元素の印 。さあ、戦おう。
ルナと彼の仲間たちは、それぞれの元素の印章を手に入れる。
魔法。
『マナを動力源として元素を創造したり操作したりする現象。知識さえあれば誰でも基本的な呪文をそこそこのレベルで唱えることができ、ほとんどの人は最低限のレベルで満足している。しかし、この大陸に住む者にとっては適応が難しい。我々が持つマナは、わずかな魔法でも破壊的なものに感じさせるからだ。だからこそ、君たちは学生時代、印を使わずに互いに戦うことができたのだ。』
それは、ルナの両親が、彼が同級生たちと起こした様々な小競り合いを知った後に得た情報だった。
『正直、こんな土地に住んでいると、とてつもない破壊力があれば何でもあり得るんだろうな……。一体どういう仕組みなんだろう……。きっと何柱かの神に祝福されているんだろうな』ルナはそう考えながら、両親との会話を思い出していた。
会場に到着すると、考え事に没頭していたルナは、教官の一人が彼らの目的についての説明を繰り返すのを聞いて、現実へと引き戻された。
「言い伝えによると、魔法は神々が我々人種族に授けた贈り物だと言われています。神々は魔法を授けることで、知性を持つ種族が陸や海を容易に行き来できるようにしたのです。しかし、魔法を習得するには、多くの訓練とマナへの接触が必要です。」別の入り口から入ってきたエンティス先生は、生徒たちがアリーナに到着した際にそう語った。
「マナ、すなわち魔力は、植物や生き物など、あらゆる生命体から発せられる。マナの本質は、属性を持たない力である。そして、この力は、肯定的および否定的な感情や行動によって影響を受ける。」
「善や正義の属性を持つ正のマナは、善行の顕現、あるいは人々を守るための魔法として現れる。一方、悪意を持つ生物によって放出される負のマナは、知性を持つ種族の破壊を企む魔獣やその他の醜悪な邪悪な生物を生み出すことになる」と彼は続けた。
オーク、ゴブリン、トロールなどは、目の前に現れるあらゆる種族を攻撃し略奪するため、悪に染まった生物の例と言えるでしょう。一方、エルフ族、妖精族、精霊族、人間、獣人族などは、好戦的で力を崇拝する種族ではありますが、中立か善に染まった種族に分類されます。しかし、善に染まった生物の中にも、堕落や悪の影響を受けることで悪に染まるものもいるため、善悪の境界線は曖昧になることがあります。そこで、闇や不正、光や正義といった概念が生まれるのです。
「マナは、どんな形であれ、最終的には少なくとも一つの元素を操ることになる。ジャスパー、いわば元素の概要を説明してくれ。」彼はそう言って、ルナのクラスにいるダークエルフの男子生徒を指差した。
「ああ、それならパイリス 、アクウィス、ヴェントゥス、サブテラン、フローラン、エクスパンス、ルミン、アビス、そしてクロノですね」とジャスパーは答えた。
「ええ、その通りです。続きですが、知性を持つ種族は皆、生まれながらにしてマナと魔法を操る能力を持っています。その能力の程度は種族によって異なりますが、全体としては全く別の話になります。デライラ、いわば、私たちが知っている魔法の階層について説明しましょうか?」彼はそう言って、背が低く、緑色の髪で爬虫類のような尻尾を持つ少女を指差した。
「えっと、最初は低階層から始まって、今のところ知られている最高位は破壊階層です。でも、神の領域にアクセスできる至高の階層があるという噂もあります…」と彼女は静かに言った。
