Phase5-5:碧く滲む、置き去りの影
本部長室内に緊急のアラートが鳴り響いたのは、ゼオンがフランスパンとサラダチキンを平らげた、ちょうどそのタイミングだ。
コーンスープの最後の一口を飲み干し、机に置いていた仮面を手にしたところで、扉が開かれた。
「ゼオン! 正門前に不審者が……」
即座に状況を述べようとしたフランだったが、ゼオンの仮面の下を見たことで、一度間を置いた。
彼は『事情』を知っている。今さら見られたところでどうということはないが、気は使ってくれているようだ。
仮面をピッタリとハメ終え、両肘を机につけた。
「既に聞いている。カナ・ブラウンをこの場に移送してから、ちょうど一週間だからな。何かしらのアクションは仕掛けてくると思っていた」
特に焦ることのないゼオンに対し、フランは苦虫を噛み潰したような表情で提案する。
「殺さずに捕まえたい」
「それはどうだろうか。自ら爆弾魔を騙る潜在犯罪者だ。事を起こしたわけではまだないが、殺害すれば、未来の被害を食い止めたとして、裁判所も我々を無罪放免としてくれるだろう」
「現状、強化イレギュラーを率いているテロリストについては、捜査が手詰まりだ。ゴードン・ルッツも失踪した。証人は多いほうが――」
「では、ここが爆破されるのを黙って待つか?」
今この場で起きようとしていることは、素人でも簡単に想像がつく危険な事態と言えよう。
ゼオンが狙いを伝える。
「中には入れないよう、どうにかして外の警備員に伝える。狙撃ができなくなるからな」
すると、フランは呑み込むように一度口を閉ざし、足早にこちらへ近づいてきた。
「カナ・ブラウンの生死は?」
「事態が悪化次第、殺害する」
ドンッ!!
彼は両手を机に叩きつけ、吠えた。
「全ての手がかりを失うことになるぞ!!」
「何を焦っている。お前は常日頃からイレギュラーみたいだと言われる性格だが、今日は度が過ぎているぞ」
仮面越しに視線を合わせ続ける。彼は全く折れない。
常識的に考えれば、謎のアーマードを装着する異常者が世に放たれるほうが、事態の悪化に直結していると言えよう。
「私は、警察のマニュアルに背いているわけではない。分かるな?」
そうフランに言い聞かせるように告げると、彼は前のめりだった体勢をもとに戻した。
納得したというよりは、遠くを見つめるような、諦めに近いものだと読み取れた。
「嫌な予感がするんだ。こちらが選んだ手が、全て裏目に回っているような……」
*
状況が分かっているのか。彼女は今、警察という巨大組織に喧嘩を売ったのだ。
しかし臆するどころか、挑発の饒舌は加速するばかりだった。
「あっ! けど勘違いしないでね~! キャンちゃんが作ったのは中の爆発機構だけであって、ガワの気持ち悪いデザインとは一切無縁! あれはパイセンの趣味だから」
この入口前での音声は、監視カメラと共に常に録画、録音されている。なるべく彼女への揺さぶりは絶やさぬよう、警備員の男は心がける。
「ブルー・アーマードの装着者の身柄が望みなのなら、誤算だったな。お前が来たせいで殺処分されるぞ」
「何の話ぃー? キャンちゃんは警察署の見学しに来ただけだよ? 中さえ見れればそれでオッケー!」
「あと一日でも待てば、エントランスは市民にも自由に出入り可能となる」
「キャンちゃんには今日しかないんだよ!? 分かってないな〜! そういうふうに対抗してくるからさ!」
彼女が、両腕を後頭部に回した、その時だった。
カチッ。
まるで、部屋の電気の壁スイッチが、押されたかのような音だった。
しかも鳴ったのは、脳に直接響くような、想像だにしない位置。
あまりのあり得なさに、舐めていた飴を取り出せなかった。
主犯である彼女が、滴る汗を観察するように覗き込んできた。
