またかよおおおっ!!!!
(ラッキー! タダ飯にありつけたぜ!)
ハジメは心の中でガッツポーズをした。
HP:18
HP:23
……
HP:40
(食事をとるとHPが回復して、ベッドで寝るとリスポーン地点が更新される仕組みか)
システムを分析しながら食べていると、踊っていたゴエモンが声をかけてきた。
「おい、あんた、名前はなんて言うんだ?」
「ハジマックスだ!」
ハジメは元気よく答えた。
「ハジマックス!? 名前にビックリマークがついてるのか? かっこいいな~。俺はゴエモン……。この毛むくじゃらが兄貴のソウソウで、そっちのおっさんがボスのジャックだ。老けて見えるけど、まだ30歳なんだぜ? ひっく」
酔っ払ったゴエモンはしゃっくりをし、口を尖らせながら言った。
(兄貴がワーウルフで、見た目はお爺ちゃんなのに30歳のボス……やけにキャラが濃いNPCたちだな)
「ところで、この辺で武器を手に入れたり、ファストトラベル(移動手段)を使ったりするにはどうすればいいんだ?」
「俺は足が速いし、もう刀を持ってるから分かんないや、えへへ」ゴエモンが笑って答える。
「なんだそりゃ……」
ソウソウが樽の酒を飲み干し、ドンッと音を立ててテーブルに置いた。
「武器ならシュミットに、乗り物なら厩舎にいるラスプーチンに聞け。シュミットはそこら辺をウロウロしてるが、町の鍛冶屋や武器屋を回ってもいい……で、英雄殿? あんたの生い立ち(バックストーリー)は何だ?」
ソウソウは鋭い犬歯を見せてニヤリと笑い、興味津々といった様子で身を乗り出した。
(『英雄』か……プレイヤーのことは英雄とか冒険者とか色んな呼び方をするんだな。それにしても、ここのAIはめちゃくちゃ賢い。もし今後のクエスト展開を有利に進めたいなら、ここで俺のキャラクターに『超絶凄まじい神設定のバックストーリー』をでっち上げておくべきだぞ……!)
「あー、俺は、頭を打って記憶喪失になっちまったんだ……」
(しまったあああ! 一番ベタで量産型のありきたりな設定を言っちまった!)
「ガハハハ! いいじゃないか! なら、これからお前が紡ぐ物語はさらに壮大になるってことだ。何事も初めて(ニューゲーム)みたいなもんだな!」
ソウソウは立ち上がり、酔い潰れたゴエモンをひょいっと肩に担ぎ上げた。ジャックも無言で立ち上がる。
「楽しい話を聞かせてもらったぜ、大英雄殿! ガハハハ!」
豪快な戦士のように高笑いしながら、ソウソウたちは店を出て行った。
(かっこいいな、あの人絶対強いキャラだろ。それにHPも全回復したし、あの人たちに会えてマジでラッキーだったぜ)
ハジメが満足して席を立ち、店を出ようとしたその時――ウマムスコがスッと目の前に現れた。
「お会計です、ブルルッ。エール酒18リットル、豚の丸焼き2匹、それにサラダ。合計で金貨300枚になります」
……。
……。
……。
(……は?)
「また騙されたああああああっ!!」
酒場の中に、ハジメの悲痛な叫び声が響き渡った。




