天位七絮という最強格
ハーゲルという国の神殿に、天位七絮というこの世界にいる最強の人物である七人のうちの一人が住んでいた。
天位七絮とは神様の次に強い人間が称する位である。
人間以外の種族が天位七絮に居るが、細かいことは関係ない。
ファヴォリセーラはクリスタルの玉座に座って、今日も驕って愚かな下等な人間を殺していく。
「ファヴォリセーラぁっっ!!いざぁっ、勝負ぅっっ!!!!」
「雑魚が我に勝負を仕掛けるとはなんと愚かだ。【幻影】……」
ファヴォリセーラが静かに唱えると座っている彼の前に若い頃の緑髪が短い少年の姿が現れ、玉座に座る彼に重なった。
若い頃の姿になったファヴォリセーラが立ち上がり、長剣を構え、挑んできた驕った少年を脇腹に蹴りを入れた。
彼にとって、軽い一発の蹴りだったが、挑んできた少年は横に吹っ飛んで壁に当たり、長剣を下に落とした。
少年は壁にめり込んだまま唸った。
「うぅぅっっ……ハァハァ。うぅぅぅううぅぅ……」
ファヴォリセーラは足音を立てず、壁にめり込んだ少年に近付いて、立ち止まり、少年の服の襟を掴んで、出入り口の扉がある方向に投げた。
部屋の外で投げられた少年とぶつかった人物がいるらしく、呻き声が聞こえた。
「どいつもこいつも我を煩わせる……」
ファヴォリセーラの姿はいつの間にか、現在の顔に皺がある姿に戻っていた。
【幻影】という技の効力が切れた。
部屋では一つしかない出入り口に歩いていって、次の挑戦者を確認したファヴォリセーラだった。
彼が挑戦者を倒して50人目になった頃、ハーゲルの司祭の一人が姿を見せた。
「ファヴォリセーラ様、今日もお変わりありませんか?」
「あぁ。今日も雑魚を相手にして、つまらんよ……お前は我に勝負を挑みはせんな?」
「ははぁ……天位七絮であらせられるファヴォリセーラ様に挑もうなんてとんでもないです」
司祭が苦笑してから首を左右に振った。
「ハッ。お前はお前でつまらん」
「……。他の天位七絮と相手するのはいかがですか?」
「バカかお前。下位に二人居るが、天位七絮は暇潰しに相手するのは馬鹿馬鹿しいもんだ。それを知っての発言か?」
「失礼しました、ファヴォリセーラ様」
司祭が頭を下げて謝った。
「天位七絮には勝てん奴が何人も居る。忌々しいことにな頂点には一度も勝てておらん」
「そうですか……S級冒険者を相手にしてはどうでしょう?」
「S級冒険者なんぞごろごろいやしないだろ、お前」
「そうですが……ファヴォリセーラ様、そろそろ戻ります。何か御用がありましたなら——」
「ない」
司祭が姿を消した。
「ふぅむ……S級冒険者か……」
ファヴォリセーラが一人で呟いた。




