば、クラリッサも100歳を超えているが、
今はどうみてもチロルと変わらない年頃だ。
まぁ、長命種のエルフであり、
アリサほどの違和感は感じないが、
こちらもあのけしからんスライムおっ●(ピー)いが消失している。
さっきから炬燵のミカンの減りが尋常ではないが、
その主たる原因がコイツだ。
少しというか、かなり残念なエルフだった。
クラリッサがこのような姿になったのは、
アンネリーネが魔素を吸い取ったというのは、
直接的な理由ではないらしい。
「魔素を吸い取られたムチムチエルフが閉じ込められてたら、あの屋敷の獣たちが黙っておくわけないでしょ。だから一時的にだけど食指が湧かない程度に若返ってもらっただけよ」
「あの私兵たちのことか。悪魔憑きにされていたようだが」
「命令には忠実だけど、欲望にも忠実だからね。無事じゃすまないわよ」
確かに、牢獄にムチムチエルフが囚われていたら、
ライオンの群れの前で生肉をぶら下げるようなものだ。
だが、別な意味でこの手の趣向をもつ土変態だいる事も事実。
防御壁で囲ったものの、中にライオンを入れてしまっては意味がない。
「ん、まてまて。「一時的」だって?それじゃアリサは人の成長をコントロール出来るって事か!?」
「んー・・・その対象によるかな。魔力量が多い人なら結構いけるよ」
アンネリーネの能力も聞いたことの無いものだったが、
アリサの能力も聞いたことが無い。
クラリッサの姿はあちらに帰還後元に戻してくれるとのことだ。
もしかして魔族の姿になる前のアリサは、名の知れた魔導士か冒険者だったのだろうか。
「それで、違和感ってのはなんだったんだ?」
「私たち異世界人は魔素を効率的に取り込めるって説明したわよね」
「ああ、それがチートだって話だろ」
「でもそれには大きなデメリットがあるの。魔素はどこに取り込まれる?」
「確か魂にって爺ちゃんが言ってたな」
「魂を器でイメージして。そこに生命の基本である生体エネルギーがある。取り込まれた魔素はそれに変換される」
「なるほど、判りやすいな」
「それじゃ、器いっぱいになった魔素はどうなる?」
「・・・どうって、それ以上取り込まれないんじゃないのか」
「いいえ、魔素は何時までも取り込まれ続けるわ。そして溢れた魔素は生体エネルギーに変換されずにまた世界に戻っていくの」
「取水口があれば排水口があるって事だな」
「それが問題なの。水道管を長い年月使用していたらどうなる?」
「そりゃまぁ経年劣化するだろ。この家もおととし水道管が破裂してさ。古い水道管が動脈硬化してたって業者さんが言ってたな」
「同じ事よ。貯水槽も水道管もメンテナンスが必要なの。でも常に満タンな貯水槽はメンテナンスなんて出来ないでしょ」
「・・・・」
なるほど。
それで自分の魔素を空にしないと、
アリサの回復魔法でも修繕できなかったということか。
魔素の無い世界じゃなきゃ出来ないのも頷ける。
アリサとの会話は日本語だ。
チロルも最近は日本語を覚えてきたが、
この会話のスピードでは、内容全てを理解できない様子だ。
まぁ、魔族が出来る理由なんて、
彼女たちには聞かせたくないし聞かれたくもない。
下手をすれば、俺だって魔族になる可能性があるって事なのだ。
「・・・・・」
チロルが何かを察知している。
どうやらあちらの店に、
真似からざる客が数名押し掛けてきたようだが、
こっちにいる限りは放置しても構わないだろう。
それより、クラリッサとアリサ、アンネリーネの身の振り方を考える必要がある。
しかし、今更だがなんとも奇妙な光景だ。
ど田舎古民家の和室で、炬燵を囲みながらミカンを喰ってる異世界人。
炬燵には俺から見て左にクラリッサ、
正面にアンネリーネ。
右側にアリサ。
俺の太腿を貫いたチロルは、
女魔族が元日本人だったと分ると、
何事も無かった様にちょこんと俺の胡坐座りの中に納まった。
まぁ、4面全て埋まってはいるが、
新参者への牽制だろうか。
むむぅ。
女の子はなにかと難しい。
しかし・・・
チロル。アンネリーネ。クラリッサ。
種族は違えど見た目は同年代に見える。
街で見かければ二度見するほど整った顔立ちをしている。
酒場の客に「果実は青い方が良い」と言う変態がいるが、
彼が見れば、ここは桃源郷であると断言するだろう。
アリサも入学したての女子高生くらい見えなくはないが、
彼が評価すれば「熟れすぎている」だ。
まぁ、俺に幼●趣味は無いが、
将来美しい蝶になる蛹を見ているのは、
悪い気分ではない。
が、やっぱり俺はムチムチのクラリッサの方がいい。
あのスライムおっぱ●(ピー)に顔を埋めたいと思うのは、
そこに山があるからという理由と同じなのだ。
「・・・・・!!」
妄想と一緒に急激に大きく膨らませた俺のマッタ―ホルン。
だが、その頂の先にはちょこんと座っているチロル。
ぐさっ。
今度は内腿を貫かれ、
充血して余分な血液の排水口が作られた。




