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仲間の絆と嫉妬-3 悪の心、キレるタカノ

「実況見分はこれで終了だな....」


そう、血塗れになった部屋から出てきた城衛将のルウ・オンは険しい表情をしていた。


今朝早く砂糖の搬入でやってくる砂糖問屋の丁稚がこの菓子屋を訪れたところ、

いつもなら準備をしている店主がいないことを不審に思い裏口から母屋に入って、寝室で瀕死状態になっていた店主を発見したことで今回の事件は発覚したーー


タカノは武官用の執務服を着てそれに立ち会っていた、横にはシンと義禁庁の部下3人も並んでいた。


「通報を受けた城衛士が確認したところ、ここが蜜餅屋で瀕死状態だったのは店主ファン・ルロイ...

今も意識は戻らず生死の間を彷徨っていると聞いてますーーー


蔵にあった店の金が盗まれているにも確認してます。


こっちで亡くなっていたのはその妻のロゼッタってわけです」


ルウ・オンはそう言ったあと、目の前にある部屋を指差してそう言った。


タカノは部屋の中に入り、布団の上で殺されたロゼッタの遺体を見て、その凄惨な姿を直視して客観的に見たあと、湧き出る感情を抑えるために目を瞑った。


「死因は絞殺だな。しかも、強姦された後でか」


タカノはそう言って手を合わせて合掌をして部屋を出てルウ・オンにこう言った。


「俺はこの店を義禁庁御用達の店にしようと、決裁を挙げていた。

正式にまだディンサン将軍の印が押されてないためまだこの店は禁軍の関係じゃない....


要は俺たち義禁庁は首を突っ込む、畜生働きじゃない」


「え、でもタカ兄...」


シンはタカノがこの店と親しくしていたのを知っていたから、そうその場をさろうとするタカノを止めるように言ったが、


タカノは首を振ってこう言った。


「公務に私情は挟めない。これは城衛の山だ....行くぞ」


タカノはそう言って、事件現場を後にしようとした時ルウ・オンが拱手を作りお辞儀をしてこう言った。


「陽都城衛庁の将として、必ず犯人を捕まえます...」


そう言ったようにタカノは聞こえていた。

蜜餅屋を出ると、心配そうな顔をしていたシュンテイがいた。


アルスとエミリも城衛庁の手伝いで来ているらしく、野次馬を追い払うようにしているのが目に入った。


「お前たちは、先に屯所に戻ってくれ。俺は、ルロイの様子を見てから戻る」


それを聞いたタカノ部下たちは拱手を作り会釈をしてそのまま通りに出て、離れて行った。

シンはただならぬ、タカノから発せられる何かを感じてポケットの中にある戦闘用で使わない術式が書かれた札を取り出して思わずこう聞いた。


「防音と認識阻害の術式は展開させるよ」


タカノはシンのその言葉を聞いて、首を振ってこう言った。


「なくていい。怒鳴って暴れたところで何も変わりないーーー


ただ、これだけは聞いてて欲しい。

分かってると思うだろうけど、久々にキレた」


タカノはそう静かにそう言って深呼吸をした。

怒りが込み上げるとタカノはスキルの影響で狂人化するのでそれを必死に抑えているようにシンは感じられた。


しかし、その怒りはどこか漏れ出ているようでその圧力にシンは少しばかり恐怖を感じていた。


「犯人の目的は何かはわからないが、幸せを奪ったことには変わりない。

しかも俺の友人の幸せをだ....

あんな酷い手で殺したーーーー」


シンはふとタカノはそこまで本気でキレている理由がわかったのだ。


前の世界で目の前で初恋の人を犯されて殺されたのを見ていてそれが心の奥底で深い傷となっているからだと感じられた。


それと重なっていて、タカノ自身も普段とは違うレベルの怒りを感じていたのだった。


「犯人が何を思ってこんなことをしたかは分からないが、俺は許さないーーー」


シンはタカノの目から発せられる静かな怒りと凍りつくような殺気で背筋が凍り一瞬だけだったが、完全に恐怖をしてしまった。


それに気がついたのか、タカノは首を振ってそっとシンの両肩に手を置いてこう言った。


「すまない。怖がらせてしまった...」


「いいんだよ。

タカ兄の気持ちもわかるから....

それよりもルロイのところに行こうぜ。西城民府の医院にいるって気いいてるし」


シンはそう言うとウィンクをして変化の術をしようして狼の姿に返信した。


「乗りなよな」


「ありがとうよ」


タカノはそう言ってシンに跨ってルロイが収容されている医院へ向かって駆け出した。


街を駆け抜けながら、タカノはこう言った。


「なーシン。犯人は何を思って、ルロイとロゼッタの幸せを壊したんだろうな....」


「知らないよ。知りたくもないし....」


「そうだよな...でも俺は、ほんの少しだけその心を知ってみたいと感じてる。


俺だってどこかで、誰かの幸せを壊してるのかもしれないし」


シンはそれを聞くと足を止めてこう言った。


「タカ兄の剣は帝国を守って、都人を守ってるだろう...犯人の殺しとは違うよ」


「そうだろうかな、あまりみんなに言わないで欲しいが...

