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ラシュト家の休日-4 休日最後の夜ってやっぱり寂しい


さっきまで威勢の良かった、ショウタとアルスだったが...

かなりの数のごろつきに囲まれたせいかさっきの威勢はどこかへ消えて無くなっていた。


バンと手下たちはショウタとアルスを見下ろしながら威圧していた。


「やばいやばい......こんな数相手じゃ無理だって」


そうアルスが怯えながら、ショウタに抱きついてそう言った。

ショウタも怯えながらプルプルと震えてこう言った。


「くそ...封魔の剣がないと。てか、俺たちただのソードマスターだから剣がないとねぇー」


「剣がないとなんだ、あぁ!!さっきの威勢はどうしたんだガキ!?」


そう、

テーブルを蹴り立ち上がったバンがそう怒鳴ったーーー

震え上がるショウタとアルスを遠目で見ていたシンはくすくすと笑っているのを見ていた。

ため息をついたタカノは、席から立ち上がってゆっくりとその一団に近づいていった。


「おうおうおう。うちの友達がすまねーな〜。なんだ?何があったんだ?」


タカノはそうバンとショウタ、アルスを取り巻くごろつき共の間に割って入って言った。

タカノの姿を見るなり、バンはこう言った。


「どうも、西域の貴族様。

私に対して無礼な事を言ってきましてねぇー

いくらかお詫びを頂きたい。100両と謝罪で話をつけましょう?」


「100両と謝罪ね。私も馬鹿じゃねーんだよ...

どこから湧いてきた田舎者の悪党どもにやる金も下げる頭もなくてなぁ」


タカノはそう言って、うっすらと笑みを浮かべた。

それを見ていたシンが駆け寄ってくる。


「ダメ、タカ兄!」


そんな声が聞こえたが、それは遅かった。

バンの取り巻きの一人がタカノの服を触った瞬間だった。


服を触った男はタカノの頭突きをくらい、

鼻血を出しながらのけぞり、タカノから手を離した。


シュンテイはそれを見るなり、指笛を吹いて手下どもに合図を送った。

その合図は逃げる合図でそそくさと賭博道具を片付け始めてタカノ一行とバン一行だけがその酒場に残る形になった。


シュンテイは外に向かう扉を背にしながらこう叫んだ。


「旦那!喧嘩するなら、していいが店は壊さないでくれよ!!」


「分かってる!努力はする」


タカノの背中にショウタとアルスは逃げるように近づき、抱きついた。


「タカノさぁん!」

「先輩!」


涙目になりながらしがみついてくる二人を見てタカノは、二人を振り払ってこう言った。


「たく、お前らが売ったんだろ!きちんとしろよ!」


「「はい...」」


バンはそんな3人を見て唾を吐いて、タカノを睨みつけながらこう言った。


「うちの仲間に手出したってことは分かってるだろうな?

どこの高貴な方かしらねぇーが、こっちは悪党で筋通して修羅場潜ってきてんだよ」


タカノはそれを聞いて大声で笑ってこう言った。


「修羅場だって!?たかが街の喧嘩だろが...俺を舐めんじゃね!」


「んだと!お前らこのお貴族様に痛い目見せて、身包みを今日の上がりにしてやろうぜ」


タカノはその言葉を聞くなり、一番近くにいたバンの手下の顔面に右ストレートを打ち込み一発で仕留めた。


それを見てバンの手下達は驚いた表情を見せ、ビビり始めたのをタカノは感じ取った。


動揺したのか色々とバンの手下達が言ってきたので...


「ピーピーうっせぇんだよ!!

死にてぇーやつだけ、かかかってきな!このどさんぴんども!!!」


最初はバンと手下達も一人も貴族相手だからと勝てる気満々で痛そうだが....