「その通りです、デライラさん、ありがとうございます。ところで、至高の階層というのは噂ではなく事実です。実際、私たちが知っている伝説の英雄たちはその階級に属しています。それはさておき、一流の魔法使い、魔術師、妖術師など、呼び方は何でも構いませんが、彼らは魔法の出力に基づいて異なる階級に分類されます。ここで言う魔法の出力とは、マナ伝導の強さ、つまり魔法の知識へのアクセスレベル、そしてそれを実用的に活用できるかどうかということです。これをテストする一つの方法は、身体強化魔法を使うことです。」そう言って、彼は実演を始めた。
彼は全身に魔力を広げ、わずかに光を放った。そしてその魔力を腕に集中させ、手の届く範囲にあった訓練用ダミーを殴りつけた。するとダミーは衝撃で爆発し、硬い木製の本体が床に飛び散った。しかし、エンティス先生は予想通りの結果だったため、依然として冷静だった。
「マナを制御する能力が強ければ強いほど、魔法、つまり魔法を使いこなし、操る能力も強くなる。これはちょっとした復習に過ぎない。君たちはアーティファクトを使ったテストで既に知っているはずだ。」彼は服についた埃を払いながらそう続けた。
「生まれつき才能のある人は多いが、才能のない人でも、たゆまぬ努力でその高みに到達できる。」という声が響き渡り、生徒たちは声のする方へ振り向いた。
「俺は生まれつきこんなに強かったわけじゃない。君たちが今愛し、尊敬してくれる教師になるために、毎日訓練を積んできたんだ。ウワハハハハ!」そう言って、東の入り口から入ってきたフェフニル先生は笑った。
「いつも派手な登場をするな、アイザック。君も授業に参加するのか?」エンティス先生は、部屋に入ってくる同僚を見ながら尋ねた。
「そうだ、ゼイン。まさにそうするつもりだ。彼らも私の生徒だ。だが正直なところ、この結果にはかなり興味があるので、直接見てみたかったんだ」とフェフニル先生は笑顔で答え、何気なく同僚の方へ歩み寄った。
「なるほど」エンティス先生は平然と答え、生徒たちの方を振り返った。
「では、標準的な要素に基づいて5つのグループに分かれてください。これらの要素を扱えない生徒は、残りの2つの要素で評価されます。」生徒たちが散り散りになり始めると、彼はそう指示した。
彼らはそれぞれ異なるグループに分かれ、フルトはヴェントゥス魔法、キワはパイリス 魔法、ルナはアクウィス魔法を選んだ。
フルトは風魔法に親和性があり、他のどの元素よりも頻繁に使ってきたという理由だけで、ヴェントゥス属性を選んだ。
キワは、その燃えるような性格から、パイリス の元素にまさにうってつけだった。彼女はルナとの戦いでこの元素を頻繁に使用し、その使用頻度の高さから「炎の姫君」とも呼ばれていた。
ルナがアクウィスの部品を選んだ主な理由は、利便性のためだった。
『キワと戦ったり、父とスパーリングしたりと、私はこれまで何度も事態を沈静化させる役割を担ってきた。だから、この要素は私に合っていると言っても過言ではないだろう』とルナは考えた。
「では、一人ずつ順番に儀式を試してみてください。共鳴は瞬時に起こるはずです。その瞬間、印のある場所から強い魔力が発せられているのを感じるでしょう。その後は、まるで呼吸をするように、その元素を使うのが楽に感じられるはずです。」フェフニル先生は、二つのクラスを見渡しながらそう述べた。
「授業でも言ったように、複数の元素に挑戦してみるのも大歓迎です。それから、付け加えておきますが、これはもう周知の事実だと思いますが、印章を手に入れなかったからといって、その元素の魔法が使えなくなるわけではありません。印を持っている場合のような強化効果は得られないだけです。ただし、ルミン、アビス、そしてクロノの元素は特別な能力が必要なので、この限りではありません。」とエンティス先生は付け加えた。
