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語り道化師  作者: 星川宙
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運命との出会い

 屋敷を抜け出して ユーラリィーズについて行きながら街を歩くこと 30分。

 アルファードは認めたくない真実を認めることにした。

 自分の前を歩いていた従兄弟を見失ったと。


(ちょっと 目を離した隙に何処に行ったんだよ ユーラは!?僕は屋敷から出たことがないからこの辺の地理なんて全くわかんないんだけど。此処が屋敷だったら 大丈夫なのに……)


 絶賛迷子中のアルファードは辺りをキョロキョロとしながら道を歩いていた。

 屋敷の外に出ること自体が初めてのアルファードは不安でとにかくユーラリィーズ見つけようと必死になっていた。

 歩いている最中 何回か優しそうな物売りの老人に話し掛けられて パニックになり 謝って逃げ出す。そんな事を繰り返していた。

 初めての外の世界に恐怖を感じて 俯きながら速足で歩く。

 もう 自分の家が何処にあるのかさえわからずに 来るんじゃなかったという後悔と恐怖がアルファードを支配した。

 そのまましばらく歩いていると どんっと何かにぶつかる音がして 体のバランスが崩れた。


「え?」

「いたっ」


 自分以外の声が聞こえて 彼は驚きながら 尻餅をつきながらも前を見ると 1人の少女が同じ様にして尻餅をついつ ぽかーんと一瞬して 何かを思い出したかのように 急いで起き上がった。


「ごめんなさいね。考え事をしていて 前を見てなかったわ」


 少女はそう言うと アルファードに手を差し出した。

 アルファードはその手を借りて立ち上がった。

 ぶつかった少女の身長は自分とだいたい同じくらいで 同い年だろうか。


「ありがとう。僕の方こそ前を見てなくて……」


 すみませんと 言うと彼は少女が自分の顔をまじまじと見ていることに気付いた。

 自然とアルファードも少女の顔を見て 背丈が同じくらいなのもあり 目があった。


(うわぁ。綺麗な色。写真とかで見た海の色だ)


