終劇はゆっくりと-3 魔王と関わった冒険者達
アデルとショウタは一歩先に魔王がいる城へとやってきていた。
他にもショウタと同じ異世界からやってきた日本人の剣士のケンタ、魔術師のミノル、アーチャーのアミ3人の勇者パーティも共にやってきていた。そして、魔王の配下になったミラの元仲間である魔法剣士のリルも合流していた。
6人のパーティはタカノよりも少し早くドネウ川を超えて西ロムルス領内に入り込んでいた。
ルリはどこか重たそうな顔をしていた。
それを見ていたショウタが声をかけたーー
「大丈夫。アデルもいるから心配ないよ」
しかし、リルは首を振ってこう言ったーーー
「違うんです....ミラが使徒になったってのを聞いててそれが信じられなくってーーーー」
「そうだ...ミラとはパーティメンバーだったんだよねーー」
「でもそれが本当なんですよね。なら止めないと...」
リルはそう言って剣を強く握ってどこか決心がついたような顔をしていた。
城の門前に着くとそこには、
白いローブに身を包む杖を持つミラと両脇にも同じ白いローブを見にまとった女剣士と斧を持った大男の戦士が立っていた。
「これは、ボス四天王のお出ましみたいだな!」
そうケンタがいうと冒険者たちはそれぞれ武器を構えた。
アデルはそれを見てどこか落ち着いた表情を浮かべながらこう言った。
「さて、多分。このチームならあの三人と互角に戦えそうね」
ミラがその言葉に対して、首を振った上で足元に魔法陣を発生させてこう言った。
「いくら、チート持ち異世界冒険者が束になっても勝てないわよ....覚悟が違うからーーー
私は....」
「ミラ!」
リルはそうミラに剣を構えながら呼びかけた、ショウタはそのリルの目には何か強い思いがあるように感じられて魔法の詠唱を始めようとしたアデルを止めた。
ケンタ、ミノル、アミもそれに気がつき前へ出るのを止めた。
「ミラ!もうやめて!一緒に故郷に帰ろ!!」
ミラはそれを聞いてどこか寂しそうな顔をしながらも首を振ってこう言った。
「ごめん、リル....もう、戻れないのーーー私はユウキを失って全てを壊すって決めて魔王側についたの。
私はこんな現実は信じない....受け入れたくもない。
魔王様は約束してくれた。失ったものを取り戻してあげるって」
それを聞いたリルは戸惑っていたが、アデルが吠えるように言って真っ赤な火属性魔法の魔法陣を展開した。
「それはまちがいよ。それは逃げてるだけ!!過ぎ去った時間はどんな魔法でも戻すことができないわ!!
そのためにあなたは何にもの人を傷つけてきたのを知ってるの!?」
ショウタは感情的に怒りを露わにするあまり見ないアデルを見て驚いたが、それと同時に今まで以上に感じたことがない魔力を感じて少し恐怖も感じていた。
「私は、私は...魔王に愛する夫を奪われたーーー
そして....私たちの子供もーーー未来も!!!」
アデルが感情的に怒りを露わにしてるのを見るのは初めてのショウタは驚いていた。
それを聞いたミラは目を閉じて胸に手をお置いてアデルに対してこう言ったーーー
「あなたも同じだったんだ。でも、あなたは私の夢のために邪魔をしてくるというなら戦うしかないーー」
ミラのその一言で戦いの火蓋が切られ、女剣士と戦士が突っ込んできた。
ショウタとケンタとリルは迎え打つ形でアデルの前に立って剣を構えた。
ミノルも魔法詠唱に入り、アミは女剣士に向かって矢を放った。
アミの矢を女剣士は剣で叩き切ったが、実はそれは幻影で遅れて2本の矢が女剣士の肩と腕に命中したーー
その隙を逃さずケンタが畳み掛けた。
「C級だって思っただろ?俺たちあの時から必死なんだよ、魔王を倒すって決めてからはなっ!成長した高校生舐めんなよ!!」」
甲高い剣と剣がぶつかる音が聞こえて火花を散らせた。
鍔迫り合いになり傷を負った女剣士はケンタによって崩されて、ケンタが繰り出した斬撃をもろに受けて姿が灰になって消えていったーーー
「レッサーヴァンパイアなら余裕余裕!」
ケンタはそう言ってミラの方へと向かっていった。
ショウタと戦士は攻撃の応酬を繰り返していたがーーー
ミノルの放った中級水魔法の攻撃で一瞬の隙を作ることができてショウタが頭から一刀両断して戦士を灰にしていた。
「いっちょ上がり!」
ショウタも残りのミラの方へと向かっていく...
