黒猫剣姫伝-1 ミミのヒミツ
ミミが考えた、娘達へのサプライズプレゼント騒動。
彼女の電影劇女優だった頃の女優魂に火がついててしまう。
一方タカノは、魔王軍への報復処置として遠征軍に参加して出張していた...
「よし、これが済んだら。任務完了だな....」
タカノはそう言いながら、真夜中の森で部下数人を連れて明るく光る魔王軍の一味がいる国境付近の砦を覗いていた。
タカノはコンパスを取り出して、横にいるシンにこう言った。
「方位は5600ミルだな、距離は...ここからだと約4里。砦の一辺の長さは...」
シンは双眼鏡で砦を見ながらこう言った。
「だいたい、半里くらいあるかないかじゃないかな?
」
タカノはそれを聞いて、
戦略地図を取り出して確認をしながらこう言った。
「なるほどな...。伝達を頼む。
5600ミル、距離4里.....目標座標は7050-1510
ランドナビゲーションなんて、前の世界の軍でもあんまりやってなかったからな....果たして当たるのか。
一応、砲撃だから。穴掘ってそこに篭りながら。花火を見るとしよう」
シンはそれを聞いて、目を瞑りタカノと同じ言葉を復唱した。
「5600ミル、距離4里、目標座標7050-1510。目標に魔力を照射....
と、これで良さそうだな。
10分後爆撃開始だって」
タカノはそれを聞いて目を見開いてこういった。
「急いで穴を掘らないとな!おい、穴を掘れ!」
タカノはそう連れてきた部下たちに指示を出し、スコップを手に取って穴を掘り始めた。
10分前には身体をすっぽり隠せる穴を作り上げてそれぞれ穴の中に潜り顔を出して、山の裏手から遠距離魔術攻撃による爆撃を見ることにした。
「本当は護衛任務とは聞いていたが....まさか、爆撃の観測部隊をやらされるなんてな...」
シンはそう言いながらため息をついた。
タカノはそれを聞いて同じくため息をついてこう言った。
「全くだ。とりあえず、花火だけ楽しみにしておこう」
遠くから爆音が聞こえた後地響きとともに、
魔王軍の砦にまじ始めに強大な雷が落ちた後、ピューと高い花火が打ち上がりような音がした後...
盛大な大爆発が砦を包み込んだ。
「これって本当にファンタジーだよな...?どっからどう見ても、ミリタリー色が強いんだけど。ねぇ、タカ兄?」
「うん。それは同感。でも、これって魔導具によって強化された魔法攻撃の一種だからな。
とりあえず、派手なのは見れたな」
焔帝国の文化レベルや魔術の進歩の度合いは、そんじゃそこらのファンタジー世界とはお門違いな部分があったりすることを思い出すタカノであった。
焔帝国の怒りによって、
魔王軍の砦は跡形もなく消え去った。
そして、地形すら変えてしまったーーー
「通りで、正面から魔王軍が攻めてこないわけか...」
タカノはそう言って、無事に任務が終わったことに安堵した。
そして、すぐに次の言葉が心の奥底から飛び出してきた、
「早く家に帰りたい」
タカノはそう言って、大きなため息をついた。
ーーーー
ミミは夜中に屋敷のみんなが眠り込んだ雰囲気を感じ取ってふと目を開けた。
横にはすやすやと眠るリン・メイ・マオの三つ子の娘たちがいた。
タカノはこの前の大火の事件で、世論が魔王軍への報復処置を取るべきと言う話になり....
焔帝国傘下にある魔王陣営と接触しているバーミン藩国の国境地帯にある魔王軍の砦を破壊する遠征軍を指揮する第一皇子の護衛の為に出張中であった。
予定では1ヶ月ほどかかるらしく、
ミミと娘達にとっては少し寂しい時間を過ごす事になっていた。
ただ、
彼がいなくてもミミにとっては娘たちとこうして過ごしていられるのも幸せではあった。
でも、今日は新月で明る事もあってどうしてもしてもしたい事があったのだ。
ミミがタカノと出会う前までは、
電影劇の女優として多くの作品に主演として出演していた経歴も持つ。主に剣劇を主体にしたアクション女優というべき感じだった。
その時の源氏名は剣姫ーーー
ミミはこの屋敷に引越してきてから、
衣装部屋に保管したまま、ずっと開けていなかった、南京錠の掛かったとある服が入った箱を見つけてこう呟いた。
「7年近く動いてなかったから...大丈夫かしら。
タカノ様に出会う前、バルバリッチ捕まって以来かしら...」
ミミはそう言って、
特殊な魔術を施してあってミミにしか開けられない南京錠の鍵を解いた。
箱の中には...
伝説で皇帝の奪われた宝を盗んで取り返した英雄とされる“黒猫剣姫”という女剣士を演じる際に着る衣装が入っていた。
ミミのはまり役で、
黒猫剣姫を電影劇で演じていたーーー
黒猫剣姫はヒット作で、
子供達に大人気の役柄でもあった。
ミミが演じている事は実はあまり知られていなく、リン・メイ・マオ、タカノですら知らない話だ。
娘達は黒猫剣姫が大好きで....
