ゴブリンランド突入
脱衣所にぽたぽたと響くシャワーの水滴音が止んだ。
浴室から出てきた少女は自室へと戻り、手際よく服を身につけていく。膝上まで伸びるロングソックスを引き上げ、可愛らしいスカートを穿き、ゆったりとした着心地の良いシャツを着る。
身長160センチ、慎ましい胸元(まるで小ぶりな梅の実のように平坦な胸)。そして、長く美しい金髪を左右で結んだツインテール。
彼女の名は青木 梅、19歳。彼女もまた、第一線で活躍するプロゲーマーの一人であった。
「お姉ちゃん! ご飯できたよー!」
階下からの呼び声に引き寄せられ、梅は階段を下りていく。
ダイニングで待っていたのは、彼女の双子の姉妹である青木 スイカ(アオキ・スイカ)だった。
年齢は同じ19歳、顔立ちもそっくり。……ただし、首元までに切り揃えられたサラサラのボブヘアと、その胸元の圧倒的な存在感(果実のスイカを思わせる豊かな大胸)を除けば、だが。二人は双子のプロゲーマー姉妹であった。
「両親は二人ともお仕事中だけど、私たちは今日の午後、ずーっと自由時間だからね」
「理解したわ。なら今日は思いっきりゲームをプレイできるってわけね、かしら」
二人は手早く昼食を済ませると、楽しそうにお喋りをしながら食器を洗い、棚へ片付け始めた。
「ねえ、お姉ちゃん。今日はどのステータスを上げて、どんな装備を組むつもりなの?」
洗った皿を拭きながらスイカが尋ねる。
「お姉ちゃんって呼ぶな! 私の方が先に生まれたのよ!」
梅がぷくっと頬を膨らませて抗議すると、スイカは姉(と主張する妹)の可愛らしい反応に、愛おしそうな優しい微笑みを浮かべた。
「ふん、まあいいわ。私はメインの初期クラスが『戦闘士』で、サブが『放浪者』よ。今はバーバリアンを目指しているから、主に『筋力』と『体力』を重点的に伸ばす必要があるわね、かしら」
「なるほどね〜! 私はシューターだから、『知力』と『敏捷』にかなり振ってるよ」
スイカは皿を梅に手渡ししながら話を続けた。
「昨日ね、ついに3つ目の派生クラスが解放されたの! 初期クラスの『放浪者』から始まって、次に『射手』、そしてついに『パイロット・シューター(操縦射手)』が解禁されたんだよ! お姉ちゃん、早くログインしようよ! 早く私のメッカ(巨大人型兵器)を操縦したくてウズウズしてるんだから、ヒヒッ」
「メッカに乗ったゴブリン……ふふ、それはなかなか面白そうな絵面になりそうね、かしら」
梅はくすりと笑みを浮かべ、誇らしげに胸を張った。
「私なんて、もうすでに3つ目の派生クラスに到達しているわよ。初期の『戦闘士』から『バーバリアン』を経て、今は『バーサーカー』の領域に足を踏み入れているんだから!」
二人は片付けを終えると、2台のハイスペックPCが並ぶゲーム専用の部屋へと足を踏み入れた。
スイカと梅はそれぞれのデスクの前に腰掛け、PCの電源を入れてVRゴーグルを装着する。
スイカの画面にメッセージが表示された。
『おかえりなさい、ニビル(Nibiru)』
そして、梅の画面にも同様にメッセージが躍る。
『おかえりなさい、Mz.Hyde333』
『ゴブリンランドへログイン中——』




