屋敷脱出作戦
ユーラリィーズが持ってきた紺色の無地の服に寝室で着替えていると ガシャンと小さい音がなった。
アルファードが音のなった方を見ると そこには家の紋章が刻まれた首飾りが落ちてた。
(見あたらいと思ったら こんなところに落ちていたのか)
そのま首飾りをしばらく見つめて いったんベッドの上に置くと着替えを再開させた。
着替え終わると先程まで着ていた服とは比べものにならないくらい 動きやすい服だった。
(へぇ こんな動きやすい服もあるんだ)
家で用意される見た目重視の服以外をはじめて見たために アルファードは少し変なことを思った。
そして 先程ベッドの上に置いた首飾りをポケットの中に大事そうにしまい込んだ。
そして 先程いた部屋に戻って固まった。
部屋に戻る扉を開けた瞬間 ユーラリィーズが本棚の隣の扉をトントンと叩き 何かを考え込んだ。
そして その場でコツコツと靴をならした。
「人の部屋で何やってるの?」
あまりにも訳のわかんない行動をしていたため直球で聞いてみることにした。
ユーラリィーズはギクッと後ろを振り向くと あははと頬に汗を浮かべながら言った。
「あっアル。着替え終わったか。うん そっちの服の方が子供ぽくていいね」
そういいながらも本棚に視線を戻した。
質問に答える気はなしと理解すると アルファードはやることもないので ユーラリィーズの隣に行くことにした。
カツンと床を蹴る小気味よい音がなり アルファードは自分の体がくらっとよろめくのがわかった。
「えっ!?」
次の瞬間 視界が真っ暗になり 下に落ちるような感覚に襲われた。
「でかした アル」
どこからか ユーラリィーズのはしゃいだ声が聞こえてきた気がした。
そしてしばらくして 記憶がとんだ。
時間は少し遡る。
ユーラリィーズはアルファードに着替えを渡して内接されている寝室で着替えてくるように指示した。
彼は素直に従い 寝室ににむかって歩いていった。
ユーラリィーズは寝室の扉が閉まるのを確認すると ふぅーと一息ついた。
「さてと……。アルが着替え終わるまでに準備しとかないとな。裏工作とか裏工作とか 脱出準備とか」
独り言を呟き ポケットから古びた紙を取り出した。
《聖なる扉が開くとき 地の神の力をかりよ。
巨大な棚の横を二度叩き その場で靴をならすべし。
そして 秘密を解き明かし 実行すれば
別路の道が開けるだろう。》
「秘密ってさ じいさん。どんだけミステリー好きだったんだよ」
紙を見つめながらため息をつき 独り言を呟く。
そして しばらく考え 今は亡き祖父に文句を言うことにした。
(なんなんだよ!?何が秘密の脱出口だよ。その秘密の暗号を書き忘れるとかありえるか!?何とかしないと……うぅ 無理そうだ……ん?)
心の中でユーラリィーズにしては珍しくキレていると 紙が二重になっていることに気付いた。
《よくぞ見つけた。さて ここでわしは1つ謝らなければならないことがある。ミステリーで謎めいた暗号をつくろうと思って 1枚目を書き終えたんじゃ。だが 後に暗号を考えようと思ったらのう》
うわぁー 続き読みたくねぇ。
嫌な予感しかしない。彼の手紙を持つ手がプルプルと震えはじめた。
嫌な予感を心の底に沈めながら 続きを読むことにした。
《わしには才能がなかったらしい。まったく思いつかなかったわい。わはは。まいったのう。だからこの手紙に書き残そうと思ってもう一度筆をとることにした。秘密とはの……。っと思ったが これがフェリエルのガキとかにバレるとまずいのでやめることにした。まぁ 頑張って探せ。近くにヒントは……なかったわい。忘れとった。歳をとると物忘れが酷くてのう。まぁ 頑張れ。
セリバー・ダルメトス》
ぐしゃ
思わず手に力を加えすぎて 2枚目の紙を丸めてしまった。
(じいさん めんどくさがったな!?正論並べてー!!)
