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俺は今でもVRMMOで最強《アルティメット》プレイヤーのままだ!  作者: イブキ
奇妙な土地と大きなコロッセウム

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38/41

ゴブリンランドの闘技場(第3部)

 バンバンは最後の力を振り絞り、鋭い指笛を吹いた。

 アリーナを暴走していたトゲ付きイノシシが頭を振り向け、主の元へと猛スピードで突進してくる。

 ハジメは待たなかった。

 イノシシが横を通り過ぎるその一瞬、彼は跳躍し、軽装鎧を貫くトゲの激痛に耐えながら強引にその背中へと飛び乗った。

[HP:37 → 29]

 『鎖の死刑執行人』が二振りの刃を同時に放つ。

 ハジメはイノシシに向かって叫んだ。

「前だ! お前の全力で突っ込め!」

 怒り狂い、もはや誰の制御下にもない獣は、死刑執行人に向かって一直線に猛進した。

 凶悪な刃が空気を切り裂いて迫る。

 ハジメは最後の一瞬で真横に身を投げ出し、イノシシの巨体を『盾』として使った。

 鋭いトゲとデジタルの肉体が二つの斬撃をモロに受け止める。巨大なイノシシは文字通り真っ二つに両断された。

 だが、その強烈な衝突の衝撃で死刑執行人の足が半歩だけ後ろへ下がった。

 それこそが、ハジメの求めていた唯一の隙だった。

 彼は地を這うような極低空の姿勢で駆け抜け、死刑執行人の懐、わずか一歩の距離まで肉薄する。

 『三日月のクレセント・ソード』が鋭く煌めいた。

 三日月の夜のステータスボーナスは無い。だが、その一撃は完璧な精度を誇っていた。

[不意打ち(スニーク)ボーナス:ダメージ×2.0]

[クリティカルヒット:ダメージ×2.5]

 放たれた凶刃は、二振りの刃と死刑執行人の甲冑を繋ぐ「メインの鎖」を見事に断ち切った。

 制御を失った二つの巨大な刃が、重々しい金属音を立ててアリーナの石畳に落下する。

 死刑執行人は、自らの両手を信じられないといった様子で見つめた。初めて見せる『驚愕』の反応だった。

 ハジメは休ませない。残されたすべての力を振り絞り、鉄仮面のスリットの隙間へと剣を深々と突き立てた。

 ガキンッ!!

 鈍い破壊音がアリーナに響き渡る。鎖の死刑執行人は大きく後ろへとよろめいた。

 鉄仮面に亀裂が走る。そのわずかな一瞬、スリットの奥に『人間の目』が覗いたのをハジメは見逃さなかった。

 そして、巨漢の処刑人はついにその場に崩れ落ちた。

 完全に光の粒子となって消滅する直前、ゾンビのようにひどく掠れた声が初めて漏れ聞こえた。

「……お前……よく……戦ったな……」

 静寂。

 バンバンは瀕死の状態で倒れ伏している。イノシシはすでに塵となって消え去り、キメラもとうの昔に骸と化している。

 アリーナの中心には、荒い息を吐きながら地面に剣を突き立てて支えにするハジメだけが、一人立っていた。

[HP:29]

 次の瞬間、観客席からどよめきと爆発的な熱狂の入り混じった大歓声が沸き起こった。

 完全に状況を見失っていた実況のゴブリンが、マイクに向かって絶叫する。

「しょ、勝者は……ハジマックスだァァッ!!?」

 ハジメは死刑執行人が消えた場所を見つめながら、手の甲で顔に付着したデジタルの血を乱暴に拭い取った。

 そして、ふっと不敵な笑みをこぼす。

「……ようやく、このゲームも面白くなってきたな」

[レベルアップ:Lv.37 → 50]





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