「こういうことになっちゃうんだよねぇ〜〜! キャハハハハハ!!」
爆笑。拍手。
そして、膝を折っての抱腹。
キャンディと名乗る彼女は、この時を待っていたかのように感情を露わにする。
そして、信じがたい真実を明かした。
「それ、今の口内温度を保たないと、爆発しちゃうんだよね〜〜!!」
心臓がせり上がるような錯覚を覚えた。
毒という想定は遠からずで、あの時にこの飴を吐き捨てていればと後悔する。
もう何もかも遅い。
「飴の部分が半分まで溶けたら準備万端になる仕組みでね? 地面に落ちて溶けるのを待つ想定だったけど、まさか警備員さん、自分の口の中に入れちゃうなんてー! 負けず嫌いなんだからー!!」
彼女の口車に乗ってはいけない。どうにか平静を保とうとする。
嘲笑うかのようにキャンディがアドバイスをしてくる。
「対策としては〜、なるべく口を開けず、舌も動かさないこと! もちろん、瞬時に口から出して投げ捨てようったってダメ! 空気で一気に冷たくなって瞬時にボーンッ!!」
そんなことは分かっているのだが、死という事象の接近に、呼吸の間隔が早くなってしまう。
「わあ! それもダメダメダメ~!! 鼻呼吸はもっとゆっくり、長~い間隔でやらないと! まあどんなに頑張ったって限界はあるよ。それを打開するには~……」
彼女は白衣のポケットから、縦に長い四角の物体を取り出した。
上部には丸い……明らかに押し込めそうな出っ張りがついている。
「じゃじゃ~ん! 爆弾のオンオフスイッチ~!!」
スローに、ふざけた感じで言いながら、その物体を左右にブラブラと振り始める。
「キャンちゃんを中に入れてくれるんだったら、爆弾のスイッチをオフにしてあげる。お兄さんは職務と自分の命、どっちを優先するのかなぁ?」
彼女の邪悪めいた笑みに陰が差し込み、この選択が命運を分けると確信させる。
どうするべきか。そんなことは、決まっている。
背を向け、彼は歩き出した。
エントランスの自動扉の方へとだ。
仕事への信念と、自分の命を天秤にかければ、後者のほうが愛おしいと思うのは当然のことである。
キャンディは、両手をワッと上げて派手に喜んだ。
「ワーオ! ワシントンのワンちゃんいっただき~!」
警備員の後ろをスキップでついてくる。
自動扉が開く。
狂人を簡単に通してしまったことで、先ほどアイコンタクトを取った受付員は、咄嗟に立ち上がった。申し訳ないという気持ちでいっぱいである。
このエントランス内に配備されている人間は一人しかいない。
他の窓口業務をしているのはロボットだが、人間に物理的な危害を加えてはならないという法律上、彼らが一斉に銃撃することは不可能。犯罪者に目も向けず作業を継続している。
すると、エントランスの状況を見回していたキャンディが、急に思い出したように「あっ」と声を上げた。
「実は〜、連れの彼氏くんも来てるんですよ〜」
警備員は、思わず振り返る。
もはやこちらの反応を楽しむでもなく、彼女も後ろを向き、両手で口を覆うようにして外へ呼びかけた。
「おーい! 集合時間はとっくに過ぎてるよー!」
人影が近づいてくる。
警備という防波堤が失くなった入口から、堂々と入ってきた。
*
そのエントランス内での様子は、八階にある特対本部、壁面の液晶モニターで見ることができていた。
ようやくチキンが中まで焼き上がったというのに。ジョイ、ダン、ハルの三人が状況を直視する中、爆弾魔が呼び寄せた人物の姿が映し出される。
全身が布質の薄茶色。肌の色どころか、髪の毛一本も見えない。
華奢な、おそらく男性であろうフォルム……。
息を呑み、ジョイは、画面の向こうの彼を指差した。
「こいつ、学校の職員室で見た……覆面のヤツだ!!」
