キリシマ・タカノ-5 タカノvsタカノ
タカノは焔帝国の正規軍である緑旗衛と皇帝の近衛である禁軍を引き連れて京港へと到着していた。
市街地を狼に変身したシンに跨ったままイーロンとセイゴを横目に塔の中へ急いでいった。
セイゴと目が合い、アイコンタクトを送った。
セイゴはうんと頷き、目の前にいる魔物を切り伏せて大声を張り上げた。
「大尉が来たぞ!」
セイゴの言葉を聞くなり、冒険者のイーロンが市街に流れ込んでくる焔帝国の旗をなびかせる大群を見てこう叫んだ。
「見ろ!お前ら!!緑旗だ!!」
それを聞くなり、
戦っていた義禁の兵士と冒険者たち喜びの声を上げた。
歓喜の声を背中に受けつつ、
タカノは塔に入るなり、急いで駆け上がった。
駆け上がりながら、シンがこうタカノに言った。
「タカ兄。大変だ。術式が展開しているっぽい。
この塔の感じだと巨大な転移魔法装置だと思う」
「まさかとお思うが、術式の詠唱が終わって展開してたりしてないよな?」
「え、そんな事ないと思うけど......
ってやばい術が解ける!!」
シンはそう言って狼の姿から突然人の姿に戻った。タカノはそれに驚きはしたがバク宙をして背中から降りた。
シンは振り返り深刻な顔をしてこう言った。
「タカ兄...術式の詠唱が終わったみたい。急がないと大変なことになるよ」
「おいおい、まじかよ。シン!とりあえず急ぐぞ...
術式がすでに発動してるってことは、アルス達も心配だ!」
タカノはそう言いなり、シンを担ぎ上げて階段を駆け上がることにした。
階段を駆け上がっていると突然光に包まれて、別の場所に自分たちがいることに気がついた。
「タカ兄、転移魔法だ...どこに来たんだろう?」
シンはそう言って周りを見渡した。タカノは、ゆっくりとシンを下ろしてこう言った。
「運がいいのか悪いのかは置いておいて、行きたかったところにたどり着いたみたいだ...」
タカノはそう少しばかり重たい空気感を持って言葉を発した。
シンは周りを見渡して、タカノがなぜそう言ったのか判断できた。
タカノは近くに血溜まりの中で倒れていた痛みに悶え苦しむアルスの方へ駆け寄ってしゃがみこみ彼の体に手を置いてこう言った。
「ごめんな、遅くなった」
タカノはそう言って、アルス手を握った。
アルスは痛みをこらえながら今できるであろう最大の声を出してこういった。
「遅いですよ。タカノさん……まってましたよ主人公」
「ああ、もう大丈夫だ。心配するなシンがいる傷は治る」
「俺よりも、ショウタをーーー」
アルスはそう言って、血だまりで倒れ込むショウタの方を指さした。
タカノはショウタを見るなり、ゆっくりと歩みを進めて、背中に背負っていた大太刀を抜いて大きく深呼吸をしてこう言った。
「シン。治療を頼んだ。ショウタはまだ死んでない」
その言葉を聞いて、キリシマはほんの一瞬だけ眉を動かして少しばかり驚いた表情を見せたが気にせずにマチェットを抜いて構えた。
「確かに殺したはず……」
「『一撃で死なない』確かそうだったはずだ。
だから、喉を切った。でも、その斬るのが遅かった」
血溜まりの中で倒れ込むショウタはゆっくり小さくと全身で息を吸い込みように胸と肩を動かして、呼吸を始めていた。
ショウタの首を斬られた跡は傷跡こそは残っていたが、塞がっていて血も止まっているのがタカノには分かった。
エミリがゆっくりと立ち上がって、キリシマに向かってこう言った。
キリシマはそれを見て、眉をひそめた。
「拘束魔法が消えた...」
「なめないでよね。一応、これでも魔術師してるのよ。時間かければ解除ぐらいできるんだから!
あと、
初級の回復魔法はおねーちゃんと違って習得してるんだから...」
その言葉を聞いて、アデルも驚いた顔をしながらもうっすらと笑みを浮かべて立ち上がり妹に向かってこう言った。
「エミリ。やるじゃない....