「つまり、僕が既に他の元素をかなり高いレベルで使いこなしていることを考えると、必ずしも別の印を手に入れる必要はないということですよね?」と、サブテラン元素グループの学生であるガレスは尋ねた。
「あなたの考えは理解できますが、エルゴンさん、正直言って、放っておくよりは試してみる方がずっと良いでしょう。それに、それらの元素のパワーアップを考えると、2つの印は1つよりも間違いなく優れています。マナを無駄に消費することなく、より多くの力を使えるようになります。とはいえ、あなたが最も得意とする元素と相性の良い元素を選んでいただきたいのですが、このグループのスキルレベルを考えると、どんな組み合わせでも何とかやっていけるはずです。」とエンティス氏は答えた。
「先生、複数の要素についてですが、2つの要素を同時に使用するマルチキャスティングは不可能なのでしょうか?」と、ヴェントゥスグループのウサギ耳の少女が尋ねた。
「アリス君、君は異なる元素の二重、あるいは三重の鋳造に興味があるかい?」とフェフニル先生は答えた。
それから彼は残りの生徒たちに話を続けるように促した。
「実際、難しいというわけではないのですが、それを効果的に、継続的に行うには、並外れた能力が必要です。ゼイン先生はそれができます。彼はアクウィスの使い手であるだけでなく、フローランの要素も使いこなします。ほぼ完璧に両方を操るのです。私は彼がそうするのを見てきました。彼にできるなら、あなた方の中にも必ずそのレベルに到達できる人がいるはずです。」とフェフニル先生は続けた。
「アイザック、君は私の経歴や能力を生徒たちの前で暴露することに全く抵抗がないようだね。今の私のようにうまくこなせるようになるまでには何年もかかったんだ。」とエンティス先生は答えた。
「どれくらい時間がかかったの?」と、フローラングループの少年が尋ねた。
「ええ、ハロンさん。15年かかりました。それまでは、魔法を別々のタイミングで使うことはできましたが、同時に使うことはできませんでした。魔法を同時に使うコツは、次の呪文が既に発動している呪文にどのような影響を与えるかを見極めることです。でも、今はそのことは考えないでおきましょう。儀式を続けましょう」とエンティス先生は答えた。
2つのクラスを合わせると生徒は約50人で、1グループあたり平均8人だった。ルナのグループは姓の順に進めることにしたため、ルナは最後になった。
本来なら緊張感に満ちた雰囲気だったはずが、和やかなムードに包まれ、生徒たちは魔法を唱えながら会話を交わし、誰もが望む印を手に入れることに成功した。次々と、生徒たちの前腕、首、胸、背中など、あらゆる身体部位に印章が現れた。印は出現する場所に特にこだわりはなく、種類によって微妙な違いが見られるだけだったようだ。
これが続き、残りはほんのわずかになった。次にルナの番になったのは、別のクラスの獣人族の少年だった。ルナはその少年とは面識がなかった。獣人族の生徒は魔力を溜めながら元素の破片に近づいた。そして元素の破片に触れると、彼の魔力は鮮やかで穏やかで魅惑的な青色に変わった。彼は一歩後ろに下がると、魔力は上げた腕に集まり、まっすぐに胸へと向かい、胸に印を刻んだ。彼はグループの他の全員と同様に、成功したのだ。
今度はルナの番だった。
...
...