「どういうことだぁ? 強化イレギュラーを派遣している奴ら、及びゴードン・ルッツと協力関係にあるということになるが、スタジアムでのテロは自分主導ではないと奴は言っていたぞ」
タロウの配信内で、確かにゴードンはそのように喚いていた。
カナ・ブラウンがスタジアムテロの犯人の一人であるのは確か。線と線が結びついたかと思ったが、逆に絡まっていく印象だ。
ここでハルが、右手を挙げる。
「とりあえずもう、殺してちゃっていいってことですよね?」
「だが中に入られてしまった!! これが屋外ならば、狙撃も可能だったんだがな! 少しでも動きを見せたら、奴ら、人質の警備員君を爆破しかねないぞ!!」
「飴の爆弾なんて嘘っぱちでしょ? 僕が止めにいくよ」
ジョイの宣言を聞いたダンが、上体をのけ反らせた。
「なにぃ!?」
「この前、学校で逃した借りを返すんだよ!!」
ハルが問いかけてくる。
「人質はどうする気なの?」
「助けるに決まってるでしょ! パパッと両方処理するんですよ!」
息子の意気込みに、父親が水を差してくる。
「爆弾が本物だったらどうする!」
「だからってボケッとしてるほうが、爆発のリスクは高いんだろ!?」
「こいつぅ……。計画的と見るべきか、衝動的と見るべきか……」
父の目を瞑っての思考を尻目にしつつ、ジョイは、いざという時のために常時身につけている防弾チョッキを締め直す。
ダンが車椅子ごとこちらを向く。
「いいな? オレは今、エヴォル細胞の使用を禁じられているから、出撃できないぞ!」
「分かってるよ! ……ハル先輩!」
名前を呼ばれた彼女は、目を見開き、自身を指差した。
「え。私?」
「僕が前に出るんで、援護をお願いします!」
「なら先輩の私が前に……と思ったけど、ジョイ君の方が射撃技能高いんだっけ」
実力至上主義であるこの職場は、戦闘の前線に立つ場合、能力の高い者が前に立つべきだと優先される。ハルは眉も肩も落とす。
「うう……。もっと先輩らしいことしたいんだけど」
彼女が、壁にかけられていた防弾チョッキに手をかけたのとほぼ同時。
ジョイは、壁際の机の上に置かれていた、ある物体を目にした。
充電ドックにセットされたモノクロの立方体、アーマード・キューブ……。横に二つ並んでいる。
この部署では、ジョイ以外の全員が、既にアーマード装着の登録を済ませている。本来ならば、その手続きを済ませていなければ、装着もできない。
しかしどういうわけか、スタジアムでの騒動の際、ジョイにはそれができた。
もしかしたら今回も……。
自分が大活躍する光景を想像。ワクワクと気持ちが高ぶりつつ、予備のアーマード・キューブへと手を伸ばす。
指が触れようという直前のことだ。
いきなり横から手首を掴まれた。
誰だと思って見上げれば……少し面倒だと思った。
この部署の中で唯一と言っていいほど口うるさい眼鏡の上司、フランだったからだ。
「装着の生体認証、及び試験も受けていない、新入りのはずだ」
このように、彼に『無断装着』の瞬間を見られてから、常に怪しんだ目をジョイに向けてくる。
ジョイは苦笑いで彼に返す。
「前回のは多分何かのエラーだと思うので、あくまでお守り代わりとして……」
「それが問題だと言っているんだ! 自分の名声を上げるために、何か仕組んだんじゃあるまいな!?」
「できるわけないですよそんなこと!」
始まってしまった言い争いに、ダンが割り込む。
「おい監査官! オレの代わりには誰かが行くべきだ!」
「それは他の人員で事足ります!! 社会と秩序を守る警察官として、まず我々がルールを守らなければ――!」
ドスッ。
水平に揃えられた手刀によってだ。
厳格過ぎる上司の首裏を、目にも止まらぬ速さで打ち抜いてみせた。
「ぐっ!? ぅ……」
