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オアシスの白猫-3 マリー


ーー20年前 ラシュトスタン国王宮ーーー


「ミミ様!お待ちくださいぃ!」


「へーんだ、私はそんなのに興味もございませんわ!」


7歳のミミは王宮の廊下を駆けて行き、家庭教師がそれを追いかけていた。

侍従達も全速力でかけていく王女を見て目を大きくしていた。


「私は、そんな畏まったものは嫌いですの!!」


ミミはそう言って、

くるりとバク宙をしながら手すりを超えて中庭に飛び出した。


「「「ミミ様!」」」


そのアクロバットには全員が驚いたようで、思わず周りの侍従達も慌てた声を出した。

着地したところには、王宮騎士団の制服を着る十代半ばの少女が着地に失敗しそうになったミミをうまい具合にキャッチするように受け止めた。


「も、ミミ様。できるからって、無理をしてはいけませんよ」


その少女はニコッと笑みを浮かべてた。

彼女には銀髪にミミと同じ頭に猫耳が付いていた。


「ありがとう、マリー!にぃー」


ミミはそう言って歯を見せながら、

マリーに笑みを見せた。するとマリーも同じくにぃーと言って歯を見せ笑みを見せた。


マリーこと、

マリアンヌ・レ・ルバンドは王宮騎士団に所属する女騎士でミミのお気に入りの人物でもあった。


同じコシュカ族ということもあり、歳の離れた姉のように過ごしている。


彼女自身は、王宮騎士団員ではあるが...

決して強いわけじゃない。


元々、極西諸国を放浪とするサーカス団の奴隷でミミの母のがたまたま見つけて同族ということで買取をして

ミミの世話役で剣舞が得意だったことから護衛役としてそばにつけた事が始まりだ。


なので、

古くからいる騎士団員からはあまり良い目では見られていなかった、彼女が王女と“同族”であるだけで小国といえ名誉ある王宮騎士団に属しているからだ。


ミミの見えないところで、

妬みを買いながらも彼女は彼女なりに剣術の天才と言われてるミミの母に教えを乞い人なり以上に努力はして実力はつけておるようだった。


そんなマリーとミミは城を抜け出して、

一緒に電影劇を観に行ったり剣術の練習をしたりして時間を過ごしていた。


そして、今日は二人で城下の外れにある小高い丘に行って景色を見る約束をしていたのだ。


「「「マリー!」」」


そう、

窓から数人の城に使える召使達が乗り出しながらマリーを呼び止めた。


「王女様をきちんとお守りなさいよ」


そう一人の半獣人族のメイドが言うと、家庭教師を残して全員頷いた。


「わかってるよ!」


マリーはそう言って、ミミを下ろして手を引っ張って走り出した。


「ミミ様。楽しみですね」


「うん!」


ミミはそう答えて、

満遍の笑みを浮かべては走り出した。


王女様が抜け出すのは日常茶飯事のことで、城のみんなも慣れていた。

通り城下に出ても小さな国だけあって、王族と民衆の距離は非常に近かった。


「あら、ミミ様今日もどこかへお出かけですか?」


そう、

気軽に城下街の奥様方に声をかけられたりもする。


「景色を見に行くのですわ」


ミミはそれに対して走りながらそう気軽に答えた。


ミミとマリーは特にその対象となった。

あまり半獣人族に偏見の少ない地域と言っても、庶民の注目を集める所謂有名人で亜人族は少なく...

