恨みを買った勇者-1 タカノの出張
この世界には冒険者という職業があって、多くの転生者は魔王を倒すために冒険者になり冒険をする。
しかし、中にはそれを違う意味で履き違えて見境なく暴れ回る自由奔放な冒険者もいる。
焔帝国ではそう言った異世界の勇者が目立っていたせいか、異世界人の冒険者のイメージは野蛮で礼儀知らずな存在と認識されている。
今回は世界を救う冒険者が過ちを起こしてしまうのであったーーー
焔帝国は国境付近にある、
魔王軍関連施設の破壊をするため義禁庁の選抜部隊を極秘裏にバターミン藩王国の国境地帯へ送り込んでいた。
その隊長を務めるのはもちろんタカノだった。
タカノはラシュトスタンに用事で里帰りしていたので現地へ直接向かったが...
作戦に参加する部下たちは、高度な転移魔法を使い都からバターミンの禁軍駐屯地に赴き作戦会議をしていた。
部下5人は選りすぐりの手練れ揃いを選抜してきていた。
今回の任務ではシンも共に行動を取ることにした。
補助のために冒険者パーティにも依頼をかけていて、国庫から大金を使って、S級やA級冒険者を揃えるように指示を受けていた。
クラスに関わらず冒険者のピンキリなのは業界に片足を突っ込んでいたタカノは分かっていたので、出来るだけこの任務に見合う人材を4人揃えるようにした。
その中にアデルも入っていたが、ショウタはこの任務には向かないのが目に見えていた。
「今回の任務は、ウラル湖にある。
魔王軍の補給地と思われる施設の破壊か...
事前情報だとここから徒歩で2日ほど行ったところにあると聞いてる。
今回志願したのは藩王としての個人的な事情もあるが、西域平定のためには重要な任務だ。
各位それぞれよろしく頼む」
一同はそれを聞いて頷き、タカノは作戦の概要を説明し始めた。
「5日の行程で向かう。俺率いいる5人は敵施設に潜入して爆弾を仕掛けてくる。
アデルたち冒険者達には、
ウラル湖を見渡せる場所から脱出の際の支援を頼む。
合図を送るからそのタイミングで拠点施設付近に向けて魔術攻撃を行なってほしい」
一同はそれを聞いて頷いた。
冒険者は魔術師中心に集めた。
彼等には脱出の支援がメインで、補助系魔法と治癒魔法、大火力の攻撃魔法を撃てる人材を揃えていた。
タカノの任務は他にあって、
魔王軍の機密情報の入手にもあった。
その任務に当たるタカノとシンと部下達だけに伝えられていた。
任務が開始され、
一行は予定してた通り2日かけて目標が見えるところに到着しそこにベースキャンプを作った。
タカノとシンと部下達は顔にドーランを塗りながら、身体中の枝葉をつけて使用する武器の確認をしていた。
それを見ていたアデルと冒険者達は少しおかしな物を見るような目でタカノ達を見ていた。
「まさか、一国の王様が華美な装備を捨ててこんな感じで戦いをするなんてどこか不思議よね」
アデルはそう言ってきたので、タカノはそれを聞いて笑ってこう言った。
「確かにな、ここまでの隠密行動をとる王様なんて俺ぐらいしかいないだろうな....
こんなのがミミにバレたらやな顔されそうだな」
アデルはそれを聞いて、クスリと微笑してこう言った。
「奥様の知らない部分を私が知るなんてね。
これがあなたの世界でのやり方なんでしょ?
魔法攻撃は任せて」
「ああ。他の冒険者たちにもよろしく言っておかないとな」
タカノはそういうとドーランを塗り終えて立ち上がると他の冒険者たちにも声をかけることにした。
「ラシュト藩王!?なんて格好なんですか!?」
「一国の主人がここまで、偽装するとはやはり武闘派という噂は本当だったか...」
そう口々にタカノが前の世界仕込みの潜入スタイルを見て皆が驚いていた。
そして何よりそれが、大焔帝国の禁軍のエリート兵士達も同じことをしていたから余計に驚かれていた。
「東ロムスルの帝国騎士団だとこんなことしないから、みんな驚いているのよ」
アデルがそう説明してくれて、タカノは納得した。
「近衛兵が前線に立つ時は、華美な装備って世界なんだもんな....