 アルファードは少女のサファイア色の瞳を見て思った。


「勿体ない」

「え?」


 いきなり少女が言い出したことに アルファードはびくりと肩を震わせた。

 それに気付かずアルファードに向かって少女は言った。


「せっかくキレイなライトグリーンなのに 濁って見える。本当 勿体ない」


 少女はそこで一回言葉をきると アルファードの手を勢いよく握った。


「私の名前はラピスっていうの。あのね。あのね?私 君の澄んだ目の色見てみたいの」


 絶対キレイだもの。

 そう付け加えながら とてつもなく顔を輝かせながら言う少女--ラピス。

 アルファードはラピスの言っていることが理解できなくて 固まった。


「あれ?返事がない?何で?」


 当たり前の反応をしているアルファードを見て少年は不思議そうに首を傾けた。

 彼女の中には“いきなりそんな事を言われて返事出来る筈がない”という考えは存在しないらしい。

 ラピスはしばらく「うーん」と考えてから 何かを思い付いたように笑顔になった。


「君の名前をまだ聞いてなかったね!!きっとそれで返事をくれないんだよね?それに私も名前は知っときたいですしね」


 ラピスは本当に楽しそうに 嬉しそうに両手を合わせて微笑んだ。


「僕は……」


 ラピスのテンションの高さについていけないアルファードは 取りあえず名前は名乗っておくことにして 口を開いた。

 ラピスはアルファードを見て 続きの言葉を待っている。


「あっ アル。こんな所にいたのか!?探したよ」


名乗ろうとしたアルファードの口が“あ”の形でとまった。

 ラピスはそんなアルファードに気付かず いきなり聞こえた大声の主が気になったのか 探そうと声の聞こえた方を見ていた。

 その声の主は ぽんっとアルファードの肩に手をのっけて言った。


「まったく……。迷子にならないように気をつけろって言っただろ?」


 ユーラリィーズは呆れた笑顔でアルファードに言った。

アルファードは 少し申し訳ないと謝ろうとしたけど ふと気付いた。


「ユーラ!!そんな事を聞いてないよ」

「あれ?そーだっけ?」


 記憶にないことをどう気をつけろっていうんだ。

 そう思いながら ユーラリィーズを睨み付けると 彼はすっとぼけた顔をした。

 そんな頬に一筋の汗が浮かび上がっている。

 どうやら 言おうとして 言い忘れたようだ。


「とぼけるな!!」


 とぼけようとしているユーラリィーズを咎めようと言うアルファードとユーラリィーズの間に空気を読まず入るラピス。


「わー。お兄さん 背が高いですね」

「そうか ありがとな」


 話がそらせそうで ユーラリィーズはラピスに笑いかけた。

 ラピスはその友好的な態度にさらに笑顔が輝く。


「君の知り合いかな?優しそうなお兄さんですね」


 ユーラリィーズから アルファードに視線を戻し 尋ねる。


「従兄弟?」

「おいおい アル。何で疑問系なんだ?ってか 俺のいない間に何やってたんだ?」


 自分の答えに ニヤニヤしながら話しかけてくるユーラリィーズを睨み付けながらラピスにどう説明するか考えた。


「従兄弟さんですか。なんか お兄さんが勘違いしている気もしますけど まぁいいです」

「よくないと思うよ?」


 ラピスが本当に興味なさそうなのに気付いて アルファードはツッコミを入れた。


(君にも関係してることでしょ!?勘違いの内容は!!)


「ははは。おもしろい 嬢ちゃんだね。俺はユーラリィーズ。嬢ちゃんは?」

「ユーラさんですか。私はラピスっていいます」


 真剣に考え事をしているアルファードを無視して 軽い自己紹介をする2人。


「さっきも言ってたけど 俺はアルとは従兄弟で まぁ保護者みたいなもんかな?」

「アル……?」


 誰?という感じに両腕を組みながら「うーん」と考える。


「おい アル。お前名乗ってなかったか?こいつの事だよ」


 そういって アルファードを指差すユーラリィーズ。

 それをみて ラピスはなるほどと納得した顔をした。

 しかし アルファードは納得できない。

 ユーラリィーズが呆れたように見たのがさらに癇に障った。


「ユーラが来て タイミングを逃したんだよ!!」

「そーだったのか?じゃ 今 自己紹介すればいいだろ。いいタイミングだし」


 呆れた顔をしているユーラリィーズを誰のせいだと睨み付けながらも それもそうかと思い アルファードはラピスと向き合った。


「僕はアルファード。あのさ ラピスさん……」

「あっ 呼び捨てでお願いしていい?名前の後ろに“さん”とか“ちゃん”付けられるの嫌いなの。で 何?アル」


 アルファードの言葉を遮り自分の意見を言う。

 それを聞き ユーラリィーズが「それは俺も一緒だな。俺も敬称はいらないよ」と言い 「わかりました」とラピスは返事をした。


「さっき 君が言ってた事の意味がわかんなくて 知りたいんだけど……」


 困った様にアルファードは頬を掻きながら言った。


「さっきの……?あっ 君の澄んだ目の色が見たいって言うのかしら?ダメですか?」


 初めの方は思い出したのかはしゃいだ様子のラピスだったが アルファードの顔色を見るにつれ どんどん大人しくなる。


「目の色?」


 事情を知らないユーラリィーズが不思議そうに聞いた。


ここまでお読み頂き、ありがとうございます。ストック分はこちらで終わりとなります。


これからは執筆しながら更新していく形になる為、更新頻度は落ちますが、できるだけ早く更新できるように頑張る所存です。



もし「続きが気になる!」「キャラが好き」と思ってくださったら、ページ下部から【ブックマーク】や【評価】で応援していただけると、執筆の凄まじい原動力になります。これからもどうぞよろしくお願いいたします!

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