成敗
最上階には2人の反応がある。
あくまでも「人間の反応」だ。
「人ならざるも」の反応もあるのだが、
ダンタリオンの反応とも少し違っている。
ーーー魔族じゃないのか?
まぁ、人じゃないって事だけは確かだろう。
最上階には、いかにもラスボスがいますよって感じの扉があった。
他のフロアとは違って、そう部屋数が多くはないが、
この扉だけ絢爛豪華な造りであり、あきらかに「人」の反応がある。
「人ならざるもの」も確実にいる。
チロルほどじゃないが、
気配を消して中の様子を伺うが、
なにやらうめき声のようなものが聞こえるのだが、
これはどこかで聞き覚えのあるような・・・
「・・・はぁ、ああん」
はて。
「・・・そこはダメっ」
さて。
「・・・っあ、もう・・・あぁぁぁぁぁぁぁ!!」
おいおい、これって・・・
「・・・もう●(ピー)ってるからぁお願い、もうゆるしてぇぇぇぇ!!!」
真っ最中かぁぁぁぁぁ!!!
俺のカラダの内側から猛烈な怒りの炎が湧き上がる。
この中にいるのがクラリッサなのかは分からないが、
男であれば、あのイヤラシイ豊満な肉体を、
ご馳走になりたいという気持ちは理解出来る。
だが、誘拐した挙句そのような行為に及ぶなど、
こちらの世界でも法に触れる犯罪だ。
今すぐ部屋に突入して、
忌々しい犯罪者を抹殺したい衝動に襲われる。
だが、俺にそんな度胸は無い。
なにせしがないバーテンダー。
能力を発動。
中の様子を探ってから、気がつかれないよう忍び寄ってグサリ。
それが俺の必殺技なのだ。
中の様子も分からず飛び込むなど、無謀以外の何物でもない。
せめて相手の手の内が分るまでは、
クラリッサには申し訳ないが、
少しの間我慢してもらうしかない・・・
「・・・●(ピー)っくぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
ひときわ大きな叫び声。
ぶちっ。
俺の中で何かが切れた。
ばんっ!!!
扉を豪快に蹴り飛ばす。
「何者!?」
突然の来訪者に部屋の中の空気が凍り付く。
「ひとーつ。人の世の生血をすすりぃ。ふたーつ。不埒な悪行三昧ぃ。みぃーつぅ。醜い性犯罪者を、退治てくれようバーテンダー!」
俺の魔力を全開にして、
堂々と犯罪行為が行われている現場に突入した。
といっても行為中にどんな声をかけて入ればいいのかわからず、
ただただ格好よく・・・というよりヤケクソで扉を蹴り飛ばした。
「「「 ひぃ!!! 」」」
中にいたのは、
3人の女性だった。
しかも身に着けていたのは、
いずれもきわどいランジェリー。
ベットでうつぶせになっているのは、
褐色の肌で頭に山羊の様な角がある。
魔族の女性である事は理解できたが、
それほどの強さを感じない。
が、ダンダリオンとは違い、
カラダのサイズは人間の成人女性と変わらない。
よく見れば、顔立ちだって超絶美人に分類される。
特筆すべきは、ベットに突き刺さる戦闘力が、
どれだけマットレスに喰い込んでいるのかと、
目を疑わんばかりの破壊力。
けしからん、まったくもってけしからん。
あとのふたりは、
大人びたランジェリーを身につけてはいるが、
また幼い子供のように見える。
どちらも中学生くらいに見えるが、
ひとりはヒューマン。
もうひとりはエルフか。
三人とも俺を見てガタガタと震えている。
おっと、そう言えば性犯罪者をぶち殺すつもりで、
禍々しい魔素を駄々洩れで突入してきたのだった。
この魔素を感じるという事は、
それにりに魔力の扱いに長けているらしい。
まぁ、女と言えど魔族だ。
人間の少女を性的な虐待をしている可能性もあるのだが、
目の前の状況は、うつぶせになった魔族の女を、
ふたりの幼女が馬乗りになっているように見える。
攻められているというより、攻めている?
これはどういう状況なのだろう・・・
「・・・あなたは」
そう答えたのは金髪エルフの少女だった。
「レイさん!!」
むぅ。
幼女と言えど、こんな超絶可愛い金髪エルフ。
俺に限って見忘れるはずがない。
今後何年熟成させればたわわな果実を実らせるのか。
そう考えただけで背筋がゾクゾクする。
そう、果実は青すぎてはダメなのだ。
「えっと、誰だったけ?」
魔族が反撃してくる気配はない。
といっても、俺も攻撃している訳ではない。
この妙なスキンシップの番場に乱入しているといったところだろうか。
「私です、風の護り手のクラリッサです!」
「・・・はい?」
クラリッサだって!?
確かに美しい金髪としなやかに長い耳はクラリッサと似ているが、
多くのエルフは同じような特徴を持っている。
それに鑑定もちのスキルがあれば、
俺の名前くらい知っていてもおかしくはない。
「クラリッサさんは、キミと違って抜群の戦闘力を実らせて・・・もとい、もっと成熟した女性だ。悪い冗談は止めてくれ」
そう言われた金髪エルフの少女は、両手で戦闘力を隠してしまう。
デリカシーの無い発言だったかといこと反省。
それより、ベットにめり込んでいる戦闘力をお持ちの、
謎の美魔族の存在が気になって仕方がない。
「ところで、キミたちはここでいったい何をやってたんだ?」
戦闘力をガン見している事を悟らせないように、
あえてどうでもいい事を聞いてみた。
「何って、その。マッサージをしていたの。この人が肩こりが酷いっていうから・・・」
クラリッサと名乗る少女とは、
別の少女があたふたと答えてくれた。
こちらも金髪の髪をおさげにゆっているが、
その整った顔立ちはまさにダイヤの原石。
磨けばとてつもなく輝くこと間違いない。
「・・・マッサージ?」
「はい、ここのツボをギューッと押すとぁ」
「いだだだだっ、きっくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
ベットに顔を埋めた美魔族は、
手足をばたつかせて悶え始める。
「・・・はぁ、はぁ、胸が大きいと肩こりが酷いのよねぇ」
「ということなの、レイさん」
・・・けしからん。
・・・まったくもってけしからん。
商会屋敷の正門から、
大声が響き渡り、冒険者ギルドの精鋭と、
公爵家騎士団の一団が突入したのは、
この訳が分からない状況が白日に晒されて程なくの事であった。




