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刑事アズキ 第十一話。

警視庁、廊下。

アズキは暗く深い記憶の海から戻り、立ちすくんでいた。

石田は後ろにいるアズキの異変に気づいた。


「どうしたアズキ?」


アズキが焦燥した表情で石田に話しかける。


「石田さんお話しが。」


様子を察した石田がアズキを見ると話しかけた。


「どうしたい?」


「飲みに連れて行って下さい。」


アズキは石田に答えた。


「わかった。行きつけの居酒屋でいいか?」


石田は困惑しながらも、そっとアズキの肩に手を置いた。



石田が行きつけの居酒屋で、ダイブで見たビジョンを必死で説明するアズキ。

石田は身振り手振りで説明するアズキの話を聞き続けた。

そして、真剣な表情をするとアズキにあるアイデアを話し始めた。

アズキは石田の話を聞くと覚悟を決めたように深く頷いた。



翌日、特殊能力課。

田村は荷物整理をするアズキに不機嫌そうな顔で話しかけた。


「石田は休みか?」 


アズキはしらを切るように返事した。


「二日酔いじゃないですか?」


「まったく、これだからノンキャリアは……。」


田村は呆れたような表情をし、頭を掻くと段ボールに自身の荷物を詰め込み始めた。



その頃、多摩川のガス橋の下。

大量の枯れたアシをかき分ける石田の姿があった。

群生する枯れたアシの中、石田は何かを見つけた。


「やれやれ、何で河川敷に捨てますかね?ゴミ箱じゃあるまいし。」


石田はぼやきながら頭を掻くと立ち上がった。



警視庁、地下駐車場。

アズキと石田は一人喫煙所にいる黒いポロコートを着た黒沢を見つけた。

アズキは目を閉じ、かつて見たビジョンを語り始めた。



——ーー蒸し暑い大田区の倉庫、黒沢総監と殺害された刑事。

空を飛ぶジェットの音とアブラゼミの声。


「課長、何考えてる。」


「何の話だ?」


黒沢総監が鼻で笑うように答えた。


「東龍会の取り締まりはいい。代わりに白龍会の連中がヤクを使って勢力を拡大してやがる。」


「だから?」


冷静に答える黒沢総監。


「母親が再婚したな。元の名は?」


黒沢総監の顔色が変わった。


「よく調べた。」


黒沢総監が胸に手を入れた。

 

「ところで、タバコいいかな?」


「タバコによる目線誘導、目を見なきゃいいんだな?」


黒沢総監が胸に入れた手を≪ワルサーP38≫に持ち替える。

そして、≪ワルサーP38≫を刑事に向けた。


「ならば死ね!!」


黒沢総監は暗い多摩川のガス橋の上からワルサーを捨てた————



アズキは目を開くと、袋に入った証拠の銃を黒沢に突きつけた。


「違いますか、黒沢総監?私、鼻が利くんです!!」


「なるほど。確かに鼻がいいようだ。」


黒沢はニヤリと笑い答えた。

石田が黒沢を問い詰める。 


「さぁ、どうする?この銃には、あんたの指紋がベッタリ着いてんじゃないの?」


黒沢は胸のポケットからタバコを取り出すと、タバコに火をつけアズキを見つめた。


「ところで、ここは禁煙だったかな?タバコのこと忘れてくれるかい?」

 

アズキが不敵に笑う、黒沢を睨みつける。

その瞬間だった————


「!!」


黒沢はアズキと目を合わせ記憶の海へとダイブした。

黒沢が記憶の海の中で手をかざすと、アズキの直近の記憶が暗い海へと溶けていった。


「この女はこれでいい……。あとは隣の男を……。」


アズキは我を失ったように立ち尽くした。




「……ここまでだ。」————  


刑事アズキ。 第十一話。 終わり。

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