タカノ対バンとその手下10人との喧嘩が始まる中で、そっとアルスとショウタは抜け出して少し離れたところにいるシンのところに逃げていた。


「やべーよ...なんなんだよ、あんな先輩見たことないよ」


シンはそれを聞いて鼻で笑ってこう言った。


「あータカ兄って昔、札付きの不良だったからなぁ〜

ステゴロのキリとか言われてた時代あったらしいし...」


「なにそれ!?それで...異世界転生モノの主人公してたの。先輩怖いわ〜」


ショウタはそう言って、カウンターの影に隠れた...

それに続いてシンもカウンターの影に隠れた。

その二人を見て頭に疑問符を浮かべたような顔をしたアルスはこう聞いた...


「どうして隠れんだよ?」


その瞬間だった、タカノに投げ飛ばされてきたバンの大柄の手下がアルスに向かって文字通り飛んできた...


「あぁぁぁ、やばいやばい!」


アルスはそう叫んだが、反応することはできずに衝突しそのまま手下の下敷きになった。

折り重なる二人を見てシンはこう言った。


「ほら、周りは見てないと...て言っても気絶してじゃん」


シンはそう言いながらのこっそりとアルスとバンの手下に治癒魔法をかけはじめた。


一方タカノは...11人の男どもを一人で一方的にボコボコにしている感じであったーー

バンとその手下達は目を当てられないぐらい、顔が腫れがって痣たくさんできていた。


そしてシンはタカノの身体から黒いオーラが出ていているのが目に入り大きくため息をついた。


「やばいな...久々にバーサク化しちゃってるよ。ここからじゃ魔法届かないしな」


シンは困った顔をした瞬間だった。

入り口の扉が蹴破られて大声が聞こえてきた。


「御用改である!!盗賊バン!お縄についてもらうぞ!!」


そう鎧に身を包み完全武装の城衛将ルウ・オンに同じく完全武装の城衛士と雇われたであろう冒険者達が雪崩混んできた。


ルウはタカノが目に入り目を丸くして驚いた。

タカノはそれとは逆に表情も変えずにルウとその仲間達にメンチを切っていた。


「たく、次から次に来やがるなぁ!!あぁ!」


顔面が腫れ上がった、バンは城衛を見るなりこう泣きそうな声を上げながらルウに駆けて行った。


「た、助けてください!お役人様!!!自首しますから、あの悪魔から助けてください!!」


タカノは近くの怯えるバンの手下を横目に、ゆっくりとルウに近づいて行った。


シンはバーサク状態にあるタカノがこのままでは城衛の一段もボコボコにしかねないのを感じ取って、

慌てて駆けて行き背中に手を触れて状態異常を解除する魔法をかけた。


タカノは急に落ち着いた顔をして我に帰り周りを見て、大きくため息をつき自分のボロボロになり返り血を浴びた服を見てもう一つため息をついた。


そしてつけ髭を取って、こう言った。


「とりあえず、あと頼んだーールウ・オン殿」


「了解です。ラシュト卿」


二人のやりとりを見てバンはキョロキョロとルウ・オンとタカノを見てルウに対してこう言った。


「この悪魔はお縄にしないのですかい!?」


ルウ・オンは怯えきってるバンの声とその顔を見て大声で笑ってこう言った。


「何をいうか、これは正当な逮捕行為に基づく11人族を無力化しただけだろ。


この方をどなた心得る。

鬼の義禁大尉ことタカノ・ウル・ラシュト。ラシュトスタン藩王だぞ」


その言葉を聞いて、タカノの正体を知らなかったであろう、バンの一味と一部の城衛士と冒険者達が唖然とした。


「喧嘩する相手を間違った...10人の手下がいても敵わないわけだ...」


ーーーーー


「しかし、締まりの悪い休日だったな...」


タカノは大きくため息をついた。


タカノ、シン、アルス、ショウタ4人は街灯と街から溢れる灯りを背に帰路についていたーーー


「明日からまた、仕事ってのも辛いなぁ....」


タカノがそういうと、

涙目になったアルスがこう言った。


「くそ...あのバンのイカサマがなければ、ショウタに勝ったのに...クエストの報酬全掛けしてたのに....」


