EpisodeⅩⅧ「進行」
出撃準備が終わり、皆それぞれの機体に乗り込んだのを見届けて俺も自分の機体に乗り込んだ。
「システム、オールグリーン。何時でも行けるぞ」
「こっちも大丈夫だ」
インカム越しから皆の声が聞こえる。
「了解。……全機発進」
そう言うと、ロボットがカタパルトを操作して順番に地上へ出て行く。
順番はKEIさん、SHUTさん、水域さん、トラック2台、俺、ROMANYさん、武神さんと陣形通りで出て行く。
そして、出た順に進んでいった。
今は真夜中だ。
その為、視界が悪いが俺たちの機体にはすべて暗視カメラ機能が備わっているため、真っ暗でも問題ない。
だが、森の中と言うのは昼でも夜でも視界が悪いため警戒を怠ることはできない。
「各自、警戒しながら進行」
「了解」
森を出るまでは気を抜けない。
約30分ほどで森を出た。
森を出ると周りは草原。そこにはキャンプをした後がいくつか残っていた。
「ここでキャンプしてたのか…」
「そうみたいですね」
流石に森に入って一夜を過ごすより、手前で準備を整えた方が得策、という事はわかっていたみたいだ。
馬鹿だけどその辺の知識はあったのかも知れない。
いや、もしかしたら誰かに言われたからそうしたのか。
まあ、どっちにしろ過ぎた事だから考えるだけ無駄と言うものだ。
「ここから見晴らしが良くなりますが警戒を怠らないようにお願いします」
「あいよ」
「了解」
月明かりが照らす中、俺たちはさっきよりも早いスピードで進む。
丸一日かかるという事は到着は明日の深夜という事になるだろう。
そこから休憩と補給を終えれば、朝方くらいになるだろうか。
敵拠点を叩くならちょうどいいが、今回は攻撃が目的と言うわけではない。
あくまで話し合いをしに行くだけ。
「どうするか―…」
「どうした?」
俺の独り言をインカムが拾った性でKEIさんに聞こえてしまった。
「いえ、このままの速度で進んだら明日の深夜に町周辺に付くことになります。補給や休憩を入れたら明日の早朝に街に進むことになるんですけど…」
「そのタイミングだと明らかに奇襲として見られるな」
「そうなんですよねー」
奇襲と見られてあちら側が攻撃してくるかもしれない。
そうなればこっちも反撃せざる終えなくなる。
そうなれば話し合いなんてできるはずがない。
確実に戦争状態に突入する。
殺戮者になるつもりは無いし。
「それなら昼まで待つか?」
SHUTさんの言うとおりにするのが妥当なのだろうが…。
何故か、あまり乗る気になれない。
もし、敵がこちらの動向に気づいて対策を立てて攻撃してきたら…。
そう言う考えが頭に浮かんだ。
でも、この辺は相手の指揮官次第。
敵指揮官が好戦的なら上記の通りになり、そうでなければただ対策を立てて穏便に済ませることができる。
「考えて始まらないか…」
そう一言呟くと決断した。
「補給した後、朝の9時まで待機。それから街に向かいます」
「分かった」
「了解」
***
無事に進むことができ、予定通り丸一日かけて街の一歩手前まで来た。
皆は機体の補給の為、一旦機体から降りて外で休憩を取っていた。
「にしても、この世界の空ってきれいだよなー」
武神さんが星空を見上げながら言ったので、俺も上を見た。
確かに、この世界は地球と違って夜空いっぱいに星が輝いている。
大気汚染とか全くない感じだ。
「文明がそこまで発達していないのか?」
「かもしれません。今まで見てきた人は全員剣を持っていました。それに乗っていたのは馬です。恐らくは中世ぐらいの技術発達かと。ただ、ここには」
「魔法がある……か」
KEIさんにが俺の言葉を代弁するように言った。
それに俺は頷く。
もしかしたらここは科学ではなく魔法が発達していった世界なのかもしれない。
「魔法かー。皆は魔法とか興味あるのか?」
「俺は無いですね。機械の方が好きですし」
「俺はちょっと興味あるかなー」
魔法に興味があったのはKEIさんと水域さんとROMANYさんで、興味がないのが俺と武神さんとSHUTさんだった。
綺麗に3人と3人で別れた。
そうなってしばらくそれぞれの言い分を言い合った後、分かり合えないと悟った両者は同時にこう言った。
「よろしい。ならば戦争だ!」
その後は色々なゲームをして勝敗を決めようとしたが、結局は決まらなかった。
途中から勝敗を数えるのを忘れていた性だったりする。
***
補給が終わり、朝を迎える前に俺たちはそれぞれの機体に乗り込んで待機する。
「9時ジャストに行動を開始します」
「了解!」
インカム越しから聞こえた皆の声はやる気十分だったが、今から戦闘するわけではないのでそこまで気合を入れなくてもいいんじゃないかと思った。
そして、9時になる……。
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