キリシマ・タカノ-4 vs ショウタ
キリシマは塔の階段を登る途中、外に見える窓から京港市街に入ってきた冒険者たちと義禁の兵団を見ていたーー
塔の入口で、大立ち回りを繰り返して魔物たちと戦っているのが見る事ができた。
「そろそろか...例の術式を発動させれば。並行世界の俺とアマミヤは抹殺できるーー
代償にこの世界が荒廃する。
それでもお前は俺を手伝うのか?」
そう、後ろをついてくるミラに向かって聞いた。
「あなたの思いも汲んでる...
私はあなたが憎い。でも、あなたの気持ちはわかる。愛した人に会うための行動なんでしょ?」
キリシマはそれを聞いて、軽く鼻で笑ってこう言った。
「そうだ...
わざわざ、投獄されていたのを抜け出してきた理由は今しかないと思ったからだな」
「ええ、牢屋で過ごしてても何も変わらないから。
お前は私の手で殺したいの。仇は討たせて」
ミラはそう淡々と答えると、キリシマはため息をついたーーー
「俺は俺と同じ道にお前を落としたいとは思わないーーー
過去に仇を殺した時に無意味だった事を感じた」
キリシマはそう言って、ミラを見つめるとミラはキリシマを睨みつけながらこう言った。
その眼差しからは迷いを感じられなかったーーー
「あなたと私は違う」
「そうか...」
キリシマはそう言ってミラの固い意志を感じ取り、階段を上がっていった。
ーーーーー
「この上に術式を発動させる仕組みがあるんだろ!?
大尉は間に合わないかもしれない!
キリシマは確実に上に向かってる!!ここは任せて先に行け!」
セイゴはそうアルスとショウタに向かって叫んだ。
塔の入口まで近づくことができた冒険者と義禁の兵達は入口を背にして残った魔物と対峙していた。
入口付近にある大きな転移魔法陣は破壊できたので、先程よりは戦いやすい状態になっていた。
明らかに圧倒的な数の劣勢だったのにそれを跳ね返したのはアデルの上級召喚魔術にあったーー
炎でできた魔人を召喚し、ウルク=ハイ達を次々と薙ぎ払う事ができたからだ...
しかし、それよりも魔物の数が多く魔力を使い果たしたので魔人は消失しアデルは息を上げながらポーションをがぶ飲みしていた。
「この塔の術式の解除には...姉さんがいないと無理!」
エミリはそういうとアデルは頷いてポーションの空き瓶を投げ捨ててこう言った。
「もう今日は戦えないけど...動けるまでは回復したわーー
エミリ、ショウタン、アルス。いくわよ」
セイゴはそれを横耳で聞いて、イーロンの肩をポンと押してこう言ったーー
「ここはメインに譲らないとな!
イーロン。
ここは死守する...ここにあった大きいやつとは違う、小さな別の転移魔法が発生しているみたいだーー
数が大きく減ったと言えど、徐々に数は増えてるからそう感じられる。油断するな」
アルスはそれを聞いてため息をついて、
「メタい発言するなよぉ〜」
その言葉と同時に笑みを浮かべなら、イーロンがアルスにアイコンタクトをして頷いてこう言ったーー
「アルス。お前とは長い付き合いだーー
ここは俺に任せな」
アルスはそれを聞いて、頷いて塔の中へエミリの手を引っ張って向かっていった。
それに続いてアデルとショウタも追いかけるように塔の中へと入っていった。
「大尉の花道を作るぞ!!総員、気合入れて戦え!!!」
そう、セイゴの気合いの入った声が、塔の中に聞こえてきたーー
ショウタは...
塔の階段に足をかけたときに一瞬に場所が変わったことに気がついた。
転移魔法であったのは明らかだったーーー
「ショウタ!避けろ!!」
アルスがそう叫びショウタを身体で押したときに間を黒い影が通り抜けていった。
アルスは驚いた表情をしたが間髪を入れずに、黒い影に向かって剣を振りかざした。
しかし、
その剣は空を切り、腹部から血を流して地面に崩れ落ちるように地面に倒れ痛みを堪えるように苦しんだ表情を浮かべて悶えていた。
飛び出した腸と血溜まりを見てショウタは一瞬、戸惑ったが...
殺意を向けるべき敵をすぐに目で捉えた。
「キリシマ・タカノ....」
ショウタの目線の先は目を閉じて大きく深呼吸をする、並行世界のキリシマ・タカノのが立っていた。
彼の奥には教会にあるようなパイプオルガンのような巨大な装置の前で魔法陣を展開させて詠唱をしているミラが目に入った。
「ア...ルス...うそ、嘘でしょ...」
弱々しいエミリの声が聞こえてショウタは目を動かしその場所を確認すると...
地面に倒れ込んで、倒れたアルスに手を伸ばすエミリの姿があった。
その横には、座り込み息を切らせたアデルの姿があったーーー
キリシマはショウタに目線を向けてこう言った。
「魔女の二人には黙ってもらいたいから、身動きが取れなくなる魔法をかけさせてもらった。
即死魔法はミラは使えないから麻痺魔法を使った。
心配するな、その二人は殺さないーーー」
その視線はショウタを突き刺すようだった。
冷たく剣で刺されるような感覚がショウタを襲った。
しかし、その奥に強い意志を感じられた。
ショウタは心を乱したが整えるために大きく息を吸ったーー
「詠唱を止めさせないーーー
俺にはどうしても成し遂げないといけない事がある。
お前らがそれを邪魔をするなら全力で叩き潰す」
キリシマはそう言って血のついた黒いマチェットを持ってゆっくりとショウタの方へ近づいたーーー
その威圧感は....
