黒猫剣姫伝-2 電影劇女優の意地
結局、
ミミが演じていた黒猫剣姫を理解するために見に行くことで話が収まり、たまたま古い作品を上映してる劇場があることをシュンテイから聞いたミミ、アルスとエミリ、シュリム、リン・メイ・マオので見に行くことになった。
ショウタとアデルはクエストの都合で、日付が合わなかったようで別日に行くということになった。
シュンテイは、タカノから頼まれた仕事があるらしく今日は予定が合わないということだった。
電影劇を見に行くとなれば、
娘達は大喜びでしかも、それが“黒猫剣姫シリーズ”となればなおのことだった。
劇場まではシュリムが用意した馬車に乗って向かうことにしたーー
「お父様に内緒ですわよ...」
ミミはそう娘達にそう告げた。
それもそのはず、その劇場の入館料が意外と高かったらしくミミがこっそりタカノの今月給金からこそっと持ち出したからだ。
「ミミさん、ミミさん....私たちの分もいいんですか?」
お金のことでエミリは気になってミミにそう小声で尋ねるとミミはこう少し子悪そうな笑みを浮かべてこう言った。
「気にしなくていいですわよ。私がどうにかしますわ」
それを聞いてエミリと横目で会話を気にしていたシュリムは笑みを見せて、大はしゃぎのリン・メイ・マオに混ざって劇場へと足を向けて行った。
ミミはそんな嬉しそうなみんなを見ながらぼっと表情が綻んだ。どこか、昔の自分のしたことであったが誰かが楽しみにしてくれるの嬉しく思えたからだ。
「なんだかんだ、女優やってた頃が懐かしいわーー」
ミミはそう言って、劇場の中に入ってはしゃぐみんなと一緒に席についてそっと上映開始を待った。
ーーーーー
ミミにとって、
自分が出る作品を見るのは久々で
特に思入れのあったが『黒猫剣姫』の三部作を見るのは久々だった。
娘たちが生まれてから初めて家族一緒で観に行ったのはこの『黒猫剣姫』の最終部だった。
その時に見たかっこいい黒猫剣姫を見て娘たちが興奮しっぱなしですごいテーションのまま夜も眠れないでいたのをふと思い出したーーー
きっと彼女達にとっては初めて見た憧れの存在なのかなと思えた瞬間だった。
今回は一部から三部までの一挙上映会で、
ミミにとってみれば10代後半からタカノと出会う20歳の辺りまで制作に関わっていた電影劇女優としては最後の作品で思い出がたくさん詰まった三部作でもあった。
スクリーンに映し出さっる少女の頃の自分が演じる黒猫剣姫はどこか懐かしく感じられるとともに、頑張った思い出や苦労を思い出した。
きっとその苦労と努力の結果が演技に出ているようにも感じられた。
いつもなら喋らない、男言葉もあたかも別人のように演じ切っていたし、剣で悪人や妖怪を倒す黒猫剣姫の名に恥じない軽やかで美しい剣術も改めてみると見入ってしまうものがあった。
横では娘たちが目をキラキラさせて、ミミ自身が演じる黒猫剣姫に目をキラキラさせながら見入っていた。
娘達は黒猫剣姫に影響を受けたのか、剣術を習いたいとい言ったのもあった。
「ある時には、宿屋の看板娘、またある時は美しき劇場の乙女、果たしてその正体は……
月夜に現れ美しく舞い、弱気を助け悪を討つ、愛の剣士!黒猫剣姫さ」
そう、スクリーン一杯に黒猫剣姫の決め台詞と共に最終部の登場シーンがミミの目に入ってきた。
このシーンが本当に最後で最後の黒猫剣姫を演じた記憶によく残っているところだった。
ミミはその姿を見ながら、心の中に昔よく感じていた熱い心に火が付いたように感じた。
そう、自分が大好きだった黒猫剣姫や大好きな娘たちの為に悔いのないように演じ切ろうと。
三部作すべてを見終わった、頃には夕方になっていた。
劇場を後にして一行は馬車に揺られていた。
娘たちは疲れ切ったのか三人並んですやすやと眠っていた。一方のシュリムとエミリは黒猫剣姫の話で盛り上がっていた。
エミリは目をキラキラさせながら、耳を見つめてこういった。
「それにしても、黒猫剣姫があんなにかっこいいなんて……なんで、私の国では電影劇がなかったのかとおもってしまいますよぉ~」
それを聞いた、外で騎手を務めるシュリムもこう言ってきた。
「うんだぁ、ボクもそうかんじますぅ~。あんなにかっこいいなんて思いませんでしたぁ~」
「シュリムも相変わらずよね……でも、ミミさんかっこいいですもんね」
エミリがそう言うと、ミミは人差し指をエミリの唇にそっと当てた。
娘達には黒猫剣姫の正体を知られたくない気持ちがあったからそうした。
ミミは顔を真っ赤にしてこういった。
「まだ、だめですわよ」
それを聞いて、エミリはうんうんと頷いてこういった。
