EpisodeⅩⅢ「不安」
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王女シリカはある知らせを聞いて王都を飛び出した。
その知らせはカンザスの領主からで、カイナの深森にザナックが進軍したというのだ。
勿論、王も誰もそんな命令はしていない。
それに進軍したのは国の軍ではなく、貴族の私兵や冒険者だという。
しかし、彼らにそれは関係ない。
此方の事情がどうであれ、侵攻した事に間違いはない。
彼らが敵となり、この国に牙を向いたのならもうこの国は終わりだろう。
だから、急がなくてはいけない。
手遅れになる前に…。
「どうか、間に合って…」
そう心に願いながら馬に乗って全速力で走る。
その後ろには騎士団の面々が数人。
「彼らはどうするのでしょうか?」
後からクルスが聞いてきた。
「さあ、分からないわ。でも、兄上が負ける事は確実でしょうね…。そうなれば、森から一番近くのカンザスが狙われる事になる。そうなれば…」
嫌な予想が頭を過る。
首を振ってその考えを頭の外に出し、前を見据える。
どれだけ急いでもカンザスには2週間は掛かる。
そして、カンザスから森までは約1週間。
それも500人以上の大人数だともっと遅くなるはず。
まだ希望を捨ててはいけない。
「急ぐわよ!」
そう言うとシリカは更に速度を上げた。
***
「まさか…ザナック王子がこんな事をするとは…」
都市カンザスの領主ロカードは執務室の窓から外を見て呟いていた。
あの森にいる者達に手を出すな。
森を調査したシリカ王女がそう言った事を領主は守っていた。
今現在、あの森には立ち入らないようにこの街の人々と冒険者には伝えてある。
今、森に向かっているのは王都から来た兵と冒険者だ。
我々は一切、手を出していない。
だから、もしも森の者が此方に手を挙げた時はその事を理由に見逃してくれるだろうか。
「いや、そんな考えはやめよう」
そんな事は関係ないのだ。
この事は国王陛下に知らせたが、国が動く事はほとんどないだろう。
国王は厄介ごとを避けたがる性分。
今回の事も深く関わらず、知らなかったとでも言うのだろう。
「それで通じれば話は早いがな…」
きっと今頃は王女が此方に急いで向かっているだろう。
なら、こちらもこちらで今できる最善を尽くさなければならない。
「民の命だけは守らなければ…」
決心を呟きながらロカードは執務室を出た。
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