これはおかしい…
他の人にはこんなことは起こらなかった…
ルナは、目の前で7、8回繰り返されたステップを踏んだが、穏やかで魅惑的な青色の代わりに、ターコイズブルーの色合いを帯びた、まるで水晶のように澄んだ海のようにきらめく、幻想的な青色に包まれた。
印が表示されている箇所は、他の者たちと同様に衣服の上から印表示されていたが、ルナの場合は、同じように光り輝く、大きく複雑な印が前腕から胸筋、背中、そして襟元まで伸び、そこで止まっていた。
「うわっ!」
「ちょっと明るすぎない?」
「待って、印ってそんなに大きかったの?」
「すごい」
「一体どういうことだ!」
アクウィスのエレメントグループをはじめ、部屋中から困惑と驚きの声が飛び交った。
「これは滅多にお目にかかれない光景ですね。こんなに若くして、もうこんなものを持っているなんて。もしかして、水の精霊と契約しているんですか?」エンティス先生は驚きの表情で尋ねた。
「彼はそれを成し遂げるためにエルフの国へ行かなければならなかったはずだ……待てよ、彼はエルフの血を引いているんじゃないか?」フェフニル先生は、畏敬の念を抱きながらそう言った。
「その辺りのことはよく分からないが……待てよ、幼い頃に精霊と友達になったことがある……何年も会っていないが、もしかしたらこれは彼女からの祝福なのかもしれない?」ルナは少し驚きながら答えた。
「あり得るかもしれない…」エンティス先生は、今は考えにふけっているが、学者としての好奇心が燃え上がっているようだった。
「ねえ、君の見た目とかを考えると、もっとパイリス かサブテラン寄りだと思ってたんだけどな。」
「でも、極端な対照だよね。」
「かっこいいと思うよ。」
「まあ、そうだね。君は彼に片思いしてるんだから。」
「彼だけが異端児ってわけじゃないでしょ?ウォラーだって狼族なのにフローラの要素を選んだじゃないか?」
「私がフローラの魔法を使うのが何か問題なの!?」
「彼はただ、お気に入りの先生の足跡を辿りたかっただけなんです。」
「ああ、そうだね、君は確かにそうしたんだね、フフゥ」
穏やかでありながらも活気のある会話は続き、やや突き放したような口調ではあったものの、生徒たちが短い学校生活の中で身につけた驚異的な偉業に対する、今や生来備わっている適応力も示していた。
「それにしても、感心しましたわ」傍らで見ていたキワは、ルナに近づきながらそう言った。
「そんなにすごいのか?」ルナはいつもの無関心な口調で答えた。
「じゃあ、腕全体に伸びているあの印はどう説明するの?」彼女は問い返した。
「 そうよ、どういうことなの?僕は最高の魔法使いに囲まれて育ったけど、すぐにそのレベルに達した人なんて知らないよ!」とフルトは答え、ますます興奮した様子でルナの胸に飛びつきそうになった。
「これほど珍しい紋章を持つ人物が現れるとは、我々が学生たちを過小評価していたのかもしれませんね」とエンティス先生は付け加えた。
「興味深いのは、他の水使いの印と比べて、その詳細さです。まるであなたのために作られたかのよう、あるいはあなたがその条件を満たせるか、あるいはあなたの意図を理解しているかのようです」とフェフニル先生は答えた。
「それはなかなかいい言い方だね。ただ、幾度もの戦闘で目覚めたこの元素に対する俺の本能が、もしかしたら関係しているのかもしれないと思ったんだ」と、彼はキワをじっと見つめながら言った。「そう思ったんだ」。そして、挑発に応えて舌をキワに突き出しながら笑みを浮かべた。
「もし本当にそう思うなら、試してみてもいいんじゃない?ここはアリーナなんだから。」キワはそう言いながら、人差し指から一筋の炎を揺らめかせた。
「まあまあ、まだ授業中なんだから、先生がいない時にいくらでもやればいいよ。」
「ふん、戦わせておけばいいさ。奴らは戦士なんだから。」フェフニル先生は期待を込めて見守りながら、同僚にそう答えた。
「やるなら、グループバトルにしよう。エレメント対エレメントでね。」と、サブテラングループの生徒が付け加えた。
「え、じゃあ誰も2つ目の元素に挑戦してみたくないの?」フローラのグループの別のメンバーが尋ねた。
