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魔王勇者と不死鳥少女  作者: 竹内優斗
太陽の国
28/38

03

 昇降機で地上まで降りてきて、塔の外へ出る。


 二人であの家に向かって歩いていたが、突如空からぽつぽつと雨が降りだしてきた。


「雨か……」


 目的地まではまだ距離があるためどうしようか考えていると、アーリアから声が発された。


「この雨、なんかすごく気持ち悪いにゃ……」


 これまで多少の雨ならば問題なく進んできたにもかかわらず、珍しくはっきりと嫌がる様子を見せていた。


 その様子を見て驚いていると、雨足も次第に強まってきた。


「仕方ない……。あそこへはまた明日行こうか。本降りになる前に一旦宿へ戻ろう」


「そうしてくれると助かるにゃ。あまりこの雨を浴びていたくないにゃ」


 アーリアが嫌悪感を露わにしていたので、急いで二人で宿に戻ることにした。



「さっきの雨、珍しく嫌がってたけどどうしたの?」


 宿の部屋に戻り、今し方本降りになってきた雨について、アーリアに質問した。


「わかんないにゃ。何か体がぞわぞわっとなって、すごく気持ち悪くなったにゃ。今もまだ少し気持ち悪いにゃ……」


「…………国の人たちが変な感じなのは、もしかしてこの雨が原因なのか?」


 ハヤトはこの国の人たちがおかしい原因が、雨にあるのではと考えた。確かに、雨が降ってきたとき微量な魔力を感じられたので、それが原因の可能性はある。その考えには、アーリアも同意しているようだった。


「太陽の国なのに、ずっと雲に隠れたままなのもおかしいにゃ」


「確かに気にはなるね。最初はたまたま曇っているのかと思ったけど、アーリアの様子を見ると何か関係はありそうだ」


 少なくとも、あの雨にはあまり長時間当たらない方がいいだろう。


「とりあえず、今日は雨も降っているしおとなしくしておこう。明日雨が止んでれば、改めてあの家に向かおうか」


「わかったにゃ。……早く雨が止んでほしいにゃ」


 ハヤトもその言葉には、心底同意していた。



 次の朝、こちらの心配は杞憂で、雨は降り止んでいた。


「相変わらず曇っていて冒険日和とはいかないけれど、次いつ降るかわからないし、さっさと目的を果たそうか」


「いざゆかん、にゃ」


 昨日の辛そうな様子は嘘だったかのように、アーリアは楽しそうにしていた。雨が止んでいる今は平気そうな顔をしているので、やはり雨が原因だったのだろう。


 雨上がり、水で湿った道を進んでいると、今まで全く見かけなかった人影を建物の外で見ることがあった。


「昨日は誰も外に出ていなかったのに、今日はどうしたんだろう?」


「雨の対処でもしているのかにゃ?」


 昨日とは違う様子が気になり、周囲を見回しながら歩いていると、突如辺りに何かが崩れ落ちるような音が大きく響き渡った。


 何事かと思い、アーリアと音の発生源へと向かう。すると、そこには崩れ落ちた建物の瓦礫と、その下敷きになっている男性の姿があった。周りに他の人はいたが、その男性を誰も助けようとはしない。仕方なく、ハヤトは駆け寄り安否を確認する。


「大丈夫ですか? 意識はありますか?」


 アーリアに傷を治してもらうよう待機してもらいつつも、瓦礫の中から男性を助け出す。


「アーリア、治療をお願い」


 彼女に傷を癒してもらおうとお願いした。


「主様! 先ほどからやってるけど全然効いてないにゃ!」


 けれど、彼女の口からは思いがけない言葉が飛び出してきた。


「一体どうゆうこと?」


「効果があれば自分にはわかるにゃ! けど、これは何かに弾かれて全く効いてないにゃ!」


 そう言っている間にも、男は何事もなかったかのように立ち上がり、この場を去ろうとしていた。さすがにハヤトもこの異常性に思い至り、変装が解けるけど仕方がないと諦め、自身の力を使うことを決意した。


「すみません、ちょっと調べさせてもらいますね」


 男に一言断りを入れてから目に魔力を込める。自身の髪色が黒に戻るのもかまわず、魔力の流れを確認するために魔眼を使用した。


「やっぱり魔力がおかしい」


 思った通り、この男性の持つ魔力が異常であることが判明した。


「どういうことにゃ?」


「この人の魔力は体の中心ではなく、体の表面を流れているんだ。通常、どの生物も魔力を持っていて、体の中心に魔力の源があるんだけど、この人はそれがないんだ」


 その説明で理解出来たのか、アーリアは真面目な顔へと変わった。


「つまり、この人は生物ではないと?」


「ああ。この人は体表を流れる魔力によって動かされているだけだ。……もしかして、他の人もそうなのか?」


 疑問に思い、周りにいた人を一人ずつ調べていく。すると、ハヤトの予想通り、他の人も全て男性と同じ状態だった。


「やはり、周りの人も全て同じ状態だったよ」


「ということは、この国全ての人が同じ状態なのでしょうか?」


「その可能性があるね。この人たちの魔力は全て同じ種類だったから、多分どこかから流れているのだと思う。ちょっとこの国の魔力反応を調べてみるよ」


 魔力の流れを見るという魔王の力を止め、今度は探知魔法で魔力反応がどこにあるのかを調べる。その結果、国中に男性と同じ反応があることがわかった。そして、同じ反応だが他よりも大きなものが王城から発生していることも。


「やっぱり国中で同じ反応がたくさんあるね。そして、それらよりも大きな反応が城から感じられた」


「では、これからそこへ向かうのですか?」


「…………」


 さらに反応を調べていると、国中にある反応とは別のものが二つ存在することがわかった。片方はこれから向かおうとしていた例の家辺りに、もう片方は昨日行った塔の近くにだ。


 けれど、この反応は……。


「主様?」


「いや、このまま予定通りあの家に向かおう。魔力反応から、多分誰かいると思う。城の奴はこっちに友好的かわからないし、行くのは後にしよう」


「わかりました。それでは予定通りということですね」


「ああ」


 そうして二人は、この国について何か知ってそうな人がいる場所へ、予定通り向かうことにした。


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