↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺は今でもVRMMOで最強《アルティメット》プレイヤーのままだ!  作者: イブキ
奇妙な土地と大きなコロッセウム

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
35/40

ゲームを始めよう!

 ペタペタという足音が牢獄の冷たい通路に響いていた。ハジメはネコ・ビリーボーイの巨体の後ろをついて歩く。

 周囲の収容エリアを見渡すと、鉄格子の中にはあらゆる種族の囚人たちが閉じ込められており、中には人間ですらない凶暴な怪物の姿もあった。

 ハジメは歩きながら、以前仕入れた知識を頭の中で整理していた。

(『ゴブリンランド』を統治しているのは、巨体で肥満体のゴブリン『グルプ』だ。元々は普通のモンスターだったが、あらゆる智慧を授ける古代の神器『王冠』を手に入れたことで、あらゆる知性を獲得したという……)

 ハジメは胸の中で独りごちた。

(正直言って、コロシアムで戦うのも悪くないな。これまでのゲームプレイは正直地味だったし、初期エリアをあちこち走り回されるお使いクエストばかりだった。こういうコロシアムでのバトルなら、むしろテンションが上がってきたぜ、ヒヒッ)

「到着だ」

 ネコ・ビリーボーイが立ち止まり、ハジメに向かって振り返った。

「この門の向こうにあるエレベーターが、お前をアリーナへと運ぶ。ハハハ! 楽しませてくれよ、英雄殿!」

 ハジメは不敵な笑みを浮かべ、迷いなく前へと踏み出した。

 エレベーターに乗り込むと、ギシギシと鉄の鎖が音を立てて引き上げられ始める。

(よし! ようやくゲームが面白くなってきたぞ!)

 ハジメは軽くジャンプしてウォーミングアップをしながら、上空から届く大歓声に耳を澄ませた。観客たちの熱狂的な叫び声が地鳴りのように響いてくる。

 エレベーターが上昇を終え、眩しい太陽の光がハジメの視界を一気に染め上げた。

 大歓声を上げる無数の観客に囲まれた巨大アリーナ。ハジメはその真ん中に立っていた。

 グラディエーターたちが戦うコロシアムの最深部と観客席を隔てる壁は、高さ8メートルにも及ぶ巨大な石壁だ。すり鉢状の膨大な観客席は、NPCだけでなく無数のプレイヤーたちで埋め尽くされている。ここは24時間365日、途切れることなく戦いが繰り広げられる狂気の宴場なのだ。

「右側(東)ァァァッ!!!!!」

 実況アナウンサーがマイクに向かって絶叫した。アリーナ中に設置された巨大スピーカーから爆音が響き渡る。

 アナウンサーを務めるのは、派手で大きなモヒカン頭にベストを羽織り、溶接用ゴーグルを装着した小柄なゴブリンだ。

「現れたのはぁぁぁ! 魂を売った英雄! ワイン泥棒の成り上がりぃぃぃ!」

 アリーナ中に設置されたスピーカーが、ゴブリンの叫び声を大音量で咆哮させる。

「ハジマックス(HAJIMAX)!!!」

 観客席から『ハジマックス』の名を呼ぶ大歓声が湧き上がった。

 今のハジメはプレイヤーとしては無名の存在に過ぎない。しかし彼にとって、この瞬間こそがかつての栄光を取り戻すための絶好のステージに思えた。

「そして右側(東)ァァァッ!!!」

(……えっ? また右側?)

 ハジメは首を傾げ、実況席のゴブリンを見上げた。

「我が誇る最高のマシン乗り(パイロット)!!!」

 アリーナの反対側(左側)の大きな鉄門が重々しい音を立てて開き、中から巨大なイノシシに乗ったゴブリンが姿を現した。

 そのゴブリンはトゲ付きのヘルメット、トゲ付きの指切りグローブ、トゲだらけの巨大ハンマーを装備しており、乗っているイノシシのアーマーにまでびっしりと鋭いトゲが施されている。

「俺たちのパイロット! 『バンバン(BANG BANG)』だぁぁぁ!」

「さらに右側(東)ァァァッ!!!」

(このバカゴブリン、右しか方向を知らねえのか!? 史上最悪のアナウンサーだな!)

 あまりのポンコツ実況に、ハジメはイライラしながら心の中で激しくツッコミを入れた。

 アリーナの中央に立つハジメの前方には、イノシシに乗ったバンバンが身構えている。そして今度は、ハジメの『背後』の鉄門がゆっくりと解放された。

 激しいライオンの咆哮がアリーナ全体を揺さぶる。

(よし、ライオンか……)

 直後、ハジメは驚愕で目を丸くした。

 それはただのライオンではなかった。ライオン、ヤギ、オオカミ、そしてワシの肉体が奇怪に融合した禍々しき『キメラ』だったのだ!

 だが、ハジメの胸に湧き上がったのは恐怖ではなかった。全観客が見守るこのステージで、この巨大な怪物を撃破してやるという激しい高揚感だった。

(火を噴く超巨大モンスター……!)

 ハジメが心の中で叫ぶと同時に、ゴブリンのアナウンサーがアリーナ全体に向かって大声を張り上げた。

「ゲームを始めよう!!!!!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。