「それは戦闘が終わってからじゃダメなのか?」と、パイリス 元素グループの別のメンバーが答えた。
「それは理にかなっている。他の元素も使えるようでは、元素戦争とは言えないだろう」と、ヴェントゥス派の一人が主張した。
「つまり、あなたが使う元素以外の魔法は全て禁止ってことね……ふふふ、面白そう。」アクウィスグループの獣人少女が付け加えた。
「それに正直言って、ルナさんが味方についてるんだから、ほぼ楽勝だよ。」
「フルト君が黙ってはいないだろう!」
「パイリス ユーザーも侮ってはいけませんよ。キワ姫様もここにいますが、私たちにも強力な砲兵部隊がいますから!」
「キリアンくんも負けないよ!」
「あなたは意図せずして、自分の印を巡る元素戦争を引き起こしてしまったのです。」エンティス先生はかすかに微笑みながらそう答えた。
「本当にそうだったのでしょうか?」とフェフニル先生は問いかけた。「それとも、生徒たちは自分の実力を試すことに興奮しているのでしょうか?」
「さあ、戦線へ!仲間を守れ!これはまさに元素の乱闘だ!」彼は仲間たちの諦めのため息を完全に無視し、大声で続けた。
「私もこの流れに乗るしかないな。君たちが持っているこの力を育て、強くなれば、評議会加盟国のどの世界一流の戦士をも凌駕するだろう。」エンティス先生は観客席に向かって歩きながらそう答えた。
「みんなにストレス発散する時間を与えよう。どうせ大したことはやらなくて済んだしね。45分だけ時間をあげるよ。」彼はそう言って、生徒たちを見渡しながら座った。
フェフニル先生も座り込むと、戦場には途方もない圧力がかかり、あらゆる種類の魔力が流れ込んだ。そして、両陣営が互いを品定めする間、あたりは死のような静寂に包まれた。わずかな動きでも、魔法による全面攻撃を意味するのだ。
「よし、みんな分かるだろう?ここに弱者などいない。しかし、誰も戦闘準備などしていないのだから、結界がダメージを無効化してくれるとは思わないでくれ。私たちはこれを想定していなかったので、有効化しませんでした。それに、皆正装している。全力を尽くすのは構わないが、うっかり仲間を殺し合うようなことはするなよ。」
「まあ、そもそもそんなことは起こりそうもないけどね。」
「彼らが元素の印をどのように使うのか、興味深いですね。印の使い方は、戦闘スタイルによって異なると、あなたは彼らに伝えていませんでしたよね。」
「それは確かにその通りだ…ああ、どうやら始まったようだ…」
火の玉が他の元素グループに向かって飛んできた。サブテラングループは岩の壁を作り、ヴェントゥスのグループは風で火の玉の方向を変え、火に対する抵抗力が最も低いと思われるフローラのグループは、樹液のようなもので火の玉を撃ち落とした。
「ほう?なるほど。ウォラーくんは物知りみたいだな。木の樹液を持っているのは彼だ。」
「パイリス 部隊が火球を撃って敵の防御力を試しているなんて、なかなか賢いやり方だ。」
「確かにそうだが、彼らはアクウィス部隊にはそんなことはしなかった。」
「当然だ。水は常に火に勝る。」
「各グループの最前線は、まさに決戦に臨んでいるようだ。」
アリーナは、前代未聞の5人参加型暴力鬼ごっこの舞台と化した。攻撃の方向が分からず、誰もが一番近い相手に襲いかかった。生徒たちはそれぞれの持ち味を駆使し、攻撃と防御の両面で熟練した技を披露しながら乱闘を繰り広げ、観客は実況中継を続けた……少なくとも、最初はそうだった。
ゆっくりと、しかし確実に、それは全面的な乱闘へと発展し、他の者たちは自身の属性を完全に放棄し、肉体強化や無属性魔法攻撃に頼るようになった。5者による決闘のはずだったものが、生徒たちの酒場の乱闘へと変貌した。若い貴族や他の裕福な家庭の者たちは理性を失っていた。しかし、傍観していた教師たちは彼らを止めようとはせず、むしろ解説を一層熱くさせた。それも当然のことだった。誰もかすり傷以上の怪我を負わず、激しい戦いの最中でも皆が楽しそうな表情を浮かべていたのだから。 生徒たちは時折、まるでレスリングの技を互いに見せつけ合っていた。まるで親睦を深めるためのセッション、あるいはチームビルディングの演習のように、元素の印で区別されなくなった2つのクラスは、決められた時間まで戦い続けた。
