第十四話 稽古
「では!始め!」
『よろしくお願いします!』
夏吉の号令で素振り稽古から始まる。
千颯は稽古が始まってすぐ、自分の欠点が分かり始めていた。
(やばい…この体…体力が無さすぎる……)
それからも足捌きの稽古や面をつけた状態でやる切り返しや追い込み、技の練習などぶっ続けで稽古が行われたのだった。
*
『ありがとうございました。』
「はぁっ…はぁ…はぁ………」
「大丈夫か?千颯」
稽古が終わった時には千颯は息も絶え絶えの状態だった。
そんな千颯を慧斗は心配して声をかけていたが様子を見ていた南雲が口を開く。
「フンッ、まだまだね…はぁ…こんな程度で息切れしてるなんて…はぁ」
「なーちゃんも汗ダクダクだけどねぇ」
「う、うっさい!燎香もでしょ!」
「どっちもどっちだよ〜…ふぁぁあ」
燎香に突っかかる南雲に呆れつつツッコム蒼は眠そうに答える。
そんな蒼にまだ動き足りない慧斗が声をかける。
「蒼はまだ余裕そうだよな。なぁ、これから練習試合しようぜ!」
「え〜〜、僕、寝たいんだけど〜」
「いいじゃん、蒼とは今で10勝10敗だからな。今日は勝つ!」
「もう、しょうがないな〜。じゃあ11勝目は僕が貰うね〜」
「いや!俺だから!」
そんなふうに嫌そうにしながらも蒼は慧斗をからかいながら道場の中央へ向かっていく。
そんな様子を尻目に千颯はもう一度、竹刀をもって素振り練習をしようとすると夏吉が声をかけてきた。
「千颯よ、お主…筋はいいが体力面にちょっと問題があるようじゃな。よし、わしが考えた特訓メニューやってみるか?」
「特訓メニュー?」
「あ〜そうじゃ。これじゃ!」
夏吉が取り出した紙にはびっしりと練習メニューが書いてあった。
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ランニング:5km
腹筋:100回
背筋:100回
腕立て伏せ:100回
上記をやった後、素振り練習と足捌き練習をする。
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(これは…確かにハードメニューだが……私が昔やってた筋トレメニューと変わらんな……よし…)
「わかった…やってみる。」
「おう!………えっ…あ、いや…冗談のつもりじゃったんだが…」
「……え?」
「ふむ…」
2人の間に微妙な空気画漂った時真ん中の方で練習試合をしていた慧斗と蒼の試合が終わったようで審判係をしていた南雲が声を上げる
「勝負あり!」
「ありがとうございました。」
「ありがとうございました。」
結果はどうやら蒼の勝利だったようだ。
面や胴を外すと慧斗は落ち込んだ様子で夏吉の方に向かってくる。
「負けたーー。じいちゃん…」
「やった〜。11勝目〜」
「なんじゃ。練習試合じゃろ。本番の試合で勝てばええんじゃ。落ち込むより練習あるのみじゃ!」
喜んでいる蒼とは対象的に不貞腐れている慧斗はいじけたように口を開いた。
「そうだけどさー…………って何持ってるんだ千颯」
「これ?…特訓メニュー…」
千颯が持ってるプリントを見た慧斗が嫌そうにな顔で口を開いた。
「げっ…これじいちゃんが考えた鬼メニューじゃん…やめとけよ死ぬぞこれ…」
「えっ…やろうとしたんだけど…」
「まじか…」
「はぁあ?」
「うそー」
「……うげぇやめといた方がいいよぉ…」
千颯が言った言葉に上から慧斗、南雲、蒼、燎香の順に声を上げる。
そんな様子に千颯は驚く。
(…引かれてる?。昔よくやってた筋トレ方法だんだんだが……)
(そういえば美希によく脳筋って言われてたような…さすがにこの量やるのは身体がびっくりするし少しずつやるか…)
「そっか…じゃあ量を減らしてやろう…」
「そ、そうじゃな!そうじゃ。お主らもうすぐ暗くなる時間じゃ。今日の稽古はこれで終わるぞ。 礼!」
『ありがとうございました。』
*
稽古が終わり千颯は家の縁側で外の空気を吸いながら座って景色を見ていた。
(ベースに剣道…祐希としてやってたことがこの世界でも触れられるって思わなかったな……)
考え事しながら夜空を見ていると千夜子が声をかけて来た。
「どうじゃった?剣道楽しかったか?…すまんな…本当はわしも千颯の稽古姿見たかったんじゃが…急用ができてしまってのう…」
「ううん、大丈夫…楽しかったよ…でも体力面がやっぱり無くて、すぐバてちゃった。もっと体力つけるために明日から神社の周りとか走ってみるつもりかな…」
「そうか…頑張るんじゃよ!」
そう言って千夜子は千颯に期待の眼差しを向けた。
そんな千夜子の眼差しに気恥ずかしくなった千颯は目を逸らすのだった。