それを聞いたショウタはポンとアルスの肩に手を置いてこう言った。


「アルス...俺も今日は結果が芳しくなかった、マイナスだし」


落ち込む3人とは違い、

一人だけニコニコするシンはこう言った。


「じゃあ、俺だけだな」


シンはそう言って、ポケットから小判を3枚出してそう言った。

それを見たタカノが思わず吹いてこう言った。


「シン。すごいな、ベテラン城衛士の1ヶ月分勝ちやがったのか?」


「すげーだろう」


シンがそう胸を張って嬉しそうな顔をしたので思わず、3人は笑みを浮かべた。


そうしているうちにラシュト邸の前についていて、玄関の前には馬車が一台止まっていてそこから、リン・メイ・マオがぴょんぴょんと降りるのが見えたのでタカノがおーいというと三娘は気が付きタカノの方にかけてきて飛びついてきた。


その後にミミがゆっくりと降りてきて笑みを見せた後、タカノのボロボロになった姿を見て眉をひそめた。


くんくんとタカノの匂いを嗅いだ、リンがこう言った。


「お父様...臭いですわ。タバコとお酒の匂いがしますわ」


その瞬間、ミミは目の色を変えてこう言った。

その目は鋭くタカノの心に突き刺さるような物だった。


「シュリム。娘達は疲れただろうし。先にお風呂に入れてあげくださる?」


遠くからシュリムの返事が返った後、

リン・メイ・マオの三人は笑顔を浮かべたまま、「お風呂」と言いながらタカノのから離れていった。


ミミから発せられると不穏な空気感になったのに気がついたシンは回れ右してアルスとショウタの手を掴んでこう言った。


「俺の奢りで、飯行こうぜ!」


「「お、おう」」


ものすごい速さで、

シンとアルスとショウタは家の間から退散していった。


「おいおい!待てよ!」


タカノがそう言ったが、その声は悲しく通りに響くだけだった。


「タカノ様。顛末をお聞かせくれますわよね?」


ミミはそう怒りを包み込み怖い笑みを浮かべてそう言ったーーー


ミミ「タカノ様。今あなたがお召しになさってるのは、ラシュトスタン先代国王陛下、私のお爺様の一張羅ですのよ。

ラシュトスタン王国の象徴を酒とタバコと...血で汚してどういうおつもりなのですか?」


タカノ「いやーこれは、あれだ。囮捜査で使ったんだ...ほらほら、都を騒がせるバンって盗賊団と一戦やってきたんだよぉ」


ミミ「ふーん。でも、今日は休日ですわよね。本当は賭博場でたまたま居合わせて、殴り合いの喧嘩しただけじゃありませんか?(圧力)」


タカノ「い、いやーそんなことないよ(圧が、強い)」


ミミ「くんくんくん、くんくんくん、嘘の匂いですわ」


タカノ「いや…」


ミミ「ま、いいですわ。シンなら直せますもんね。

後で直しておいてください。

タカノ様はもうすでに一刻の王様なのですわ。

王様らしい振る舞いをしてください...」


タカノ「はい...」


ミミ「でも、今日は束の間の休日でしたし時にはそういうのも忘れたい日があるには確かですわ。とにかく、これはこれで終わりです」


タカノ「あ、うん。わかった。お帰り、ミミ。お前も疲れてるだろ?ゆっくりしなよ」


シン「あれ、なんか丸く治ってない?」


アルス「だな...」


ショウタ「まーせっかくの休日だしってことじゃないかな?」


エミリ「ちょっと、アルス...今日の報酬金半分にするって言ったわよね...」


アルス「ごめん。今日ギャンブルで全部なくなった...買ってたら倍以上になってたんだけど...」


エミリ「は?何言ってるの....」


ショウタ「おい、シン。飯行こうぜ。ここはまずい」


シン「だな...じゃあなアルス!」


アルス「え、ちょっとまっ...ごめんってエミリ!ミミさんみたいに穏便に穏便に....」


エミリ「仇なすものに、雷の剣撃を...サンダーブレード!!」

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