EpisodeⅩⅤ「作戦終了」
機体から降りてKEIさん達の帰りを待つ。
「呆気なかったな」
そう言ったのは隣の水域さんだった。
今回の戦闘は戦いと言えるような物ではなかった。
これは正に蹂躙、虐殺と言っても過言ではないレベル。
この事に皆がどれほどの既視感を抱くのかが問題だ。
できれば、心境の変化がないことを願う。
「お、帰ってきた」
水域さんがそう言ったので、森の方を見るとKEIさんと武神さん、SHUTさんとROMANYさんも一緒に帰ってきた。
恐らく途中で合流したのだろう。
その後ろに補給に出ていたロボット達とそのロボット達に手錠を付けられて拘束されている男が居た。
男はさっき映像で見た500人の指揮官と思われる人物。
男は気絶しているのかロボットの荷台の上に乗せられていた。
「乙でした」
「乙―」
「お疲れー」
互いに労いの言葉を掛けて話を始める。
「初めての戦闘はどうでした?」
「拍子抜けにもほどがあるだろってぐらいにつまらなかったな」
「そうだな。敵は全然こっちの攻撃に対処できなかったし…」
「俺達って結構強いのか?」
そう思うのは必然だ。
しかし、慢心はダメ絶対という事はみんな知っている。
「いや、今回の奴らが弱かっただけかもしれん」
「そうですね。慢心は駄目ですから。それに、この世界の技術レベルを知っていない俺達には判断が付きかねますから。これからも慎重に行動すべきだと思います」
俺の言葉に皆は頷いて答えた。
「それで、こいつはどうすんだ?」
武神さんが親指で指したのはロボットに担がれている男。
未だに気絶中である。
「尋問して事情を聞かせてもらいます。それとできれば捕虜として今後の交渉材料にします」
今回は明らかなら侵攻であり、戦争行為だ。
なら、捕虜として扱い、こちらが優位立てるような状況を作る。
馬鹿そうな男だったが、指揮官と言う事はそれなりに地位の高い人間だろう。
だから、交渉材料としては申し分ないはず。
「尋問ってどうやるんだ?警告の時の話し方からスラスラ話すとは思えないんだけど…」
「大丈夫ですよ、SHUTさん。話さなかったらこれ、使うんで」
そう言って取り出したのは拳銃。
そして、笑顔でスライド引いた。
「なんか、最近カメがドSなんじゃないかって思い始めた」
「失礼ですね、KEIさん。俺はどSではないですよ。少しSが入っていることは認めますが」
その言葉に皆の顔が少し引き攣った気がするが、気のせいだろう。
「それと、一つ聞きたいんですけど」
「なんだ?」
「皆さん心は大丈夫ですか?」
「ああ、それか。俺は大丈夫だ」
武神さんを始めとして皆特に抵抗があったわけではないらしい。
何でも、「画面越しだから現実って感覚が無かった」とかなんとか。
それか、この世界に来てから何か俺達の中で変化が起きているか。
はたまた両方か。
まあ、一先ず戦闘に対して既視感を抱く事が無かったので良しとしておこう。
「というか、あれ…どうする?」
KEIさんがそう言いながら指さしたのは森の方。
さっき戦闘をした方角だった。
恐らく敵兵士の死体をどうするかという事なのだろう。
「ロボットたちに処理させます。燃やして埋めれば感染症とかも防げるでしょう」
「遺族とかに返したりは?」
確かにそれも考えた。
しかし、死体のほとんどが顔がなかったり、体が真っ二つになっていたりする。
そこから身元を確認するのは至難だ。
それなら燃やして埋めた方が彼らのためにもなるのではないだろうか。
「そういう事なら仕方ないか…」
「可哀そう…とかって思っちゃいけないんだよなー」
ROMANYさんが戦闘をした方を見ながら言った。
その言葉に俺は空を仰ぎ見ながら「そうですね」と答えた。
これは戦争で、お互いが命を賭けた結果だ。
敵に向かって同情するというのは相手に失礼だろう、と俺は思う。
そう思うのは皆も同じなようで俺と一緒に空を見ていた。
◆
ガレージに機体を運んで皆はそれぞれの自室で休み始めた。
捕虜とした男は適当に空いていた部屋に入れた。
明日に事情聴取をしようと思うが、多分性格上はじめは素直に話してくれないだろう。
誠に不本意ながらある程度の強硬手段を使うしかないと思っている。
それで、俺は今回記録した戦闘映像を見ながら考察をしていた。
今回の戦闘は戦いと言えたものではなかったが、そこから得られるものがゼロというわけではない。
例えば、実践の時と演習の時との違いや地形と敵の規模が違う場合はどう動けばいいかなど、色々な状況を頭の中で想像してその対処法や戦闘結果を予想する。
その予想からさらに最適な戦闘状況へ導くにはどうすればよいかをさらに考える。
そうして行くことでより高度な戦術と状況判断能力を養うことができる。
「今回の敵の練度はそれほど高くなかった…。突然の状況に対応が遅れ、そのせいで多大なる被害をもたらした。…今回攻めて来た敵がこの世界でどれくらいの強さなのか。それを見誤れば今後の戦闘においての戦術が異なってくる」
椅子の背もたれに体を預けて天井を見る。
今回の敵よりもっと強い敵が来た場合、状況やスタイルによるだろうがその敵に負けるような俺たちではないはずだ。
しかし、物理攻撃無効とかその辺が来たら詰みになる可能性がある。
「難しいな……」
その後は特に何も考えず寝た。
これから厄介ごとが増え、仕事も増えるだろう。
今のうちに英気を養っておかなければ。
評価等々してもらえると大変励みになります。
よろしくお願いします。m(_ _)m




