初めての外出
「----っ!!なっ何!?体中が痛いんだけど!?」
アルファードは意識が朦朧としてる中 いきなり体中に走った鈍痛に顔を歪めて叫んだ。
辺りは真っ暗で そこにアルファードは横になっていた。
「おー 起きたか。たく じいさんも変なカラクリ作りやがって」
持ってきた鞄の中を見ながら話しかけるユーラリィーズ。
「はっ? じいさんってセルバー様?」
ユーラリィーズの口から出た知り合いの名前に アルファードは痛みを忘れて跳び起きた。
その衝動で 治りかけていた痛みが戻って来た。
そんな アルファードを見て ユーラリィーズは無理すんなよと 笑った。
「そっ 俺の祖父のセリバー・ダルメスト。大のミステリーとからくり好きのイカレたじいさん」
「何言ってんの!?セリバー様は すごいと思うよ」
何処が?と思いながらも ユーラリィーズは曖昧に笑った。
「まぁ そういうことだ。で 此処はな お前の部屋の真下ぐらいかな?」
ユーラリィーズの言葉にきょとんとした顔でみるアルファード。
そして 頭の中で今言われたことを再生する。
不自然な間ができた。
「へ?……は?僕の部屋の真下?って 嘘だね。こんな所あるなんて 知らないし!!」
自分で言葉に出して 初めて理解したのかユーラリィーズに突っ掛かった。
(ありえない 十年はあの部屋で暮らしてたよ 僕!?)
混乱してる アルファードを見てどうしたものかと 考えながらとりあえず説明することにした。
「えっと……。お前の屋敷って 少し丘にあるだろ?」
ユーラリィーズの説明はこうだった。
丘の上にある レスティカル邸。
その家を造るときに セリバーも協力していた。
セリバーは今の当主のフェリエルの事が嫌いだった。
だからこそ 彼の性格を嫌というほど知っている。
もしも 子供が生まれても 幸せになれる確率は低いだろ。
セリバーは自然にそう思った。
いくら 妻のミューラが優しくても……。
だから 屋敷の建築を手伝いを頼まれた時に 子供部屋を何処に造るか事前にミューラに聞いた。
そして 1階だと聞くとすぐに計画を練った。
フェリエルは金を稼ぐ事しか頭になく 家の事なんて興味がなかった。
それが 幸いした。
セリバーは ばれないようにツテを使い 丘の下に地下トンネルを掘ってもらった。
そして からくりを一生懸命勉強して アルファードの部屋にからくりの仕掛けを造った。ということだった。
「セリバー様が……」
下に俯き 何かを考えるアルファード。
彼は その話を聞き覚悟を決めた。
そして 思った。
セリバー様やユーラがくれたチャンスを無駄にしたくないと。
その事をぼそぼそとユーラリィーズに言うと 彼は笑って「行くか」と言った。
そして 他愛のない話をした。
街の話 これからの予定に話は弾む。
そして そのまま 長い時間を歩いた。
そして トンネルの出口に着いた。
「街まで まだ少し距離あるから 休むか?」
ユーラリィーズは息を切らしているアルファードを見ながら言った。
(病弱な上に屋敷から1歩も出たことがないような人間があの距離はキツすぎたか?)
そう思いながら 持ってきたかばんから水を取り出して アルファードに渡した。
アルファードは素直にそれを受け取り 一息ついた。
「あと……どれくらい?」
「十数分かな?」
時間を聞き アルファードはそうとだけ言うと その辺の石に腰をかけて ユーラリィーズからもらった 水を飲んだ。
そして しばらく休憩して2人は街に向かって歩き出した。
これから見る 自分の知らないことに 期待に胸を膨らませて 不安でいっぱいになりながらも 力強くアルファードは歩き それを見て ユーラリィーズは微笑んだ。
連れ出してよかったと。
街で出会う人達の影響でアルファードが変わるかもしれない。
そんな僅かな希望を 隣を歩く従兄弟に気付かれないように。
彼はいつも通り 自分の心を読まれないように ただただ飄々と。
2人の期待は膨らむばかりだった。




