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魔王勇者と不死鳥少女  作者: 竹内優斗
太陽の国
26/38

01

 ようやく日が沈もうという頃。山間にある渓谷の上空を、一層止まぬ太陽の光を浴びて進んでいくものがあった。


「もう夕方なのに、太陽がまだ出ているとはどういうことにゃ?」


 炎のように真っ赤な外見をした不死鳥のアーリアはそう言った。


「この辺りは一日中太陽が沈まないことで有名らしいよ。そんな場所にあるからか、今向かっている国は太陽の国と呼ばれているみたいだね」


 アーリアの背に乗り、そう返すのはハヤト。


「太陽が沈まないということは、夜が来ないということにゃ?」


「そうだね。今まで旅をしてきた中でもそんな国は見たことがないから、少し楽しみにしてるんだ」


「夜が来ないならお店も一日中やってたりするのかにゃ? 面白そうにゃ」


 これから訪れる国に期待を寄せつつ進んでいく。けれど、国に向かって進むにつれ、次第に辺りが薄暗くなってきた。


「どうしたんだろう? 何やら急に雲が出てきたけど……」


「今にも雨が降りそうな感じにゃ……」


 二人は雲で覆われた空模様に不安を感じながら進んでいくと、山岳地帯を超えたところで城塞に囲まれた国があるのを見つけた。


「あれが太陽の国なのかな?」


「太陽っていう感じには見えないにゃ……」


 二人は国から少し離れた平坦な場所に着地する。アーリアが少女姿へと変わったところで隠蔽魔法を解き、そこから国の門まで向かっていった。



「太陽の国へようこそ」


 周りを山々に囲まれる場所に立地し、高い城塞に守られた国の門には、門兵と思わしき人物が立っていた。彼は伏し目がちで、覇気のない様子をしていた。


「ここが太陽の国であってるらしい」


「雲に隠れて太陽が全く見えないにゃ……」


 アーリアと小声で話し合う。


「うーん……。話を聞いた人によると、太陽が常に出ていて暑いから、熱中症に気を付けるよう言われてたんだけど……」


「むしろ丁度いい温度だにゃ」


 噂と全く異なる状況に、二人は困惑していた。


「ここにいても何かわかることでもないし、とりあえず中に入ろうか」


「了解にゃ」


 ひとまず、国の中を見てから判断しようとの結論になった。


 門兵に許可を貰い、城門をくぐって中へと入る。


 城門からは、土で出来た大通りが国の中央に向かって続いていた。道の両端には、石造りの平坦な建物がいくつも立ち並んでいるものの、人通りはなく、空模様と相まって重苦しい雰囲気を醸しだしていた。そして、大通りの先にある国の中心部。そこには、ひと際高い塔らしきものが建っているのが見えた。


「塔みたいな建物もあるし、面白そうで興味深い国だとは思うんだけどね……」


「人が全然いないにゃ……」


「太陽に照らされて、明るい雰囲気だと思ってたんだけどなぁ……」


 どんな国かと期待していたにもかかわらず、想像していた国とはあまりにも異なっていて、二人は拍子抜けしていた。


「とりあえずこの国の感想は置いといて、まずは宿を探しに行こうか」


「わかったにゃ」


 人の気配がしない中、二人は宿を探すため歩き出した。



「それにしても、ほんとに誰も見かけない……」


 大通りを進んでいたが、今のところ誰とも遭遇することはなかった。周りの建物を見ると、所々ヒビが入っていたり、中には崩れているものもあった。


「建物や看板も傷んでいるようだし、誰も手入れをしていないように見えるね」


「すごく趣を感じるにゃ」


「物は言いようだね」


 少し歩いていると、看板は少し削られていて読みづらいが、宿と書かれている場所を見つけた。


「多分ここが宿だと思うけど……」


「大分寂れているにゃ」


 二人は不安に感じながらも、宿の中に入る。外と比べると年月の経過を感じさせなかったが、あまり人が来ないのか少し埃っぽい感じがした。


「すみません。二人ほど宿泊したいのですが……」


 受付にいた三十前半ぐらいに見える宿の女将にそう尋ねる。


「宿泊ですか? なら空いてる部屋を使ってくれていいですよ」


 女将は門番みたく、元気のない様子でそう答えた。


 ハヤトは料金を払うついでに、気になっていたことを質問した。


「この宿に来るまで、誰とも会わなかったんですけど、他の皆さんはどうされてるのでしょうか?」


「他の人ですか? 皆、普通に生活してると思いますけど……」


 すると、女将からは要領を得ない言葉が出てきた。


「皆建物の中にいるってことでしょうか?」


「建物の中ですか? 外にも人はいると思いますが……」


 女将に聞いても、結局堂々巡りになってしまったので、諦めて会話を切ることにした。


「お話ありがとうございます。では、空いてる部屋に泊まらせてもらいますね」


 二人は受付を離れ、二階の空いてる部屋を見つけて中に入った。



「それにしても、太陽の国と聞いてたのにこんな薄暗いし……。何があったんだろう?」


「門の人もさっきの女将も、会う人皆様子がおかしいにゃ」


 部屋の中で、二人は出会った人たちの様子について話していた。


「女将との会話も意味がわからなかったし……」


「女将は皆がいつも通り生活していると思っているようだったにゃ」


 女将はむしろハヤトたちの言葉を理解できていない様子だった。


「建物も古いまま放置されてる感じだったし……。この宿も少し埃っぽいから、人の往来がないように感じるんだけど……」


「でも、それならどうやって生活しているにゃ?」


「わからない……」


 二人は解けない謎を突き付けられたかのように、うーんと唸っていた。


「今ここで考えても仕方がない。明日、何か情報がありそうな場所を探そうか」


「場所にゃ? 他の人は探さないのかにゃ?」


「さっきの会話を見ればね。他の人を探すよりかは、何か資料でも調べた方がいいと思う」


「なるほどにゃ。了解したにゃ」



 こうして、明日はこの国の情報を求めて探し回ることに決まった。


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