予想外の敵と、ヒーローの職業
『レベルアップ:Lv 6 ➔ Lv 7』
『レベルアップ:Lv 8 ➔ Lv 9』
『レベルアップ:Lv 9 ➔ Lv 10』
「っしゃあ! やっとレベル10到達だ!」
ハジメは平原でスライムやジャイアントラット、ジャイアントスパイダーといった雑魚モンスターを狩りまくり、達成感に浸っていた。隣ではクラング!も戦闘をサポートしてくれていた。
tハジメの視界にシステムウィンドウがポップアップした。
『戦闘派生を選択してください』
・セイバー(剣士)
・ランサー(槍兵)
・ナイト(騎士)
・バーサーカー(狂戦士)
・アーチャー(弓兵)
……
「選択肢が多すぎるだろ……」
tリストをスクロールしていたハジメの目が、ある一つの項目で止まった。
『仮面の英雄』
「『仮面の英雄』? なんだこれ……クラング! これ何かわかるか?」
「うーん、俺も知らねぇな。横の概要を詳細表示してみろよ」
tハジメは詳細をクリックした。
【仮面の英雄(Masked Hero)】
仮面ライダーをはじめとするクラシックな変身ヒーローにインスパイアされた特殊職業。あらゆる魔法アイテムの性能を極限まで引き出す。お面を付け替えることで専用のアーマーを装着可能。魔法アイテムから新たなマスクを生成し、インベントリにストックできる。
「うおっ! 特撮系のクラスじゃん! 超かっこいい!」
tハジメは迷わず『仮面の英雄』を選択した。
【ハジメの現在のステータス】
・筋力:15
・敏捷:14
・知力:4
・信仰:4
・体力:6
・弁舌:4
「新しいステータスと職も決まったし、いよいよあのゴロツキどもをブチのめしに行くか! ……っとその前に、ちょっと性能を試して……あ、魔法アイテム一つも持ってねぇや」
「……」
「チッ! 行こうぜクラング! あいつらが魔法アイテム持ってることを祈る!」
tハジメとクラング!は強奪事件が起きた街道へと向かった。ハジメはミリタリーパーク(軍事技能)を発動し、五感を強化して足跡やタイヤの痕跡を追跡した。
(サポートアビリティとしてめちゃくちゃ優秀だな、このパーク気に入ったぜ)
t痕跡を辿っていくと、山奥に設営された大きなキャンプを発見した。そこには数多くのならず者たちが集まっている。ハーフオーク、人間、ドワーフ、エルフ……多種多様な種族が同じ紋章のもとに集っていた。
『ユミルの猟犬』の共通の印――それは、首に鎖を巻かれた赤いケルベロスの刺青だ。
「よし、レイド開始だ!」ハジメが呟く。
tクラング!はポケットから布を巻きつけたビンを取り出し、火をつけた。
(モロトフ……火炎瓶か!?)
tクラング!が投げつけた火炎瓶がテントの一つに直撃し、激しい炎が上がった。中から飛び出してきた3体の敵は、炎に包まれてそのままデータの粒子となって消滅した。
tハジメは物陰から飛び出し、太刀を閃かせた。夕方のため『半月の太刀』の追加効果は発動しないが、敵の視界外からの攻撃は【不意打ち(ステルスアタック)】となる。
【戦闘システム解説:ダメージ倍率】
・不意打ち:敵の視界外からの攻撃でダメージ2倍。
・クリティカル:純粋な運で発生し、ダメージ2.5倍。
※両方が同時に乗った時の威力は絶大であり、高レベルの『放浪者』クラスのプレイヤーの間でクリティカルビルドが流行している。
tだが、不意打ちの2倍ダメージだけでも十分だった。ハジメの鋭い一撃が3体のエルフの首を綺麗に跳ね飛ばし、一瞬で経験値へと変えた。
『レベルアップ:Lv 10 ➔ Lv 11』
tハジメはさらに跳躍し、シミターを構えた人間の男と打ち合い、見事撃破してデータへと還元させた。
tエリアを清掃し終えたと思ったその時――ズズズと地面が激しく揺れた。
tヴォオオオオオオオン!!
tチェーンソーの爆音が周囲に轟く。
t木造の小屋が真ん中から真っ二つに叩き割られ、中から巨体が姿を現した。
t身長230センチ。太ってはいるが凄まじい筋肉の鎧を纏った緑色の巨大なオーク。胸元には『ユミルの猟犬』のタトゥー。その手には巨大なチェーンソーが握られていた。
「ウォオオオオアアアアッ!!」
『ボス戦開始:トルクラル ― 飢えた鋸刃』




