踊る美しき殺人鬼は笑う-3 復讐の連鎖
「撃て!」
弔銃の銃声が響く中
タカノは国家憲兵隊の制服に身を包み、棺の中に眠る同僚を見送っていた。
戦友と言ったほどでほど関わりがなかったが、彼はタカノがレンジャー訓練で陸軍に出向中に起こった銃撃事件で仲間を救い出すために射線に飛び込み、帰らぬ人となってしまったーーー
その時は、あまり悲しみというのは感じられなかったが....
今回は話は別だった。
「火蓋を切れ....撃て」
タカノがそう指示を送ると、火縄銃を構えた義禁の兵士たちは空に向かって銃を撃った。
弔銃の響きと共に
お腹が大きくなったシャルは、
棺なきついて声を上げて泣き叫んでいた。
冬が近づいてきた知らせる冷たい風が吹き抜けていた。
赤い 武官束帯に身を包むタカノと黒い喪服に身を包むミミが見守っていた。
泣き叫ぶ、シャルを慰めようとリン・メイ・マオは優しい寄り添っていた。
タカノは、
ミミから離れてロウが眠る棺の前でこう言った。
「シャル。殺した奴は必ず見つける....」
シャルは、ゆっくりと深呼吸をして叫ぶのをやめたそして無言で頷いた。
「約束する」
タカノはそう言って、空を見上げたーーーー
今回だけは、
身内を失った、未来ある大切な部下を失った悲しみは耐えがたいように感じる。
イズミとシンタロウを奪われてから、自分では強くなっていたつもりだった...
でも、今回ロウを奪われ、悲しむシャルの顔を見てタカノの中には怒りと悲しみが溢れかえっていた。
顔にはそれは出ていないようだが、
そっとシンが歯を食いしばって、代わりに悔しがっていてくれていた。
ここで、感情をあらわにしてはいけないような気がしていた...
義禁大尉として、部下が残した仕事を終わらせるまではこの気持ちを抑えておこうと感じていた。
彼からの報告は実のところ詳しく聞いていない、
遺品に残された彼に手帳に書かれた、
『レン、笛、コ族』という文字だけがヒントになっていたーーー
あとは、2人の役人が殺されてロウがやられた際に2人の城衛の兵士の遺体も一緒だったというところだ。
共通しているには、すべて首筋を突くか斬るかで頸動脈を狙っているように思える傷が残っているようだった。
武器は傷口の入り込み方や、切り口からやら目撃情報から短刀であることも分かってる。
タカノは色々と思考を巡らせていると、
遠くからシュンテイの声が聞こえてきてタカノはその聞こえた方向に目をやった。
「旦那〜、また、殺しがありました!!
場所は雲龍街の貴族屋敷街でございやす!また、同じ手口でっせ」
タカノは今、
シュンテイを含めた、仲間を総動員で調べを進めていた、どうやら調査をしていたところにまた事件が発生したようだった。
タカノは、悲しみに染まるロウの周りを後にしてシュンテイの方に向かって歩き始めた。
「シュンテイ!場所まで案内してくれ。
手の空いてるものは来て欲しい」
タカノはそう呟くようにいうと、葬儀に参加していた義禁の兵たちはタカノの背中に追いかけるようについていき始めた。
ーーーーー
「いつもなら、いるんだけどなー....ここ数日感は、見てないんですよ〜」
タカノは呼び止めた雲龍街の茶店の店主にこの街の出来事を聞いていた。
この店主は黒社との仲介人で雲龍街はもとより、飲食店関連のことを取り仕切ってる幹部と近しい関係にある人物だ。
「その少年は黒社の関係なのか?」
タカノがそう聞くと店主は目線を逸らせて嫌そうな顔をして、話を変えようとしたので、
タカノは懐から金貨を三枚出して店主に握らせた。
普段だとあまりやりたくはない行動だがこの世界だとこうでもしないと易々と情報は教えてもらえない。
嫌そうな顔をするということは、あまり言いたくはない重要な情報でもあると感じたからだ。
「いやー武官様も本気のようで....こりゃ参りましたよ。
そのレンって半獣人族の子供なんですよ。
昔、他の幹部が使ってた手先の暗殺者らしく、
義禁庁様がその幹部を捕縛して死刑になってからというもの...
そいつは一人で黒社から追い出されるようになりましたね。
結構、黒社内での暗殺にも関わったらしく恨みを持たれてましたからね....
今起こってる殺しに関わるかかどうかわかりませんが、この雲龍街でよく笛の演奏をしていますよ」
「わかった。ありがとうーーーついでと言ってはなんなんだが、ここは茶屋だったよな。カリントウは売ってるか?」
タカノはそう言って、
懐から銀貨を一枚出して店主に手渡すとこう言った。
「売ってますが、50銭ですよ...銀貨1枚だとお釣りが多くないでしょうか?」
「手間賃だ。釣りはいらん」
「へーありがとうございます...武官様。これはここだけの話なんですが....その半獣人族に対して黒社が賞金をつけて首を狙ってるんですが、返り討ちに遭ってるようで.....