魂が抜け飛んでいったかのように、彼はその場で倒れてしまった。
この所業は、いつの間にやら回り込んでいたハルがやってみせた。
自らがダウンさせた上司を、特になんてことない表情で見下ろし……。
途端に我に返ったかのように口を大開きにさせ、掌も添えた。
「うわぁぁ! やってしまいました……」
併設されている本部長室から、ゼオンが歩み出てきた。
「何の騒ぎだ」
その仮面の姿を見たハルは、あわあわと口角を波打たせた。
「せ、先輩として、カッコいいところを見せようと思ってつい……」
「いい。迅速な行動が最優先だ」
ゼオンの合理的な応対に、ジョイは痺れを受けるように震えた。
「さっすがぁ……。ゼオン隊長は話が分かる」
「隊長呼びはよせ」
一方、フランが気絶したのを見たダンが、ノートパソコンを操作。署内及び周辺の監視カメラを確認し終えた。
「見たところ、正面以外に不審人物はいない」
その報告を受け、ゼオンが命令を下す。
「現在、エントランス側のエレベーターは封鎖している。二人は裏口側の非常用エレベーターから降りろ」
*
キャンディの気分は有頂天だった。
エントランス奥にあるエレベーターは巨大な円筒状のガラス張りで、五階の吹き抜けを通過するまでは、このエントランスや外を見下ろせるスケルトン仕様になっていたからだ。
よく鑑賞できる。
自然と口角が上がりつつある中、同じ組織の仲間である覆面の男が、エレベーターの上矢印ボタンを押す。
光が点かない。
箱が何階に到達しているのかを示す上部のインジケーターにも、一切の光が灯っていない。
覆面の男は、ガラス越しの受付員に呼びかける。
「エレベーターを起動してください。カナ・ブラウンが最上階にいることは分かっています」
「誰のことだ?」
受付員は表情を変えず、首を傾げるだけであった。
ならばと対抗し、覆面の彼――。
統括官秘書という立場が終わった今、どの名を使っているのかキャンディは思い出せずにいたが――彼は、エントランス中央に置いた人質の警備員を冷徹に見た。
「あの方が先ほど、彼女の所在を口にしていました。隠したところで無駄な足掻きです」
彼らに追い打ちをかけるように、キャンディは爆弾のスイッチを見せびらかす。
「ほらほらいいの~? 口の中の温度を保つのなんて、限界があるんだよ~? ワンちゃんの頭が吹き飛んじゃうよ~~?」
一向に行動を示さない受付員を見て、キャンディは口を尖らせる。
「じゃあ代わりに、あなたに死んでもらおっかな~」
「挑発には乗らない」
「逆に聞くけどさ、パトカーの爆発もキャンちゃんがやったって言ってるのに、どーしてそんなに落ち着けてるわけぇ?」
そのまま両腕を広げ、回りながら天井を仰いだ。
「例えばこのエントランスのどこかに~、パトカーの時と同じタイプの爆弾が仕掛けられちゃってるかもー!」
今まで冷静だった受付員だが、その脅しを聞いた途端、瞳が動いた。視線が下に行ったり、右下に行ったりと泳ぎ始める。
覆面の男がまた言葉を発する。
「もう葛藤の必要はありません。カウンターテーブルの裏にある、エレベーターの起動スイッチを押しなさい」
受付員の表情が固まる。
図星……。
彼は無意識の目の動きで、エレベーターを制御する手段を伝えてしまったのだ。
「これは簡単な二択です。自らスイッチを押すか、私に接近され、あなたが被害を受けるか」
職務……という、人によっては命より優先する枷も、もはや通用しなくなった。
彼は上体を傾け、机の裏側にある何かに触れた。
するとエレベーターの、階層表示ランプが灯った。
キャンディは両手を握り、腰をくねらせる。
「助かる~! この世界の人間ってバカばっかで最高!」
覆面の男が、改めて上昇ボタンを押す。
