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終劇はゆっくりと-7 それぞれの進む道


「これでよかったんだよな〜

魔王は倒したことで、義禁大尉の仕事は解任、冒険者業は廃業、都を出て行く時に長屋は譲渡....


残ったのは家族と着いてきてくれた家来と仲間だけだな」


タカノはそう呟きながら、馬車に揺れながら都を背に空を眺めていた。

解放された安堵はあったが、どこか忙しい日々が終わったことに少し寂しさを感じていた。


都での盛大な送迎会をやったあと別れを惜しみながら....

タカノは陽都を後にした。


義禁の部下達はそれぞれ故郷に帰るものや残留して引き続き義禁庁に残る者もいた。中にはタカノに着いて行きラシュトスタンへの移民をすると決めた者もいた。

次の義禁大尉が来るまでは、副長のチャン・セイゴが指揮を取って色々と整理をしていくそうだ。


城衛将のルウ・オンはタカノとワン・ディンサンの推薦を受けて、次期義禁大尉への内定が決まったという流れになったそうだ。

ちなみにそれに合わせて冒険者業を辞めたファン・イーロンは義禁伍長として義禁庁入りした。


シュンテイやタカノの息のかかった街のワルどもは、引き続き義禁と城衛との持ちつ持たれつで協力していくとのことだった。シュンテイにはラシュトスタン藩王国の窓口として色々と動いてもらう事にしている。

年も年になったので彼自身は泥棒家業からは足を洗うそうだが....


タカノに関わっていた都人の人々は鬼の義禁大尉が都をさっていく事を悲しくは感じていたが、

魔王軍の脅威が消し去った功績を讃えて、ラシュトスタンへ帰る事を快諾してくれているようだった。


都を去る際は頼んでもないのに沿道には多くの人が集まって、都を守って来た英雄...そして魔王を倒した功績者を見送ってくれたーーー


陽都にあった、官職もそうだが家も関わった人脈を置いて行くことになって多くのものを置いていく形になったような気がした。

禁軍武官ではないので、

ずっと気に入って来ていた赤い武官束帯も禁軍将校の鎧も太刀も皇帝へ返却という形になった。


ラシュトスタン風の服に着替えた自分を見てどこか寂しくは感じていたが....

忙しい日々が終わったことに安堵して遠くなる都を見ながらホッと息をついた。


「ラシュトスタン藩王って肩書だけが残ったけど...なんか寂しいもんだなーーーー


思い出深かった陽都にさよならか。でも....」


タカノはそう呟いて馬車の中で寝ている王女であるリン、メイ、マオと妃であるミミを見てこう言った。


「家族との時間がやっと取れることはすっごく嬉しい」


それを横で聞いていたシュリムとヒナタはどこか、朗らかな表情を見せていた。


馬車の外では談笑する護衛として雇った冒険者達のアルス、エミリ、アデル、ショウタ楽しそうに歩いていた。


それを見ていたタカノはアルスにこう声をかけた。


「ところで、アルス。お前さバルカルに帰って何するつもりなんだ?」


「え、えぇ...実は帰ることばっかで深く考えてなくって....」


「ふーんじゃあ。いいこと思いついた」


タカノはそう言うと、懐から紙を取り出してーーー

それをアルスに手渡した。


それを受け取ったアルスは首を傾げたが、それを除いていたエミリとアデルは目を丸くした。

そして、エミリが急にお辞儀をしてこう言った。


「王様!よろしいのですか!?」


当の本人のアルスは頭に『?』を浮かべてことの重大さを理解してないようだったーー

ゆっくりと紙を読み始めてから...驚いた表情を見せてこう言った。


「え、えええ!タカノさん!!いいんですか!?」


「いいも何も....魔王がいない以上冒険者ギルドも段階的に解体って話だし...そうなると冒険者業廃業したら仕事ないだろ?俺も冒険者としてアルスとエミリは抱えられないからだーーー