その少年かなりのやり手です。気をつけてください」
タカノはそれを聞いて、店主からカリントウの入った紙袋をもらった。
タカノは、
ふと色々な情報を聞き頭の中を整理しながら雲龍街から帰路に向かおうとしていた。
雲龍街で連続して起きた殺人事件の容疑者として半獣人族レンという少年が浮かび上がっていた。
その少年が暗殺者出身で黒社関係でかなりのやり手ですあることは城衛兵士を二人も殺し、義禁庁でも強い分類位入るロウを殺していることから判断することもできるーーー
あとは、
そのレンという少年を見つける事だろうと感じたその時だった。
タカノの背後から走ってくる音が聞こえて、
振り替えると美しく舞うように飛んでくる短刀を持った巫女の格好をした狐のような耳と尻尾を持つ半獣人族の綺麗な顔立ちをした少年がタカノに向かって飛んできていた。
少年か少女か迷いがしたが、骨格や身のこなし方そして笑い声から男性である事がわかった。
タカノは太刀を抜く時間がなく、
鞘のままで少年が突き立ててきた短刀を受け流した。
「ロウ様と一緒だ。強い人...でも、もっと強いーー」
少年は不気味な笑みを浮かべながら、
タカノから距離を取った。
その瞳からは、
ただの純真無垢な少年とは違う何か重く暗いものが見えていたーーー
中東で見た捕虜になった少年兵のように人間味を感じられなかったし、
イズミを奪われて復讐すること望んでた昔の自分を見ているような鏡を見るような感じだった。
「あ、旦那様も。ボクと同じ匂いがする...
暗殺者の目....殺人鬼の目をしてる」
少年もどうやら、
タカノを見て思うところがあるようだったーー
「お前はレンか?」
タカノは太刀を抜いて、
剣先を彼に向けながらそう尋ねた。
少年は、短刀を逆手で持ち替えて刃を眺めながら静かに口を開いてこう言った。
「うんそうだよ。ボクはレン....」
タカノはそれを聞いて、心から出てきそうな怒りの感情を堪えながら、刺さるような鋭い眼差しで彼を見つめこう言った。
「ロウを殺したのか?」
「うん。殺したよ.....だって、母さんと姉さんを殺した奴らと同じだったんだんだもん。
旦那様も一緒だよね......」
レンはそう言って、不気味すぎる歯を見せる笑みを浮かべて短刀を構えて再度突っ込んできた。
「姉さんのために殺してやるっ」
タカノはレンの首を狙った攻撃を横に捌いてかわして呟くようにこう言った。
「なんの復讐かは知らないが......」
タカノはそういうと自ずと頭に中に、
幸せそうなロウとシャルの姿を思い出してた。彼らの幸せを壊した張本人が目の前にいるのにタカノは思ったよりも冷静でいられたが、どうやら心の奥ではこの少年と同じような気持ちを持っているようにも感じられた....
手に持った太刀を振り下ろしにかかっていた。
太刀を振り下ろす瞬間、ふと少年と目があった。
その目はほんの一瞬だけ純真無垢な少年の目になっていた。
ほんの一瞬だったが目の前にいる女装した少年がリン・メイ・マオと重なり合った。
子供を斬るのは初めてだったのと、半獣人族であるのが関係したのだろう....
そして、復讐心に燃える過去の自分と...
レンはそのタカノの一瞬の隙を見て、物凄い速さで背を向けて走って夜の街の闇に消えていったーーー
タカノは太刀を鞘に納めて、ただレンが消えていった姿を眺めながらこう呟いた。
「動機は復讐か...」
ラハト「おーいこっちですよぉーロウさん」
ロウ「まさか、登場して2話でこっちのグループに入るなんて...」
ラハト「まぁーまぁ、気になさらず。今日は死亡と離反組へようこそ歓迎しますよ」
ロウ「うー....シャルに逢いたい。子供も生まれる予定だったのにぃー」
ジュナン「おいおい、俺なんか魔王軍幹部の牛の顔した使徒ってだけでその他の設定ねーんだから」
バルバリッチ「うんうん、私なんか。使徒ってだけで他に設定皆無なんですから...」
ロウ「あっ....」
アーチャー「俺なんてまだ、名前ねーからな!アルスとエミリめっ!うーん悔しい」
ラハト「まー皆さん。ここはパーッとして行きましょうよ」
ジュナン「それもそうだな」
イズミ「なーんで私もここにいるわけなんよ...一応、死んでもいけるけど...」
ロウ「ここで告知だけさせてください。次回、姉さんが帰ってきたをお送りします!
タカノ様とレンの心の動きはどうなのかお楽しみに!」