同族ではないが亜人族の期待の星のような視線を浴び人気があった。


ミミはその時から、

電影劇のいくつかの作品に度々出演していたこともあって、特にその人気ぶりは有名だった。

マリーはそれに嫉妬する事はなく、どちらかと言えばそばに仕えている事はとても嬉しかった。


そして何より、

親友として彼女の側に入れることがこの上なく幸せに感じていた。


「マリー!すごいですわ!!ありがとう!」


ミミはそう言って、

ラシュトスタンの王都が一望できる丘の上で夕焼けに染まる城下町、王宮にその横に広がるオワシスを見ながらはしゃぎながらマリーにそう言った。


「で、あれは見つかりましたの?」


ミミははそうウィンクをしてマリーに気になっていたことを聞いた。今日は景色もそうだが、あるものを楽しみにしていた。


「無事に見つけましたよ〜ただ、返して欲しければ一つだけ私のわがままを聞いてくれないでしょうか?」


マリーはそう言って、

ミミがどこかで落としてしまった大切な宝物である母親からもらったサファイアの首飾りを懐から出してた。


「そうですわね。

見つけていたのですもの。そのくらいならいいですわよ」


ミミはうんうんと頷きながら納得したのでそう言った。

マリーは何を欲しがっているのかはミミには見当が付かなかったがすぐにマリーがそれが何かを言った。


「ミミ様の得意技を教えて欲しいのです」


ミミはその得意技と聞いて頭の中のパッと剣術でよく使う技を思い出した。


「お母様からご指導いただいた...あの技ですね〜

いいですわよ。でも、これ実はお母様の一族の秘伝と言われていまして...」


ミミは眉を潜めてたーーー

でも、すぐに返事は決まった。


「でも、マリーは私にとっては家族と同じですの。だから、教えますわ」


それもそうだ、

ずっと時間を過ごしている仲で唯一と言っていいほど心を開いていられる大切な人だからだ。


ミミはそう言うと、足元に落ちていた日の枝二本を拾い上げてその一つをマリーに手渡した。


ーーーー


結局、

二人は景色を楽しんだのはほんのちょっとだけでほとんど二人で剣の稽古をしてしまった。


すっかり日は傾いて、

夕日色に周りの景色を染めていた。


夕日に照らされながら、マリーは大きく息を吸いながら上がった息を整えていた。


マリーの方が年上ではあるが、

剣の実力で言えば剣の才能があるミミの方が何枚か上手である。


「ミミ様...ありがとうございます。はぁ....」


マリーはそう言って、疲労の色を見せながらも笑みを見せた。

ミミも額に伝ってくる汗を袖で拭きながら同じく笑みを浮かべながらこう言った。


「ありがとう。マリー!楽しかったですわ!」


ミミはそう言うと木の枝をポンと地面に置いてマリーの横を抜けて歩き出した。


それについて行くようにマリーも足を進めた。

歩きながら二人は、明日は何をしたいのかとか何をしたら楽しいかなど未来の話をしていた。


ミミにとってはマリーと過ごす時間が一番の楽しみでもあった...

王族として勉強することも多く息つく時間は唯一親友のマリーと過ごす時間だった。


でも、

それが今日突然に終わるとは誰にも分かっていなかったーーー


夕暮れの街道は安全だと聞いていたのだが...

ミミは道の真ん中に立つ黒い礼服に身を包み色白の不気味な笑みを浮かべる男性が目に入り足を止めた。


その男性の周りのは不気味な大きなコウモリが飛び回っていたーーー


「見つけた...ターゲットですねーー」


男はそう言うと腰にあるサーベルを抜いてその剣先をミミに向けた。


ミミはその男と目があって恐怖で全く動けなくなった。

すると剣を抜いたマリーが耳の前に立って盾になるように位置を取った。


「何者!?このお方に剣を向けるとは非常に無礼だ!!!」


男はその言葉を聞いて、ニンマリと口角を上げてこう言った。


「何を聞くかと思えば....

半獣人族如きに名乗れませんよ。私はただの刺客のエルダーヴァンパイアですよ」


ミミはそれを聞いて、身構えた。

マリーは唾を飲み込んだーーー


エルダーヴァンパイアは、

それなりの手強い魔物の一種だと聞いていたからだ。

その実力は辛うじてラシュトスタンの最強と言われる騎士ですら敵わないかもしれないと言われていたからだ...


ミミは体が恐怖で震え始めたーー

そう、子供のミミにはもちろん戦っても勝てる相手でもないし...

マリーは騎士と言っても、強いわけでないーー


二人に死の恐怖が一気にこみ上げてきたのだーーー


でも、

マリーだけはその恐怖に打ち勝っていたようだった。


「ミミ様。逃げてください...

