ラシュト家の休日-3 陽都の夜
「タカ兄マジでこの格好で行くのか?どっからどう見ても、不恰好なんだけど...」
シンはそう言って頭にターバンを巻きへそだしルックで短い青色のベストを羽織って白いダボダボのズボンを履いた格好をして、
どこかアラビアンナイトに出てきそうな格好をしていて不満そうだった。
タカノは普段着ている中華風の焔帝国式の服とは異なり金色の模様の刺繍が施された黒色のロングコートを羽織り、頭にシンと同じくターバンを巻いていた。
「仕方がねーだろ...変装していかないと、色々ややこしいんだよ。
とりあえずこうしておけば、外国の貴族のように見えるだろーー」
「て言っても、タカノさんが着てる服ってラシュトスタンの王族服装なんですけどね...」
そう、陽都の商人の服装をするアルスが言った。
その横で同じような服装をしたショウタがタカノの姿をみてどこか羨ましそうだった。
「タカノさんだけ、豪勢だなぁなんか羨ましい」
「そうかなー普段きてる礼式の武官束帯の方が派手な気がするけどな...」
タカノはそう言って、つけ髭をつけて鏡を見てこう言った。
「諸君!これより参ろうと思う....打ち合わせだが、頃合いを見て場を去るぞ。
城衛も今回のに目を光らせてるし何より...」
タカノはそう言って、近くのテーブルに置いてあった手紙を手に取ってこう言った。
「姫君御一行が今日の晩に帰ることになったらしい」
シンはそれを聞いて驚いた顔をして目を見開いてこう言った。
「マジかよ!」
タカノはそれを聞いてこう言った。
「我々の任務はこのことにより急に難しいことになった。
今日は俺も楽しみにしていたし、抜けるわけにはいかないが....
いつ姫君御一行が戻るかが不透明だーーー」
それを聞いてアルスは眉をひそめて、アルスはため息をついたが...
タカノは薄らと笑みを浮かべていた。
それを見ていた、シンはこう言った。
「タカ兄まさか....仕事しちゃうの?」
タカノはそれを聞いて深く頷いてこう言った。
「ああ、ここは焔帝国で俺は帝国を守る武官だ....
賭博場には城衛が前からマークしてる盗賊団も入る。
それを捕まえようと思う...
城衛には悪いが、俺の保身もあるーーー」
「いやいや、そんな城衛の邪魔していいのかよ?」
タカノはそれを聞いて悪巧みをするような笑みを浮かべてこう言った。
「俺は、義禁大尉だ。悪を知ったからには野放しにはできないんだよ」
確かに義禁大尉としては、潜伏している盗賊団の検挙は大切ではあるが...
その山は本来、城衛の仕事で彼らは彼らなりに何かを探しているからこそ泳がせているのだろうと感じられたが....
「王様も悪ですな〜」
ショウタはそう言ってタカノを肘で軽く小突いた。
「悪党には犠牲になてもらう、嫁に言い訳ができない」
タカノがそういうと、シンとアルス、ショウタは喜んだ顔をしてガッツポーズをした。
そして、男達4人は賭博場が開帳される酒屋へと向かった。
ーーーー
賭博場は、表向きは会員制の飲み屋ではあるが。
店に前にいかにもアウトローみたいないかつい人が立っていて腰には武官や兵士、冒険者以外で持てるギリギリの長さの短剣を挿していた。
実はその用心棒はシュンテイの配下で、顔を知っていたようで驚いた顔をするなり
タカノの顔を見るなり深々とお辞儀をしてくれた。
「ようこそタカ様。どうぞ奥へ」
「おう」
タカノはそう言うと取り巻きになってるシンとアルスとショウタを引き連れて堂々と店の中に入っていった。
店の中は違法賭博場と言う事で、どこか暗くどんよりしてて、悪党の巣窟という感じではなく....
「じゃあ、3時間後に動きがあるはずだからそれまでに出るからな。じゃあ解散」
タカノはそうみんなにいうと皆各々気になった所へと向かって行った。
そう狭く暗いわけではなく、明るく活気がある空間なのである。
そう、どこか前の世界でいうカジノのような所なのだ。
アルスとショウタはカードゲーム場に向い。
シンはルーレットのテーブルに向かっていったのだった。
タカノはカジノを楽しむことはしない、
ただこの空間にいて一人でに酒を飲みのんびりするのが好きなのだ。
会場内を見渡せば、
知っている悪党から、曰く付きの豪商に貴族の子女などもいれば、街で見かけるような普通の町人も来ている。
一見すると違法ではないように感じるが、焔帝国では特定の街以外での賭博場の開帳は禁止されていて。
帝都では風紀が悪くなるという理由からその特定箇所からは除外されている。
ただ、帝国内で金持ちが集まるのは帝都かリゾート開発された街ぐらいで...
しかも、許可された賭博場では実は国が持っていく巻き上げ金が高くて嫌な顔をする人が多いと来ている。
「ダンナ、来てくれましたかい?」
そう一人でいるところにシュンテイがやってきて声をかけてきた。
「ああ、色々言い訳工作をするのに手間取ってさ、嫁と娘の前じゃ酒もタバコもできないからな...」
タカノはそういうと、シュンテイは待ってましたと言わんばかりにそそくさとキセルをタカノに手渡して、
懐から袋を取り出した。
「涼南省産の上物を仕入れましてね。どうでしょう、一服?」
「ありがとうよ。気が聞くじゃねえか」
シュンテイはそう言って袋を開くと、
タカノはそこから一つまみタバコの葉を摘んで、キセルに詰め込んでいった。
タカノは普段はタバコや酒は、
チートスキルの超身体能力の影響から、ニコチンで落ち着くこともなければアルコールで酔うこともないので...
