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02

 翌日。ハヤトとアーリアは、女性に付き添って森の中へ食料を採りに出かけていた。


「本当に、あなたたちがいてくれて助かってるわ」


 彼女は森に少し入った所で木の実や茸などの山菜を採集すると、これで終わりとばかりに家へ戻ろうとしていた。まだ森の奥に生えているのに、どうして採りに行かないのだろうか。そう疑問に思い尋ねたところ、森の奥には魔物が生息していて、襲われる可能性があると答えてくれた。


 ならば、魔物の位置は自分が感知できるため、一緒に行けば魔物を避けて採集できますよと提案した。


 普段、彼女一人では森の奥にほとんど行くことはないそうだ。もし魔物に見つかって大怪我を負った場合、誰にも助けを求めることが出来ないからだ。けれど、今回は自分がいて、魔物に見つかることもない。そんな機会はそうそうないと思ったのか、彼女はこの提案を受けた。


「実際に来てみたけど、本当に魔物の姿が見えないわね」


 話を聞けば、昔に一度、森の奥へ入ったことがあったそうだ。その時は魔物と遭遇して、すぐに湖へと逃げたと言っていた。周囲を見回した彼女は、当時と比べて魔物を見かけないことに驚いているようだ。


「あくまでも、魔物がいないところを通ってるだけですので、何かあればすぐに寄ってきますよ。なので、あまり大きな音などは立てないようにお願いします」


「わかってるわよ」


 そう言いながら、女性は木の実などを採取していく。ハヤトとアーリアも、彼女に倣って木の実を集めていく。


「魔物の位置がわかるだっけ? それ、どうやって見つけてるの?」


「えぇと……。魔力で見てるんですよ。人と魔物の区別は割と簡単に見分けることが出来ます」


「魔力が感知できる、ねぇ……。見たところ、あなた人間よね? 人間はそんなこと出来なかったと思うんだけど、何か魔法でも使ってるの?」


 女性は不思議そうな様子をしていた。


「ええ、まぁ。そんなところです」


 魔法なのは確かだが、魔王の持っていた魔法であるため、ハヤトは軽くはぐらかしておいた。



 採集を終えて、三人で元来た道を戻っていく。


「ところで、ちょっとお願いがあるんだけど?」


 唐突に女性から言われた。


「内容によりますが……、何でしょうか?」


 ハヤトはそう返す。


「いや、湖でちょっと失くし物をしてね。それを探してほしいのよ」


「失くし物ですか?」


「そうなのよ。だから、どう?」


「僕が見つけられるのは、魔力があるものだけですよ?」


 それ以外の物は探せないと言外に言うと、女性は当然といった顔をしていた。


「もちろんわかってるわよ。それで、探してほしいのは指輪なの。それには魔力が籠ってるから、多分見つけられるとは思うんだけど……」


「湖で指輪ですか? それはまた何故?」


「ここへ最初に来た時、ついやってしまったのよ」


 女性は、当時のことを話してくれた。


「村から川を泳いで来たのは言ったわよね? それでようやくここに着いてホッとしてた時、いきなり目の前に巨大な生物が現れたのよ」


「巨大な生物?」


「体全体が見えなかったからはっきりわからないけど、全長は長い巨大な蛇のような姿に見えたわ。多分この湖のヌシか何かじゃないかしら?」


 女性はそう予測を立てた。


「それに驚いて、慌てて逃げようとしたのだけど、その時に外れちゃってね。指輪が湖の底に沈んでいくのを横目に必死で逃げたわ」


「ということは、ヌシがいる湖に入って指輪を探せってことですか?」


「どこら辺にあるかだけ教えてくれればいいわ。さすがに昨日会ったばかりの人に、ヌシから逃げつつ指輪を探せなんて言わないから。私がやるわ」


 女性はそう言った。


「そんなこと言ってますけど、本当に大丈夫なのですか?」


「私だって、伊達に海人族をやってないわ。泳いで逃げるだけなら、多分大丈夫よ」


 女性は自信を見せていた。


「はぁ……。それなら、僕がやりますよ。家に泊めてもらって、食事も頂きましたし……。それに僕の方が、何かあった場合でも対処できると思いますから」


「そりゃあ、あなたにやってもらえたら私としては嬉しいけど、それこそ大丈夫なの?」


 そう言うと、女性は心配そうな顔で聞いてきた。


「多分大丈夫だと思いますよ」


「そうにゃ! 主様は強いから問題ないにゃ!」


 二人揃って答えると、半信半疑ながらも一応女性は納得した。


「わかったわ。そう言うなら、お願いしようかしら」


「任せるにゃ! 指輪は見事アタシが見つけてみせるにゃ!」


「探すのは僕だけどね……」


「にゃ!?」



 女性には先に家へ帰ってもらった後、ハヤトとアーリアは湖の畔に来た。


「じゃあ、魔法をかけるよ」


 自身とアーリアに、水中でも呼吸が出来るよう、体全体を覆う風の膜を纏わせた。


「よし。それじゃあ、行こうか」


「はいにゃ。いざ、出発にゃー」


 準備を終えて、二人で湖の中へと飛び込んだ。


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