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魔王勇者と不死鳥少女  作者: 竹内優斗
太陽の国
27/38

02

 翌朝、目が覚めたものの辺りはまだ薄暗いままだった。起きる時間を間違えたかと思い時間を確認するが、そこにはいつもと同じ時間が示されていた。

 寝ぼけていた頭をはっきりさせ、アーリアを起こさないようゆっくりと立ち上がり、窓辺へと向かう。相変わらず空には雲が覆っていて、太陽の姿は全く見えなかった。


「毎日こんな天気だと、陰鬱な気分になりそうだな……」


 そんなことを思っていると、ふと後ろから物音が聞こえた。視線を部屋の中に戻すと、アーリアが目を覚まし、眠そうな目を擦っていた。


「おはようにゃ……。もう朝かにゃ?」


「一日中同じ天気だから朝というかはわからないけど……。少なくとも時間的にはそうだね」


「暗いから全然目が覚めないにゃ。顔を洗ってくるにゃ……」


 そう言って、アーリアは洗面所へと向かっていった。



「とりあえず、あの明らかに目立つ塔から見てみようと思うんだけど、どう?」


 部屋で軽い朝食を取りながら、アーリアに問いかける。


「問題ないにゃ。あれだけ目立って、すごく気になってたにゃ」


 この国に入るとまず最初に目に入るであろう建物。ならば、恐らくこの国では有名な建物なのだろう。求めている情報が手に入るかはわからないが、何かしらの情報を得ることが出来るだろうと考えた。


「それじゃあ決まりだね。最初はあの塔に向かうってことで」


「いざ、出発にゃ」


 二人は支度を整えて、宿の外に出る。目的地までは大通りを進んでいくため、道中はついでとばかりに周りの建物の様子も見ていく。


 相変わらず通りには人影はなく、建物も寂れた様子だった。途中、建物の中の様子をガラス窓から確認したところ、人がいるのは確認できた。


「女将の言う通り、普通に生活はしてるみたいだ」


「なら、外に誰もいない理由がわからないにゃ」


 そんな国の様子を見て、謎を深めつつも暫く歩いていると、ようやく国の中心と思われる場所に到着した。


 その一角だけは大きく開けた空間になっていて、その中央には外見が白を基調とした円錐状の高い塔がそびえ立っていた。そしてその頂上には、どのような用途に使われるのかわからないが、塔と同程度の幅がある黒い板が水平に取りつけられていた。


「近くで見るとすごいにゃ」


「改めて見ると、壮観だね」


 二人は見たままの感想を言い合う。


「それにしても、一体何をするための建物なのかにゃ?」


「頂上に取りつけられている物はよくわからないけど、少なくとも国を展望する用途はあるんじゃないかな?」


 ハヤトは簡単な予想をする。


「まぁ、中に入ればわかるんじゃない?」


「なら、とりあえず入ってみるにゃ」


 アーリアは率先して塔へと歩いていく。ハヤトも彼女の後を追うようにして歩いていった。



 塔の入口へと着き、透明なガラス扉を開けて中へと入る。中はホールのような広い空間となっていて、入口の近くに受付があった。辺りに人の姿は無いため、どうやらこの中にいるのは自分たちだけのようだ。


 受付の方に向かい、この塔についての情報を探す。すると、見取り図のようなものが壁に掛けられていた。それによると、どうやらここは太陽の塔と呼ばれる場所らしい。説明文には、地上から三十階程の高さがあって、最上階には展望台があると書かれていた。


「やっぱり上の階からこの国を展望出来るようになってるみたいだね」


「なら、早く上に行こうにゃ」


「ちょっと待って。まだ全部読めてないから」


 そう言って、説明文の続きを読み進めた。すると、塔の頂上に取りつけられていた、黒い板についての説明も書いてあった。


「さっきの黒い板の説明も書いてあったよ。あれは太陽光を魔力に変換するための装置みたいだ。それで変換した魔力は、この塔や他の場所で利用されるようだね」


「太陽光にゃ? 今は曇っていて太陽が出ていないにゃ。今も動いているのかにゃ?」


「どうなんだろう? でも、もし動いてたとしても、あんまり意味はなさそうだね」


 この曇り空なら、太陽光を魔力に変換するのは不可能だろう。


「ひとまず、一度最上階まで行ってみようか。近くに昇降機があるそうだよ」


「がってん承知にゃ」


 少し歩けば昇降機はすぐに見つかったので、それに乗り最上階へと向かった。最上階は壁一面ガラスで出来ていて、昇降機を中心にグルっと一周出来るような円状に広がっていた。


「壁一面がガラスで出来ているにゃ。すごいにゃ」


 アーリアが興味津々に壁へと駆けていく。


 一方で、ハヤトは周囲の確認をしていた。相変わらず周りに誰もおらず、フロアには静かで寂しい雰囲気が漂っていた。


 周囲の確認を軽く終えて、アーリアの所へ向かう。アーリアはガラス壁から外の景色を、物珍しそうに眺めていた。


「いつも空から景色を見ているのに、そんな珍しいものではないよね?」


「いつもは移動していてゆっくり見る余裕はないにゃ。それに、国の中で上から見る機会なんて滅多にないにゃ」


「それは確かにね」


 そう同意して、ハヤトも外を眺める。この場所からなら国全体を見渡せる。しかし国全体を見渡したが、やはり人の姿は一向に見られない。大通りだけがそうなのかと思ったが、他の場所を見ても特に変わらない様子だった。


 門がある方向とは逆側を見れば、はっきりとはわからないが、大きな城が建っているのがわかる。

 この国にも城があるのかと考えながら視線を逸らすと、少し離れた場所に農地が広がっているのが見えた。さらに奥へと視線を向ければ、家と思わしき建物が一つポツンと建っていた。


「見てアーリア。あそこに家がある」


「ホントにゃ。しかも、畑に何か植えられてるみたいだにゃ」


「もしかしたら、あそこに行けば何かわかるかも」


「なら、次の目的地はあの家かにゃ?」


「うん。そうしようか」


 こう期せずして、次の目的地が決まった。


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