俺から魔王を退治した報酬として渡せる最大限のものだ。引き受けてくれるか?」


アルスはそれを聞くと腰を抜かして地面に座り込んだ。

タカノはシュリムに馬車を止めるように伝えて、馬車を飛び降りてアルスに手を差し伸べた。


「お前ならできる。エミリと協力してバルカルをいい場所にしてくれーー」


「「は!はいーー!!」」


アルスとエミリはそう声を揃えて答えた後タカノの手を握った。


「アデルは....バルカル公夫人はそれで文句はないか?」


「ないわよ。大賛成。でもアルスはバカだから妹と私でお手伝いしないとね」


それを聞いたタカノはアルスとエミリを見てこう言った。


「じゃあよろしく頼むよ。バルカル卿」


それを聞いてアルスは手を離してタカノに跪いて、エミリも同じように跪いたーーー


「まぁー共に頑張ってくれ。俺も王として爵位を出しただけだし手助けはする。ラシュトスタンでしばらく滞在して領主の勉強をしてくれ」


「「ははぁー!!」」


アルスとエミリはそう返事を返すと笑みを浮かべて顔を上げた。


それを見ていたショウタもどこか嬉しそうな表情を見せていた。そしてこう口を開いた。


「みんな、もうやる事が決まったんだーーー俺も決めないとな」


アデルがそれを聞いてショウタの横腹に肘を入れてこう言った。


「そんなこと言いながら、ショウタンもう決まってるじゃないの?」


それを聞いたショウタは静かに頷いてタカノの方を向いてこう言った。


「先輩。みんな、俺....前に世界に戻ってやり直したいです。

また向こうの世界で先輩みたいな英雄になりたいですーーー」


「ああ、その息だ。わかった、帰る日が決まったら教えてくれーーシンが連れてってくれるんだろう?」


タカノはそういうと、シンがこう言った。


「うん。転生勇者で元の世界に帰りたいって人はラシュトスタンに来るように言ってるんだ。まとめて天界に連れて行く予定だよ」


タカノはそれを聞いて、馬車に座って寝ているマオをあやしていたヒナタに声をかけた。


「ヒナタはどうするんだ?」


「旦那様!私は、この世界で残ります!姫様達のお手伝いをしたいです」


ヒナタはそう元気よく答えてくれた。

しかし、その声は大きかったようでマオが目を覚ましてしまった。


「ありがとうですの。ずっといてほしいですわ」


そう言ってマオはヒナタに抱きついた。

それを横目で見ていたミミもどこか嬉しそうな表情を見せていた。


リンとメイもマオが起きたことに気がついてヒナタに抱きつきに行った。

ヒナタはものすごく嬉しそうな顔をしているのをみてタカノはどこか嬉しく思えた。


「あぁぁ幸せぇぇ....」


ふと溢れたヒナタの言葉を聞いてタカノは笑って、少し嫉妬してるようにシュリムはヒナタに視線を向けていた。


それを見ていたタカノにショウタがどこか気になったそうな顔をしてこう聞いてきた。


「先輩はラシュトスタンでどうするんですか?」


「さぁー正直細かいところはわからん。家族と家来、仲間や友人達のために色々やるって感じだな。

何をすればいいかなんて今はわからない....でも、ショウタと同じで大元が決まってるからあとは動いてみるだけだな」


ショウタはそれを聞いて、どこか嬉しそうな表情をしてはにかんでこう返事を変えた。


「先輩もそうなんですね。実は俺も何すればいいのかなんて分からなくて....

帰ってヒーローになるって言っても何をしていいのだか」


「でも、それでいいんだよ。目的を持ってれば自ずと課題は見えてくるはずだ」


ショウタはそれを聞いて笑ってこう言った。


「そうですね。魔王を倒すって言っても結局、転生した当初は何すればいいかわからないです色々なことがったのと同じですね」


「そうだな、俺もそう思うよ。お互いに頑張ろう」


「はい。先輩!」


ショウタはそう元気よく頷いて答えた。

タカノはそれを聞くと馬車へ戻って、シュリムに進むように指示を出した。

一行はラシュトスタンに向かって足を進めて行ったーーー


タカノ「ラシュトスタンでみんな何食べたい?」


アルス「あ、羊の丸焼きを」


シュリム「いえいえ!僕が羊肉の餡を包んだ饅頭と塩茹でを作りますよ!」


エミリ「あ!それいいかも!香草に包まれた羊の味が....」


アデル「私は、ラム酒があればそれでいいわ」


ミミ「アデルはそういうと思いまして、2樽ラム酒用意してますわ。私はいつも通り、シンが作るタカノ様の故郷の料理があればいいですわ」


シン「うーん。わかったよ。で、シェフ長は俺でしょ?タカ兄は何食べたいの?」


タカノ「俺か....俺はなーレンバスかな。久々に食べたい」


シン「え、それ...宴会メニューじゃないじゃん」


タカノ「わかったよ。米と漬物でいいよ。というよりそれがあればがだ....」


ミミ「タカノ様がそういういうと思いまして、米と搾菜と白菜は仕入れてきてますわよ」


タカノ「ミミ!おおそれはありがたい!」


ミミ「タカノ様が喜んでくれるなら嬉しいですわ」


シン「あー白菜か...オッケータカ兄は懐かしいシンプルな日本食食いたいんでしょ。

オッケーオッケー用意するよ。


それにしてもさ、次回最終回だけど最後の告知は誰がするの?」


タカノ「じゃあ、俺だな。次回、家族との時間。

そうか、もう終わりなんだな...少し寂しいもんだ」


ミミ「でも、タカノ様?まだまだ、タカノ様の人生は続きますわよ」


タカノ「そうだな、家族との時間取れる時がやっときたわけか...それにしても、終わってしまうとあっという間だった気がするよ」


シン「なんかしみじみしてるけどあと1話残ってるからね!」


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