同じ酒場、異なる都市
(レベルが1上がるごとに、ステータスポイントとパークポイントが1ずつ手に入る。各ステータスの最小値は1で、最大値は999か……)
(初期ポイントが38あるってことは、理論上の最高レベルは5,956レベルって計算になるな。待てよ、サーバーのグローバルランキングって見れるのか?)
ハジメはメニューからランキングを開いた。
【世界ランキング】
1位: プレイヤー ― ウルトラマン(Lv 1566)
2位: プレイヤー ― ……
(うおっ! リリースからまだ一ヶ月も経ってないのにもう1500オーバー!?……だけど、これでも理論値の3分の1にすら届いてないのか。底が深すぎるだろこのゲーム!)
しばらくイノシシの背に揺られていると、目の前にウィンドウがポップアップした。
『白い回廊へようこそ』
「おいハジマックス! 俺はちょっと厩舎にイノシシを預けてくるわ。こういうデカいマウントを街中に連れ回すのは禁止されてる場所が多いからな」
「了解、分かった!」
ハジメが答えると、クラング!はイノシシに乗って厩舎の方へと向かった。
町を少し歩くと、すぐに『黄金の嘴亭』の看板が見つかった。
(なるほど、本当にどこにでもあるんだな)
クラング!と合流する前に、ハジメは一人で酒場の中へと足を踏み入れた。
カランコロン――扉の鈴が涼やかな音を立てる。
「いらっしゃいませ、冒険者様……おや、ハジマックス様!」
出迎えたのは、あの巨漢のライカントロープだった。
「……え?」
ハジメは思わず二度見した。
「ライカン……だよな? なんでお前がここに!? 『狼と大鴉』の店舗にいただろ!?」
「ええ、いましたよ」ライカンは至って平然と答えた。
「え……と……?」
「……何か問題でも?」
「大アリだろ! ここは『白い回廊』だぞ!? 全く別の町じゃないか!」
「ああ! なるほど、そういうことですか」
ライカンはポンと手を叩き、解説を始めた。
「この『黄金の嘴亭』はグラン・アストリクス帝国のあらゆる都市に存在しますが……実はどの店舗の扉をくぐっても、全てこの『同じ一つの空間』へと繋がっているのですよ。一種の特殊な空間結界魔法のようなものです」
「マジかよ! すげえ仕掛けだな! じゃあ、ここを通ればどの町にでも出られるってことか!?」
「いいえ」
「……」
「お帰りになれるのは、入ってきた扉からのみです」
(チッ……ファストトラベル代わりに使えると思ったのにガッカリだぜ!)
「まあいいや。ワインの積荷の件はまだ調査中だが、とりあえず目的の町には着いたからな。じゃあなライカン!」
ハジメは到着早々、くるりと向きを変えて店を出た。
「よし、待たせたな!」
外に出ると、肩に巨大なハンマーを担いだクラング!が待っていた。二人はそれぞれの目的を果たすため、活気あふれる農耕都市の通りへと繰り出した。




