おばけ
子供の頃から妖怪やお化けは好きでした。絵本に出てくる世界はそのまま、身近にありました。暗い夜道、追いかける月、ふくろうの声、変な唸り声。今ではそれは理屈も分かります、当時はそれが不思議でなりませんでした。
絵本を閉じた
縁側には主人公
あの木の下や
草むらに
狸や狐が笑ってる
木の上には烏
遠くの田んぼには白鷺
夜になったら梟が鳴いた
読んだ世界と目の前の世界はおんなじだ
図鑑で読んだ世界もおんなじだ
「こいつタガメいうねん。」
「こいつはオニヤンマや。」
子供の遊び集団
僕らは全ガキ連
少年探偵団の歌を歌いながら山を行く
保育園も学童クラブもない
塾もない
学校は遊び場だった
年上の子たちが教えてくれた
ナイフの使い方
ロープの結び方
いつの間にか覚えていた
「あの空き家、お化け出るんやて。」
上級生の話は怖くて面白い
家で昔話を読んでいた
どうして家では怖くないの?
お化けたちはユーモアがある、滑稽だ
狐やタヌキは時々人間に恩返しをする
本当はいいものたちなんだ
夜になると庭の奥から声がする
カサコソ音もする
多分あれもあのものたち
僕は想像たくましい子供になっていた
都会へ越してきてからは
あのものたちは見えなくなった
代わりに怖い怖いモノが出て来たよ
人間だ
お化けより怖いかも
2026年抒情文芸冬季号佳作
本当に怖いのは人間、、それがこの詩のモチーフです。