昔の祖父の性格を思い出して ユーラリィーズはまた文句をいった。
ここで初めて手紙を見たのはまずかったかやっぱり。
後悔先に立たず。
ユーラリィーズは沈黙して昔祖父とした話を思い出した。
◇
数年前
「ユーラ いいものを見せてやろう」
「何?おじいちゃん」
そういって 少年は椅子に座っている年寄りにてててと走り寄っていった。
まだ 幼さが残る顔に満面の笑みを浮かべて 少年は年寄りの膝に勢いよくばーんとぶつかった。
少年は痛そうに頭をさすっていると 年寄りは はははと笑った。
「相変わらず 無邪気じゃな。ところでユーラ。フェリエルの子供についてどう思う?」
少年は頭にはてなマークを浮かべながらも 年寄りの質問に答えた。
「アルの事?うーんとね アルは可哀相だと思う。僕より小さいのに部屋にずーといてまるでさ……」
そして 少年は続きを言うのを躊躇うように目を反らした。
自分がこんなことを言ってもいいのだろうか。
幼いながらもそう考えたのだ。
『やっぱりお前もそう思うか。あれは 病弱だから療養とかのレベルじゃない。ありゃ 監禁と同じだ。じゃならなわしは……』
そこて年寄りは言葉をきった。
そして 沈黙がおきた。
『おじいちゃん どうしたの?』
心配になり少年は 声をかけた。
『お?ユーラ なんでここにおるのじゃ?』
『忘れたの!?おじいちゃんが呼んだんじゃん』
年寄りは不思議そうに顔を傾けた。
少年は一瞬固まると 口を尖らせていった。
『おじいちゃん!?』
すると 年寄りは人差し指を口の前までもってきて しーっといった。
少年は意味がわからなかったが とりあえず従うことにした。
しばらくすると 年寄りは安堵したように息を吐き 少年に 笑いかけた。
「もういいぞ ユーラ。レスティカルの下っ端がうろついておったわい。で 話の続きじゃがな」
年寄りは今度は真面目そうに少年を見た。
「もし あのガキ--アルファードだったか?が外に出ることを望んだなら その時のために 抜け道を作っといた」
年寄りの顔が悪巧みをした子供みたいににやっと笑った。
「この紙に書いてある。必要になったら この紙を見てくれ。必要じゃないのに見た場合 呪われるぞ」
「のっ呪われる……?絶対 見ないよ。必要だと自分で思ったらでいい?」
「ああ」
「わかった。その時に アルの部屋で見るね」
少年は少し怯えた瞳で 真剣に答えた。
◇
(我ながら 単純にじいさんに騙されたな……)
ユーラリィーズは昔の事を思い出しながら 少年時代の自分に呆れた。
とりあえず わかる部分だけやっとくかと思い ユーラリィーズは本棚の近くに歩いていった。
(えーと とりあえずここを叩くのか)
そして 紙に書いてあった通りに 本棚の隣の扉をトントンと叩き 次の行動を考えた。
そして とりあえずと その場でコツコツと靴をならした。
「人の部屋で何やってるの?」
いきなり後ろから アルファードの声が聞こえ ユーラリィーズはギクッと後ろを振り向く。
するとそこには 呆れた顔をして立っている年下の少年。
(俺の今やっていた行動って はたからみたら怪しい……ような気が)
そう考えると 渇いた笑いが自然に口から零れる。
あははと頬に汗を浮かべながら内心慌てながら言うユーラリィーズ。
「あっアル。着替え終わったか。うん そっちの服の方が子供ぽくていいね」
そういいながらも本棚に視線を戻した。
さて 時間がもうない。
じいさんが書かなかった最後の謎は---
すると カツンと床を蹴る小気味よい音がなった。
アルファードが自分の方にこようとしてるなと気付いたユーラリィーズはどうしたものかと考えた。
「えっ!?」
しかし それは後ろから聞こえたアルファードの驚いた声に掻き消された。
驚いて後ろを見ると アルファードがいなくなっていて代わりに人一人通れれかぐらいの穴が床に空いていた。
慌ててそこにかけていくと 穴の近くに小さなスイッチのようなものがあった。
「でかした アル」
唐突な発見についついはしゃいだ声を出してしまうユーラリィーズ。
そして 部屋に来たときに持ってきていた 鞄を机まで取りに行く。
そして それを持ち 穴に向かうと 穴が閉じようとしていた。
やばっ と思いユーラリィーズは慌てて穴の中に入っていった。
そして タイミングを見計らったように穴は静かに閉じていった。