こんな隠密行動を取らせてくれるのも焔帝国がこの世界の常識から少しずれているからかな」
「ある意味だからこそ、魔王軍が隙をつけないのかなって思ってしまうわ」
そう言ってどこか落ち着いた様子をして見せると冒険者達もどこか、タカノの装備に納得したのかなるほどなと口々に呟いていた。
「明日はよろしく頼む。合図は説明した通りだ」
タカノがそういうと冒険者達は頷いて答えてくれた。
夜が明ける前にタカノとシンに選抜して連れてきた5人の義禁に兵士達はベースキャンプを経っていった。
隊列を組み周囲を警戒しながら、弓を持ち慎重に森を進んでいった。
タカノの目論見では、朝日が上がる頃には爆弾を仕掛け終えて爆発と同時に全力疾走で逃走。
背後から魔法使い達の支援を得つつ魔王軍の勢力圏から離脱できればいいかなという感じだった。
「冒険者達には言わなかったが、敵施設内にある情報文書の回収もするからな...結構骨が折れるな」
「仕方ないじゃん、仕事でしょ。タカ兄」
タカノの愚痴を聞いたシンがそう淡々と返事を返してきた。
タカノはため息をついて、
見張りの交代の時間を狙い裏門につけた。
事前の情報から、
警備を行なっている魔物はオーク兵でその数はこの施設だけで300匹ほどいることは分かっていた。
あとは魔王軍に賛同する犯罪者や傭兵崩れの人間と言ったところだ。
一度大きな騒動を起こしてその隙を狙って、
爆弾を仕掛けてなどと作戦を考えていたが....
焔帝国がいかに強大で狡猾な国なのか簡単に感じることができた。
それは傭兵崩れの人間の中にすでに焔帝国に忠誠を誓う間者が多数入っていて情報を仕入れており、すでに爆弾を設置する場所へのルートは確保できているのであった。
中で反乱因子を育てているという話も聞くと本当に大国なんだなとタカノは感じていた。
日が出る直前までには、
タカノとその部下、シンはキャンプを発って魔王軍の補給基地に向かっていた。
「敵地の潜入だが、工作員がいるとこんなに潜入が楽だなんてな」
タカノはそう誰もいない茂みを歩きながらそう言った。
内通者からの情報で道中は獣すら気配を感じない安全すぎたから出た言葉だった。
見張りの交代時を狙って茂みの中に控えていた。
見張り西方世界の騎士団崩れの兵士達4人だろうと思た。
タカノは合図を送り、気配を消して部下達が動き始めた。
いつもの風景なのだろう、明らかにやる気はないのは目に見えていた。
タカノの気配を消して兵士達に気づかれないように近づいた。
そして、
背後からそれぞれ近づき音もなく見張りの兵士を倒した。
「許せよ。お前らに恨みはない。
でも、お前らも同じことをしてきた筈だ。魔王軍に力を貸したことに後悔をしな」
タカノはそう言って、見張りの兵士の口を押さえて叫ばせないようにしてナイフで喉を切り裂いた。
兵士たちは倒された後だった。
遠くで爆発が聞こえてきてタカノはその方向に目をやった。
明らかに炎魔法による爆発だというのだけは感じ取れた。
「タカ兄。この砦の勢力下にあったバターミン藩王国領の村の方角だよ...どうする?」
タカノは今の爆発が、アデル達のものではないのかと思ったが...
まだ合図も送っていないし、ましてや昨日の会議で攻撃禁止区域にした方位であったのは確かで、
命令違反をするような人員は手配していないので新たな勢力による何かかもしれないと考えたが....
「大丈夫だ。国境警備にあたってる禁軍に村は任せる。
俺たちは俺たちの任務に向かう。行くぞ!」
タカノはそう指示を出した。
すると、タカノの部下達は頷いて砦への潜入を始めた。
ミミ「せっかくの休日ですのに、急な呼び出しですなんてね...
やっぱり、禁軍将校は大変ですわね」
シュリム「そうですよねーーー旦那様が、何日ものんびりしてるのを見たことがないです...
ミミ様は旦那様のことを思っているのですね」
ミミ「そうですわよ。まぁ、せっかくの家族水入らずという時にこう出て行かれては辛いですけども...
仕方がないことですわ。タカノ様にはこれしかないのですもの...
この焔帝国で生きる、真面目な異世界人としてこのような贅沢な暮らしができるのも。
身を呈すほどの国への忠義がなければ、手には入りませんでしたわ...
私もそうですが...焔帝国かみればよそ者ですもの。
必死になって初めて今の生活があるのですからーーー
タカノ様には頑張っていただいてはいけませんのよ」
シュリム「うーん。ボクには詳しくわからないにですが...旦那様頑張ってください!」
ミミ「取り合えず、シュリム。告知を」
シュリム「ミミ様!ありがとうございます!では....」
マオ「えー、じかい!リン!これなんて読みますの?」
リン「次回。任務失敗その理由は...ですの!」
メイ「お楽しみですのぉ〜」
シュリム「うっ!可愛すぎて!!!尊し!!!!」