街にはディンワンという焔帝国の武将が騎士団の視察に来ております。呼んできてください....あの方ならきっとこの魔物を倒せます」


マリーはそう言って、

震えてるミミを手で軽く押してた。すると、ミミは固まっていた身体が動くようになったことに気がついた。どうやら何かの補助魔法をかけてくれたのだろうーー


そして、剣術の礼をして大声を張り上げて目の前の魔物にこう叫んだ。


「私はマリー。

マリアンヌ・レ・ルバンド。

ラシュトスタン国近衛第一王女側衛官よ!!!」


マリーはそう言って、魔物に剣を向けて突っ込んでいったーー


『ミミ様!行ってください!!』


そんな声が聞こえて、ミミはマリーに背を向けて走り出したーーー


きっと、マリーなら時間稼ぎならできる...

私が急げばきっとマリーはーーー


マリーに言われた通り、

全速力で後ろを振り返ることなくミミは走り続けて王宮に戻り

ディンワンとその他の騎士を連れてマリーの元に戻ってきたが...


そこには血塗れになって血溜まりの上でぐったりとしているマリーが倒れていた。


魔物は、

マリーの剣を手に持ちながら血で汚れた口を袖で拭いて不敵な笑みを浮かべてこう言った。


「お待ちしておりましたよ」


ミミは心の底から怒りが溢れて返ってきたが...

ディンワンがゆっくりと歩き出してに持っていた偃月刀の鞘を外した。


勝負は一瞬で決まった。

魔物が気がつく頃には、勝負が終わっていてディンワンが放った攻撃で文字通り縦に真っ二つにされ絶命していた。


ミミはマリーに近づこうと駆け寄ったが、ディンワンがそれを止めた。


「なりません。姫様...残念ですが彼女は」


ディンワンはそう言ってミミを抱き抱て騎士たちにその後のことを任せてその場所を後にして行ったーー



ーー現在 ラシュト邸ーー


「大切な親友がそこで死んでしまったのよ。

母がもっと早くお城に戻ってればとか、その場所に行かなければって後悔しましたの...


でも、親友とのお別れってのはもしかしたら明日かもしれませんのよ。

だから、リン・メイ・マオ達は毎日を大切に過ごして欲しいのですわ。


母と同じ、同じ思いはさせたくありませんーー」


ミミがそう言ってリンの頭を撫でると、マオとメイはミミに抱きついた。そして、リンが撫でていた手を両手で取ってこう言った。


「みんな大切ですわ。

分かりましたお母様ーーだから、泣かないでください」


ミミはそれを聞いて、

自分の目から涙が溢れていることに気がついてそれを拭った。


「ありがとうーーー」


ミミはそう言って、娘達を抱きしめた。

マオがそっと頭を撫でてくれるのをミミは気がついた。


親友を失った思いは

ミミにとっては本当に辛い思い出の一つだーーー


そんな思いを優しく包んでくれる娘達には同じ思いをさせないとミミは強く感じた。


イズミ「ふー...このなんか時間を巻き戻せる魔法ってすごいやん」


ミミ「ありがとうございますわ。久々に子供になってみると面白い体験ができましたわ。

ところで、イズミ様。この術をタカノ様にかけていただけますか?」


イズミ「え、別にいいけど。なにしますの?」


ミミ「まーまー。御頼もうしますぅ〜」


イズミ「なんで、口調変えたんやろう。まあ、ええか!エイ!」


タカノ「え、って俺、ガキになってる!?」


ミミ「ニヤリ....子供の頃のタカノ様とっても可愛らしいですわぁーはぁーすりすり、クンカクンカ、スーハスーハ...あーなんていい匂いですの!!」


タカノ「え、ちょっとミミ!?」


ミミ「タカノ様が子供の頃...ということはまだ、お身体は御清いまま!いただきますわ」


タカノ「え、ちょ!待て!!」


イズミ「あ、やばい...」


シン「あ、やばいじゃないよ!姉さん!ミミの姉御止めないと色々やばいことになるから!!」


エミリ「お...オネショタというやつ!?でも、ミミさんの年齢っちょっとオネというかオバっ」


シン「エミリ...それ言ったらダメっ。ミミがタカノ様を下ろしてこっちに殺意のオーラムンムンで近寄ってきてるけど...」


エミリ「あ、ミミさん!そんなことないですよ!!!ないない!!」


イズミ「今のうちに告知して置いとこうか...次回、嫌疑。タカノとミミがね...

二人の悲鳴が聞こえてくるから、音声さんここで音切って置いてな」

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