正義のためと言って、悪を斬る。本質は違ったとしても俺もそいつの幸せを奪ってるのは同じだと思ってたりさ」


タカノはそう言って、ため息をついた。

それを聞いたシンはこう言った。


「でも、守るために誰かの代わりに剣を振ってるんだと俺は思うよ。1人で背負わないでよ。タカ兄」


「そうだな、シン。ありがとう...」


タカノはそう言って目的地に着いたのを確認してシンに止まりように合図を送った。

シンが止まるとタカノは背から降りてこう言った。


「殺した奴の心は知りたい。だが、同情する気はない。

奴は俺の幸せを奪い壊した...許し難いことだーー

だから、俺は法の下で裁かれ正義の鉄槌を受けることを望んでる」


シンはそれを聞いてこう言った。


「きっと捕まるさ、城衛庁も血眼で探してるだろうし...」


「わかってるさ。ルロイに会いに行こう...」


タカノはそういうと城民府の医院の門を潜っていった。

ルロイが収容されている病室に案内されたタカノとシンは

傷だらけだったのだろう痛々しく包帯をぐるぐる巻になって虚な目をするルロイの姿をみて息を呑んだ。


「かなり重傷を負っていたのですが、強靭な体力のおかげか大事にはなりませんでした....

先程の意識は戻っているはずなんですが...会話もままならずで」


そう、

担当している法術師がそういうとシンがこう言った。


「魂はあるけど、心が深く傷ついてるように見えるよ...きっと、酷くやられたんだと思う」


タカノはそれを聞いてこう言った。


「無理もないさ...目の前で、愛する人を殺された気持ちなら俺も知ってる。今はそばにいてやろう」


タカノはそういうとルロイのそばに座り彼の手を掴んだ。


「俺に仲間が今犯人を探してる。幸せを奪った奴らは必ず捕まえる」


ルロイはタカノのその言葉を聞いて深く頷いた。

どうやら、話は理解してくれそうな気が感じられた。


ーーーー


「しかしまぁ...よくもやってくれたな。ドウジ。お前が叩きに入った店はとある西域の藩王のお気に入りの店だったそうじゃないか」


そう、深々とため息をついたのはドウジの雇い主であるバードン辺境伯だった。

それを着たドウジは深々と頭を下げているだけだった。


しかし、ドウジに反省の色はないようだった。

強いて言えばどこか嬉しそうに笑みを浮かべているようだった。


「しかし、バードン様。あのヴァレンとかいう極西の騎士から頂いた魔薬の効果はとても有効なものだとわかりました。

不意打ちとは言え、B級冒険者をそこらで雇ったゴロツキどもが倒したことですし」


「ほぉ...そうか、それはいいな。

こちらの手勢は300人程度だがその魔薬を飲めば全員がB級冒険者クラスの強さを得るわけだ。


これならクーデターも可能だな。

みておれよ、我が正統な皇家を名乗るべき存在であることを示してやる」


バードン辺境伯はそう言って大声で笑った。

それをみていたドウジは笑みを浮かべた。


ドウジは自室に戻ると嬉しそうにしているルルがベッドの上で昨日盗んできた金塊を手に持って眺めていた。


「よかったのか?実の兄と義姉を殺して...

そこから奪った金だというのにその笑みを浮かべるなんて不気味だな相変わらず....」


ルルはそれを聞いて金塊を投げ捨ててこう言った。


「あいつらは私の夢を奪ったのよ。このくらいしないといけないの...私は今すごくワクワクしてるのよ。


嬉しくてたまらないのロゼッタが無惨にもああなったのはすごく清々してるし」


ドウジはそれを聞いて、ため息をついてこう言った。


「つくづく、お前の悪の心は読めない。わかりたくもない」


「あら、そう。でもドウジも同じじゃないの?

ゲルガの戦士の誇りを捨てて、ただのならず者になって、奪って犯して好き勝手してるじゃない?」


ドウジはそれを聞いて、鼻で笑ってこう言った。


「それは言われると何も言えねーよ。だけどさ、お前のような復讐心とか嫉妬心みたいなもんはないさ」


「じゃあ、私はきっとタチが悪いのね」


ルルはそう言ってどこか影のある悪意に満ちた笑みを浮かべた。

それを見た、ドウジは眉を顰めた。

シュリム「ドウジってボクと同じゲルガ族なんですね...」


ミミ「そうなのね。もしかして知り合い?」


シュリム「奥様...聞いたことがないので別の家族なのかなと

でも、ボクと同じ一族で大盗賊がいるなんて....ちょっとショックです」


ミミ「そうなのね。でも、シュリムと彼は別人でしょ?気にしなくていいわよ。私は少なくともそう思うわ」


シュリム「ありがとうございます。でも、同じゲルガの民として許せません...」


ミミ「あ、ロゼッタ!こっちはダメですわよ。まだカメラ回ってますから!」


シュリム「ラハト様が引っ張っていきましたね...」


ミミ「とにかく、大丈夫そうね...次回、『ルロイとルル』兄妹に何があったのか...

そして、タカノ様はどう思うかこうご期待ですわ!」


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