好んで取ることはないが、こう言った場を楽しむためにもミミに隠れて嗜んでいる。
「バレると半殺しだからな」
タカノはそういうと、シュンテイがマッチで火を用意してくれていたのでそれでキセルに火をつけた。
「いい香りだな。どこか、深みと旨みがある感じだな」
「ダンナわかってますな!」
「一緒にどうだ?」
「よろしいのですか!?」
シュンテイは笑みを浮かべて素早く懐からもう一つキセルを取り出してタバコを入れて火をつけた。
その速さにタカノは驚いたが、笑みを浮かべてボソッと呟いた。
「吸いたかったんだな...」
タカノは煙を吹かせながら、周りを見渡していた。
言い訳工作のためにポケットマネーをほとんど城衛の密偵に渡したりしていたので、実はゲームに参加する気はあまりなかった。
帰りに娘達に買うお土産代は残しておきたいと思う気持ちもあったからだ...
「しかし...その例の盗賊団の頭領って今いるのか?」
「あそこにしまっせ。あの、つるっ禿げのゴツいやつです。
すでに周りには城衛の手先も張っているみたいです」
シュンテイはそう言ってとある男の方にキセルの先を向けたタカノはそれを横目で確認した。
年齢は30代ぐらいの悪党の頭領にしては若い強面でスキンヘッドの大男でカードゲーム場で今現在、ショウタとアルスと他数名とゲームをしているようだった。
「名前は確か、バンでしたかなぁー
北門省の荒くれものでして仲間を引き連れて、最近陽都入りをしたとかどうとか...
表向きは貿易商をしてますねーーー」
「そうか、アルスとショウタが近すぎるな....今日の賊が目の前にいるから、あいつら変なこと起こさなければいいけどーーー」
そう思ったことを口に出しながら同時に煙も出していた。
落ち着こうと思ったのに落ち着けない状態になったのは悔しいとタカノはふと感じた。
「よっしゃ!これで行ける!!」
そうアルスの声が聞こえた瞬間…
バンは顔は一瞬顔を顰めて、そっと何かをする小さな素振りをした後、大声で笑い始めーー
手札をテーブルの上に置いた。
「残念だったな〜あんちゃん。俺の上がりだ」
ショウタがそれを聞いてテーブルを叩いて吠えるように言った。
「さっき、カードを入れ替えただろ!俺見てたからな!!あーもう、アルスが一人で負けるのはいいけど、イカサマで負けるのは見てられねぇ!」
それを聞いた、バンは眉をピクリと動かしてこう言った。
「ガキ、舐めた口叩くんじゃね...俺を誰だと思ってるんだ....」
それを聞いた、アルスもショウタと同調して席を立ってこう言った。
「冒険者な舐めんなよ、オッサン」
そんな感じでカードゲーム場から出てきた不穏な空気を感じてか、普通のカタギと言われるような人は徐々に離れていき、どんどんと強面のいかにもみたいな人達がアルスとショウタを囲った。
タカノはそれを見て大きくため息をついたーーー
ミミ「そろそろ、帝都ですわね。邸の男どもはどう過ごしているのかしらね」
シュリム「ミミ様のことを待っております」
ミミ「それはタカノ様だけだと思いますけどね...」
リン「リンは早くお父様に旅のお話を伝えたいですわ」
メイ「メイは大きな海の魚のことを」
マオ「マオは......美味しい買ったケーキのことを」
ミミ「リンもメイもマオも。帰るのが楽しみなようですわね....
でも何か不穏な空気を感じますわ」
シュリム「何がですか?」
ミミ「何かこう、酒とかタバコとかギャンブルの匂いがしますわ」
シュリム「まさか、タカノ様が他の女を連れ込んで...」
ミミ「その時はこの、ラシュト王家に伝わる宝剣でタカノ様の根性を叩き直しますわ(物理力で)。
ま、タカノ様に限ってそれはないと思いますわ」
シュリム「(こ、こえぇ...さっき物理力で叩き直すって言ったよ)」
ミミ「聞こえてますわよ。シュリム」
シュリム「ふぁいっ!」
ミミ「まあいいですわ。タカノ様を魅了せる女性は私だけですもの。おほほほ」
シュリム「すげー不満そうな顔で、お嬢様方が含めっつらでで睨んでますよ...」
ミミ「そんな顔をしてはいけません。おブスちゃんになりますわよ」
リン・メイ・マオ「「「やだやだですわ」」」
ミミ「私の娘なのですから、いずれお母様のように美しく可憐になりますわよ。だから、そんな顔をしてはいけません」
リン・メイ・マオ「「「はい、お母様」」」
シュリム「ふー...とりあえず、告知しましよ。次回、休日最後の夜ってやっぱり寂しい。長い...」
ミミ「そうですわね...珍しく長いですわね。くんくんくん....やはい何か匂いますわ。私が留守の間に変なことしてそうな匂いですわ」