「すいませんつい……でも、娘さんたちすっかり寝てますわよ」
ミミはそれを聞いて、娘たちを見るとエミリの言った通りすっかり深い眠りに入っているようでエミリとシュリムがはしゃいでいるのを全く持って聞いていないようだった。
「きっと、この子達はいま黒猫剣姫と一緒にいる夢を見ているのですわ……きっと。
だから、私。やるからには妥協はしたくありませんわーーー
協力よろしくお願いしますわ」
ミミはそう、エミリを見つめながらそう言った。きっと強い思いがこもっていたのだろう、エミリは深く頷いて真剣な表情を見せてミミの手をつかんでこういった。
「ええ、もちろんですよ。ミミさん」
ーーーーー
「ミミさん...こんな感じに流れで大丈夫なんですか?」
エミリはそう言って、紙に書かれた筋書きを見てそうミミに聞いた。
「大まかな感じは、とりあえずこうでいきましょうという感じですわ。あとは、細かく修正していくますわよ」
ミミはそう言って真剣な顔をして頷いた。
その日の夜にまた、サプライズ計画に参加する一同は集まって内容を決める話を進めていた。
今回は黒猫剣姫の内容を知ったエミリとシュリムはイメージができているようでスムーズに納得していた。
ショウタもタカノと同じ世界で黒猫剣姫に似た物語を見たことがあるらしく、呑み込みも早かった。
シュンテイとアデルは少しだけ、まだイメージが掴めていないようにミミは感じた。
みんなの理解度はさておき、
ミミの本気度合いもそうだが、子供を祝う子供主役の人なのだからと楽しみたいといのがみんな一致して話は大いに膨らんでいた。
「配役は...奥様が黒猫剣姫で、ショウタとシュンテイが悪の怪人役でその変装にアデルが魔法をかける感じで...
ボクとエミリはお嬢様達といるところを怪人に襲われてやられる感じですよねーー
ああ、黒猫剣姫の活躍を生で見れるなんて最高だぁ」
シュリムはそう言って目をキラキラさせていた。
それを見ていたショウタがこう言った。
「アデルの変化魔術は防御魔法として使えるくらい頑丈な変装ができるらしいから、
ミミさんが御所望の激しい殺陣もできるようっすよ。
一度、ミミさんと剣で戦ってみたかったんである意味楽しみっす。
ことろで殺陣の打ち合わせはどうしますか?」
ショウタはそう言って、ミミと剣で手合わせできる事に興味深々のようで目を輝かせてこう言った。
「そうですわね...こう言った感じでお願いしますわ」
ミミはそう言って、紙に書いた殺陣の筋書きをショウタに見せたするとショウタは苦笑いをしてこう言った。
「あちゃ...こっちの国の字読めないんですよ。漢字なんでなんとなくはわかりますけど」
それを聞いたシュンテイが横から、紙を覗きながらこう言った。
「どれどれ、あっしが見ますよ。奥方様、あっしはやられ役でショウタさんがそのボスという時となんですかい?」
ミミはそれを聞いて声色を変えて下町の職人口調でこう言った。
「へい。その通りでい」
その声を聞いた、シュリムとエミリは目を丸くしたがミミは何事もなかったかのようにこう続けた、
「ほとんど、その時の流れでお願いしますわ」
「ミミさんすげー...まるで別人」
ショウタもミミの声色の変化具合に驚いて目を丸くしていた。
ミミはそれを見てウィンクをしてこう言った。
「じゃあ、話は固まったわね。みんな協力よろしくお願いしますわ」
一同はそれを聞いてそれぞれ親指を立てて頷いた。
エミリ「はぁぁ...黒猫剣姫様..」
アルス「本当にハマったみたいだな....」
ショウタ「そうだよな。エミリがこうなるなんて」
アデル「ところで、アルスの役ってなんなの?」
アルス「え、俺...最後の最後で娘達を預かる係。その他は裏方でアデルさんと同じですよ」
アデル「へー裏方担当なのね」
ショウタ「アルス、お前セリフ棒読みすぎて大根っぷりがやばかったもんな」
アルス「あ、馬鹿にするなよ〜劇はやったことないんだよ」
ショウタ「俺だってねーよ....でもさ、あのくさくて中二病チックなセリフを言うのは辛いよ」
アデル「でも、タカノさんのためなんだからって頑張っちゃって」
ショウタ「先輩の大切な人からの頼みだから、やるしかないけどさ。みんな頑張って行こう!」
エミリ「あ....黒猫剣姫様に抱き抱えられるシーンがあるなんて...あーやばいなーやばいなー」
ショウタ「お前の彼女大丈夫か?」
アルス「あ...うん。多分大丈夫。エミリ、告知よろしく」
エミリ「はぁ!?邪魔しないでよね。せっかく黒猫剣姫様とのいいところだったのに....ってみんな冷ややかな目で見ないでよ...
次回、美しく舞う月夜の剣士!お楽しみに」