ミミが電影劇女優だった事を知るや否や
『黒猫剣姫に逢いたい!』
と声を揃え目をキラキラさせていたのだ。
焔帝国にある子供を祝う日がそろそろ近いので、ミミはあるサプライズを思いつき夜中にこっそりと計画を考えていたのだ....
「奥方様お待たせ致しやした...」
そう、
小声で言って部屋に入ってきたのはシュンテイだった。その後ろには、シュリム、アルス、エミリ、アデル、ショウタもいた。
「みんな集まった見たいね...」
ミミはみんなが揃ったところでうんうんと頷いてこう言った。
「じゃあ、脚本を決めたいと思いますわ。みんなよろしくて?」
ミミの言葉を聞いて、皆頷いて合意したがショウタだけ少し負に落ちない感じな顔をしていた。
「しかしなんでここまでやるんですか先輩?」
ショウタがそういうと、ミミは真面目そうな顔をしてこう言った。
「黒猫剣姫は、みんなの憧れで英雄なんです。夢を壊したくありませんの」
「分かりましたよ...それなら、俺も協力しますよ。
スーパーヒーローは俺も好きなんで.....って言っても、理解してくれないかな」
ショウタがそういうのにも訳があって、スーパーヒーローという言葉を知らない人がこの世界には多いからだ。
しかし、この家ではタカノが前の世界のことをみんなに教えているようで...
みんな納得した顔をしていた。
ショウタはそれを見てうんうんと頷いてこう言った。
「さすが、タカノさんだ。やっぱり教えてたんですね。流石っす」
「タカノ様がいうには黒猫剣姫もスーパーヒーローというのに含まれるらしと聞いてますわよ」
ミミはそう言って、どこか誇らしげそうな顔をしていた。そして、箱の中にあった昔の台本を出してこう言った。
「今日は、脚本を考えるのに当たって、黒猫剣姫の為人を理解て欲しいですわ」
そしてこの日から、
ミミの娘達へのサプライズへの企画が始まった。
あまり時間もないので、
ぺらぺらと各自に台本を見て黒猫剣姫について理解を深めることとなった。
黒猫剣姫は都ので子供の人気はあるものの焔帝国を離れたり、子供向けの電影劇を見ない人にとっては聞いたことはあっても詳しくは知らないという人も多い。
エミリは一つの台本を見終えて、こう言った。
「それにしても、ミミさん...本当にこのセリフを言ってたんですか?
普段見るお淑やかでいかにも、お上品な奥様な感じの雰囲気や喋り方から想像がつかないですが...」
ミミはそれを聞いて、笑みを見せて深呼吸をして表情を普段のお淑やかな雰囲気から一変させて凛々しい表情を見せながらこういつもとは違う声を出してこう言った。
そうどこか、淡麗で凛々しい男のような女性の声でこう言った。
「ある時は心優しい令嬢。また、ある時はお菓子屋の看板娘、はたしてその真実の姿は....月夜に現れ悪を打つ、正義の使者、黒猫剣姫さぁ」
ミミはそう言って、エミリの顎を指でそっと持ちあげて瞳を見つめながらこう言った。
「さ、お嬢さん。私と一緒にここから逃げましょう」
エミリは顔を湯気が出そうなほど真っ赤にして恥ずかしそうな表情を見せてこう言葉を漏らした。
「あ、カッコいい...」
ミミは真っ赤になったエミリを見て笑みを浮かべいつものミミに戻っててこう言った。
近くにいたシュリムもカッコ良すぎるミミに見惚れていた。
「ま、こんな感じですわよ...って、エミリ大丈夫?」
ミミはそう言って上の空になってるエミリの顔を覗きながらそう聞いた。
それを見ていたアデルがため息をついてこう言った。
「あ、今のは確かに私も心にきたわ...エミリには刺激が強かったかも...」
ショウタはもこう感想を言った。
「先輩。すげーっす。普段、全然そんな感じ何のにあんなイケボでカッコいい感じになれるなんて...」
アルスはどこか、不満そうに頬を膨らませていた。
シュンテイは驚いた顔をしたまま何もいえなくなっていた。
エミリが突然、我に帰りこう言った。
「黒猫剣姫を電影劇で見ないと!」
エミリの目がキラキラと輝いていた。
そんなこんなで、特に進捗もなく第1回の作戦会議は終了したーーーー
タカノ「ミミって、女優だったのか?」
ミミ「そうですわよ。タカノ様に出会うまではお芝居をやってまして...電影劇女優として人気でしたのよ」
タカノ「へぇー(だから、皆、口を揃えてすげーすげーいうのか...)
今度、ミミの出てる作品を見てみたいな」
ミミ「え、恥ずかしいですわ(キャッハ)」
タカノ「でもなんで、女優辞めちゃったの?」
ミミ「タカノ様に出会ってしまったからですわ。タカノ様に『自主規制』や『自主規制』に『自主規制』なんかされて...」
シン「はいストップ!姉御!!それ以上言わないで」
ミミ「そうですわね...要約するなら、もう辞めたかったんですわ。忙しかったですし、タカノ様やみんなと一緒の時間を過ごしたくなったのですわ。
タカノ「なるほどな...そんな理由だったのか。
次回、英雄電影劇。乞うご期待!」