待っている間にキャンディは、今は遠くにいる警備員の方へ振り返る。
「じゃあこっちも誠意として~……」
先ほどまで見せつけていた爆弾のオンオフスイッチを、改めて自分の頭より高い位置まで掲げる。
そして親指で、カチッと押し込んだ。
ワッと両掌を見せつける。
「はい、爆弾は解除してあげました~! これであなたは自由の身! ハッピーエンド! 感動!! 家族のところに帰れるよ!」
適当に美しい言葉を並べていると、チーンという音が鳴り、エレベーターが到着した。
キャンディは、隣の顔を隠した男の脇に腕を通し、胸元を押し当てる。
「それじゃあ行こっか、彼氏くん!」
階移動用のガラス張りの箱へ、共に乗り込む。
最上階へ向かうボタンを自ら押した後、ここまで到達するために利用した二人を凝視する。
まず受付員の男性は、未だに身体を傾けたままである。キャンディ達が上へ行ってから、エレベーターを強制停止させる腹積もりだろう。
そして警備員の男性も、同様に直立を維持している。
口から飴を出そうとはしていない。細心の注意を払っているのだ。
二人の位置に、さほど距離はない。
扉が閉まる。
スケルトン素材であるため、まだ外の様子が見れる。
箱が上昇を始めたその矢先。
「あっ。いっけなッ!!」
キャンディはわざと声を上げ、ペロリと舌を出す。
手に持っている器具を自身の顔の横へ添え、隣の彼氏を見た。
「爆弾の電源、今がオンの方だったかも」
*
カザミは、両膝を抱えた状態でしゃがみ込み、ため息をついた。
「また説教っぽくしちゃったぁー……」
先ほどの、生意気な青年に対する自身の言動が、未だに後悔として尾を引いていた。
彼はイレギュラーとしては新米同然。もっと優しく寄り添ってやるべきなのに、自分ときたら……といった具合だ。
人二人が横並びで入るのがやっとな、高層ビルの狭い裏路地。目の前でジョボジョボと、青色の光り輝く液体がバケツの中を満たしていく。
これが、ビルのフレームを彩る青ネオンの正体であり、カザミのアルクス・ブーツを作動させるのに必要な素材、ブルー・クーラントだ。現代の高度化し過ぎたネットワークを常時維持するには、熱暴走という問題が必ず生じてくるが、それを防ぐための使い切りな冷却液体として、至る場所で重宝されている。
ネオンフレームの筒に入っているが、カザミがブーツの刃で亀裂を入れ、そこから湧き出たものを頂戴している。フレームから出れば輝きを失い、青く濁った色合いとなる。
AGEFが生産するロボットにも使われている。パッチというロボットの仲間がいる以上、そこから奪うというのは道義に反するとしてやらないでいる。
いずれにしても盗みは働いてしまっているわけで、罪悪感がないといえば嘘になる。カザミは両手を合わせ、目を閉じ、深く俯いた。
「ごめんなさいごめんなさい……。目標達成までの間だけですので、お許しをー……」
懺悔を終えて目を開き、焦点に合ったのが、バケツの色だ。
よりにもよって赤かった。至るところに、思い出してしまう口実がある。
何故、事あるたびに彼のことで悩まなければならないのか。
そうしてつい、気が緩んだタイミングでのことだ。
震える重低音だった。
爆音と差し支えないほどに、日常離れした音が少し遠くから響き渡った。
聞こえた方を向いてみると、路地の終わりの通りでも、同じように音を聞いた人々がぞろぞろと集まっている。揃って音の鳴った方角を見る。
「騒がしいな……」
バケツがいっぱいになったところで、カザミは木の蓋で閉めて立ち上がる。
クロエ以外のレジスタンス組織が何か問題を起こしたか。或いはしばらく音沙汰なしだったが、強化イレギュラーが現れたのか。
自分が介入するには明るすぎる時間だが、放ってもいられない。見に行ってみようと思った。