明らかに今まで戦ってきたどの魔物とも違っていた。
S級冒険者として数多くの手強い魔物と戦ってきたが...
その自信は一気に吹き飛ぶようだった。
固い意思...
数々の死線を潜り抜けてきた戦士の目の中にどうしても成し遂げたい何かがあると感じ取れたーーー
ーー怖いーー
そんな感情がふと蘇った。
目の前で救えないで死んでいった昔に仲間が思い浮かんだ。
ーー負けるんじゃ...でも...ーー
「俺は負けない!!仲間をこれ以上傷つけさせない!!」
ショウタはそう自分を鼓舞するように叫び。
雄叫びを上げながら、剣を構えてキリシマに向かって突っ込んだ。
声を出して自らを鼓舞しないとあの視線を受けて動ける気がしなかったからだ...
それでも、
キンと魔剣とマチェットがぶつかる金属音が塔に中に響き渡ったーー
「あぁぁぁ!!」
ショウタがそう叫んだ時には、魔剣を持っていた右腕は空中を舞っていた。
続け様にキリシマはショウタの左腕も切り落とそうとしたがー
しかしショウタは悲鳴を堪え、目の色を変えてキリシマに体当たりをした。
恐怖で溢れかえる心があるのを感じていた。
目の前で死にかけて虫の息でいるアルス...
動けなくなったアデルとエミリ...
今動けるのは自分一人しかない。
タカノがくれば、奴をきっと止められる。
でも、間に合わない可能性もあった。
「もし今、諦めたら先輩に面目が立たない!」
ショウタはそう言いながらキリシマのナタを持つ手に噛みついた。
死ぬのは怖いーー
でもそれよりも、目の前の仲間が前みたいに傷つき、亡くなることが嫌だった。
「でも、俺はタカノさんのように勇気を持って戦うんだ!!」
ショウタは噛みついた口を離して、そう吠えるように叫び左の拳をキリシマの顔面に入れようとしたーー
あの時に憧れた....
妹とオレを守ってくれたタカノさんみたいにできたかなーー
ーーオレ本当のヒーローになれたのかな?ーー
意識が朦朧とする中で抑えてたキリシマがショウタはの顔面に掌底を入れた。
一瞬気が抜けた瞬間に逃げたのがショウタには感じ取れた。
両膝をついた状態になってショウタは空を見上げたーー
「ああ、お前は勇敢だ。本当のヒーローさ」
そう目の前にいるタカノが微笑んで言ってくれたーー
ーーーー
キリシマは意識が朦朧とし今にも瞳から光が消えそうなショウタを見ながらこう言ったーー
「あの時オレが救ったやつか....皮肉だなーー
救ったのに殺さないといけないなんてな...」
ショウタは失血が激しいせいか意識が朦朧としているのが見て取れたーー
キリシマはマチェットではなくナイフを抜いて
ショウタの心臓に向かってナイフを突き刺したーーー
「一撃で死なないというスキルがあるんだったな.....あまり、傷つけたくはないが...この一撃は仕方がない、許せよ」
キリシマはそう言ってナイフを抜くと小さな声でショウタがこう言ったのが聞こえて来た。
「オレ...本当...のヒーローになれ...たのかな...?」
キリシマはショウタの瞳から段々と光が消えていくのを見ながら、喉をナタで斬ったーー
「ああ、お前は命を挺して誰かの為に戦ったーーー
尊敬に値する....安らかに眠れ」
血まみれになったショウタは崩れ落ちるように地面に倒れ込んだーーー
「ショウタ!!!」
そうミラの魔法によって縛られたアデルが彼の名前を叫んだーーー
怒りに満ちた目をしてキリシマを睨みつける。
だが、麻痺魔法で動けなくなったアデルにはなにもすることが出来なかったーーー
「許さない!許さない!私は二度と仲間を失いたくないのに!!」
キリシマはそれを聞いてこう言った。
「恨むのは勝手にしろ。
だが、常に危険を伴う冒険者なんだろ....失うぐらい覚悟ぐらい決めておけ。S級の名が廃るぞ...魔女」
キリシマの凍てつくような目を見たアデルは思わず黙り込んでしまったーー
その彼の目かは幾千の戦いを生き抜き、アデルよりもたくさんの仲間の死を送って来たように感じられたからだーーー
なにも言い返すことができなかったのだ。
キリシマは血ばかりをして、マチェットとナイフを鞘にしまい、倒れたショウタの見開いた瞼をそっと手で閉ざした。
その瞬間、
ミラが詠唱を終えたようで、キリシマに向かってこういった。
「終わったわよ....」
アルス「あれ、ショウタは...死んじゃったの?」
ショウタ「え、まじで!?ここで降板なの!?」
イズミ「はぁ...また、掃除なん。はいはいどいてどいて」
シン「はいはい。二人ともシャワー室に行った行った」
アルス・ショウタ「「は?」」
タカノ「ここからは、俺とシンの出番だな。早く着替えないと...えーっと、スタントマンさんはスタンバイしてる?」
ショウタ「あの、タカノさん...?そのままシャワー室って言われたけど、俺死亡組じゃないんですか?」
タカノ「御父様がいないなぁ...なんでだろうかなー」
アルス「おいおい。ショウタ!シャワー室早くいかないと!女性陣が入ってるぞ」
ショウタ「あ、うん...」
シン「タカ兄!俺もシャワー室...」
イズミ「あんたはこっちや」
ショウタ「俺絶対あれ死んだ、描写だよな...なんでーだ...引っかかるな〜
まー、先輩!とりあえずチェンジですね」
タカノ「ああ。ということで、シュリム!告知よろしく」
シュリム「え、いきなり振られても困りますよ!旦那様!!次回。タカノvs タカノ」