エンティスは手を叩きながらアリーナに足を踏み入れ、皆の注意を自分に向けさせた。
「さあ、みんな、気分は良くなったかい?」
「確かに、かなりきつい運動だったよ」と、ざわめきの中、一人の生徒が答えた。
「ウォーミングアップみたいなものね」と、キワは両腕を頭上に伸ばしてストレッチしながら付け加えた。
「君みたいな人ならね」と、フルトは彼女に近づきながら言った。
「まあ、全力で戦うわけにはいかなかったけど、最後の20分はかなり激しかったね」とルナも付け加えた。彼は自分のエレメントグループを含む複数の生徒から主な標的にされていたにもかかわらず、全く疲れた様子もなく、二人の質問に無頓着な態度で答えた。
「マナ消費以外に深刻なダメージを受けずに済んだなんてありえないでしょう。」キワのクラスの生徒の一人が、相変わらず真面目そうな表情でそう答えた。
「もし今、マナの疲労を感じていないのなら、それはまさにあの印の効果の証だ。」フェフニル先生はそう言いながら、集まった人々のほうへ歩み寄った。
「後半戦でそれらを使っていた人はほとんどいなかったでしょうけどね」とエンティス先生は、やや気のない笑いを浮かべながら言った。
「ああ、確かに…」ざわめきが大きくなる中、一人の生徒がそう言った。
「本当に…」別の生徒が声を上げた。
「すいません!」生徒たちは一斉にそう言い、お辞儀をして許しを請うた。
「問題ないよ。控えめに言っても、かなり面白かった。アイザックも参加したがっていたくらいだ」とエンティスは同僚を横目で見ながら付け加えた。
「君だって同じことを望んでいたんじゃないのか?」フェフニルは笑いながら答えた。
「君たちが互いを守るために全力を尽くしたことはよくわかる。だが、それは君たちが同胞だからに過ぎない。これから君たち自身と敵の命を危険にさらす戦いに身を投じることになるかもしれない。慈悲など許されないのだ。」エンティスは生徒たちにそう言い放った。
「また、我々の国、いや、我々の連合国家は、国境を越えた多くの国々から羨望の的となっていることを知っておいていただきたい。だからこそ、我々はこの学校とその周辺で維持している平和を守りたいと考えているのだ。そのため、我々は君たちに戦闘と魔法の教育を施している。君たちが致命的な力を使う必要がないことを願っているが、もしそれが君たちにとって大切な人々を守るためなら、ためらわずに使うべきだ。それがガウリック王国とその同盟国である連合国家の道なのだ」と、彼はまるで説教じみた口調で付け加えた。
「急に深刻な話になってしまって申し訳ないのですが。ただ、あなたが今手にしている力と、その力を最大限に活用する方法をお伝えしたかっただけです」とフェフニルは答えた。
「その通りだ。君たちの多くは、騎士や貴族として前線で戦った両親や祖父母を持っているだろう。彼らにその経験を語ってもらい、実際の戦場がどのようなものかを心に留めておくべきだ」とエンティスは続けた。
「だが、商人や薬剤師などを目指す者もいるだろう。だが、護身術を身につけておくことは決して無駄にはならない」とフェフニルは付け加えた。
「ふむ…フェフニル先生のアドバイスか」と、キワのクラスの女子生徒が言った。
「しかも、かなり真剣な顔をしている。額面通りには受け取れないだろうな」と、ルナのクラスの生徒が付け加えると、一同は笑い出した。
「やめておいた方がいいよ」と彼は冗談めかして生徒たちをたしなめた。
それまでの真面目で教育的な雰囲気は一瞬にして消え去り、気楽なムードが再び満開になった。
この章を必要以上に長くしたくなかったんです。この世界で使われている戦闘スタイルを説明する良い機会だったはずなのですが、今は曖昧にしておくのも悪くないと思います。緊迫した戦いではないので、あまり詳細な描写は必要ないでしょう。でも、いずれはもっと詳細な戦闘シーンを描くつもりです。おそらくそう遠くないうちに。