さて、キリシマさん。形勢逆転よ」
アデルはそう言って、ゆっくりと立ちあがり杖を構えてすぐに魔法の詠唱を始めた。
すると塔がめきめきと音をたて揺れ始めて、アデルとエミリはバランスを崩した。
驚いたエミリとは対照的に、冷静な顔をしたアデルが口を開いた。
「術者を探さないと。巨大転移魔法が発動してるわ……」
それを聞いたエミリが周りを見渡してこういった。
「あれ、術式を展開してたミラがいない……彼女を探さないとダメ…」
「ってことよ。行くわよ。タカノさん、シン。そこのダメ男たち任せていいかしら?」
アデルはそう、タカノの目を見て聞いてきた。タカノは頷いて答えて、シンは親指を立てて合図を送った。
タカノはそれを見るなり、太刀を振るってキリシマに飛びかかった。
その横を、アデルとエミリは駆け抜けていった。
一瞬キリシマは、その彼女たちに目が行ったがタカノの斬撃をぎりぎりで交した。
「もう一人の俺。相手はこっちだ」
タカノはそういうとまた太刀を振り返したが、それもキリシマは後方にバク転をしながら交して腰にあるナイフを抜いた。
「お前とアマミヤには死んでもらう。
俺の用事はそれで済むーーーー
俺とミラが頼まれたことは済んだ。
ここからは俺自身の用事を終わらせる」
キリシマはそう言ってナイフを構えて、ジグザクとステップを踏みながらタカノの懐に入り込んだ。
大太刀では対応ができないことが判断できたタカノは銃剣を抜いて牽制の斬撃を加えようとしたが間に合わなかった。
キリシマの狙いは太刀にあるようで、タカノの太刀を持つ両手を脇で巻き込むように抱え込んだ。
太刀を持ったままだと関節技が極まるのがわかったタカノは太刀から手を離して、巻き込まれた方向に宙を舞いながら回転をした。
その回転に巻き込まれた力でキリシマがバランスを崩して転びそうになったが、タカノと同じく宙返りをして地面に着地した。
タカノは間髪を入れず銃剣を構えて、キリシマの首を狙って斬りかかったが、
それを手で受けられて逆に逆手で握ったナイフの刃が腕を掠めていった。
タカノはそれをギリギリのところで交わすことができたが、続け様にキリシマの掌底が肋骨を捉えた。
骨が折れる音が聞こえたが、タカノは痛みを感じる間もなくキリシマのナイフを持つ手を掴み手首の関節技を極めながら、ナイフを手放させた。
それを同じことをキリシマをしてきて、タカノの手から銃剣が飛んでいった。
タカノはキリシマの鳩尾に蹴りを入れて距離を取るとキリシマはよろけながら後ろに下り、笑みを浮かべてこう言った。
「面白いじゃねーか。さすが俺だな....」
キリシマはそう言って、首をぐるぐると回してふと治療をするシンの方を見てこう言った。
「治療には時間がかかるようだな。
お前には俺の個人的に決着をつけておきたい。
それが終わってからでも十分、お前もアマミヤも殺す時間はあるだろう。
ここはお違い得意のステゴロのタイマンに洒落込もうじゃねーか!」
キリシマはそう言うと、タカノに向かってゆっくりと歩き始めたーーー
「臨むところだ!!」
タカノもゆっくりと近づいていったーーー
同じ人物同士、考えることもやることも同じだった。
両者は勢いをつけて互いに頭突きをかました。
バンと骨と骨がぶつかり合う音が塔の部屋に中に響きわかった。
額から血を流したのは、タカノの方だった。
ケロッとした顔をしながらキリシマは次の攻撃を仕掛けてきた。
キリシマの右拳がタカノを捉えた。
しかし、それと同じくタカノの左拳もタカノを捉えていた。
鈍い音がまた響きわたり、二人は距離と取った。
そして、息を整え互いに口の中に溜まった血を吐き捨てた。
タカノは足が一瞬よろけたのを感じ取れたーーー
一瞬、前のように奴に敗北するような予感を感じ取ったが...
よろけたのはキリシマも同じだった。
「流石に伊達に、名が通ってるわけじゃないようだな」
ミミ「きゃータカノ様カッコいい。私今回は出番がなくてちょっぴり残念ですわ」
イズミ「そろそろ、私が出番だったかしら?あ、そやったな〜」
ミミ「イズミ様は出るんですね!ちょっと羨ましいですわ〜私も行きたいです」
イズミ「なら、行く?作者に聞いとくで」
ミミ「本当ですの!?それは、嬉しいですわ〜タカノ様の勇姿を間近で見れるなんて..」
エミリ「はぁ、はぁ...ミラはどこに行ったの」
ミミ「あら、エミリ。流石に楽屋にはいないと思いますわよ」
エミリ「それもそうよねって...あれどこで道間違ったのかな。お姉ちゃん!?お姉ちゃんどこにいるの!?」
ミラ「あ!」
エミリ「あ!こんなところにいたの!?楽屋はないでしょう!」
ミラ「いや、実は次の章のセリフを確認しに台本を...」
ミミ「さ、皆さん!この章のラスト行きますわよ。次回、決着とミラの気持ち。
行きますわよ〜」