ミラは詠唱を終えたようで、展開されていた魔法陣から人の形をした影の人物が現れてショウタとケンタに立ちはだかったーーー
「先輩さんと同じスタイル!?」
そう思わず声を出したショウタは影の魔物からの掌底をもらいのけぞっていた。
その影の魔物は手にナイフのような物を持っていてそれと格闘術を駆使してタカノが本来得意としている戦い方をしてショウタとケンタの前に立ちはだかった。
リルがその横を抜けてミラに斬りかかったが、ミラはそれを杖で受け流してリルを吹き飛ばしたーー
「なんとしても私が止める!!」
リルはそう言いながら立ち上がって詠唱のない火の玉を出す初級魔法を放ったーーー
ミラはそれをもろに受けるがダメージが受けている雰囲気はなかった。
「あなたには私を止められない...私はもう人間をやめたのーー異世界の勇者でもないあなたが私を止められないわ」
「それでも!私はミラを止めたい!!お願い!」
リルはそういうとミラにもう一度接近して剣を振りかざした。今度の斬撃は魔法でのバフをつけていたそれに気が付かずミラはもろにそれを杖で受け止めて杖を手から離した。
ミラはリルに向かって無詠唱で炎の柱を発生させる中級魔法を放ったーーしかし、それをリルはスレスレで避けてもうもう一撃に入ろうとした瞬間だったーーー
ミラは目を閉じ手を伸ばしてその剣を受け止めた。
使徒化したミラの手は剣を傷すらなく受け止めてそれを押し返してリルを吹き飛ばした。
そして....魔法陣を展開させて黒い翼を背中に出現させて使徒としての能力を解放させたーーー
しかし、それと同時にリルと戦っていたショウタや他の冒険者が驚くぐらいの熱風が吹き荒れて周囲の気温を一気の上げていったーーー
ショウタとケンタが対峙していたタカノのような魔物は身を守る姿勢をとってミラの前に立ち盾になるように位置取っていた。
火の粉が一面に散り始めて、この魔法が強力なものだというのがわかったーーー
アデルが詠唱する声がだんだんと大きくなっていくのにショウタは気がつき....
今までに聞いたことがない呪文だというのに気がつき咄嗟にこう叫んだ。
「リル!ミノル!防御魔法展開して!!!」
赤い火の粉が青色に変わり肌を指すような熱風が今この場にいる全員を包み込んでいた。
青色に変わった火の粉が街に白くなっていくのが目に入りショウタはポケットから防御障壁を出す魔法が書かれたシンからもらった巻物を広げて防御姿勢をとった。
アデルが吠えるような声でこう言ったーーー
「あなたが叶えようとしてる思いは知ってる!でも、それは偽りでしかない!!
ラルフはそれを教えてくれた!!!これは私の個人的な恨みもあるけど...同じ境遇の者同士のせめてもの情けっ!
一撃で終わらせる!!!
魔王アレン!!!
私の大切な人たちを傷つけた、その報いを受けろ!!!」
白い光が一体を包み込み灼熱の炎が魔物を包み込み、炎は巨大な翼の生えた龍に形を変えて空へと消えていった。
灰すらも残さない高火力の炎魔法はミラと魔物を焼き払って行ったーーー
後ろにあった城も半分は消失して、残り半分には残った熱で引火したのか燃え上がっているのがわかった。
アデルは全身から湯気を上げながら、肩で息をしてゆっくりとしゃがみ込みポケットからエリクシールを取り出してそれを一気飲みにしてこう言った。
「魔王!!!ぶっ殺してやる来なさい」
いつもの落ち着いた大人な雰囲気のアデルとは違う感情剥き出しのアデルがいるのに驚いたが....
空から力が抜けて動けなくなっておる翼に生えたミラを抱き抱えて、魔王がゆっくりと降りてきた。
ミラをゆっくりと地面に置いて呟くようにこう言った。
「ゆっくりと眠ってくれ....憎むなら俺を憎めーーー」
魔王アレンはそういうと腰にある剣をゆっくりと抜いてこう言った。
「アデル、許せ。これは全て俺が望む正しいと思う世界にするためだ。ラルフもミラもそのために犠牲になったーーー
俺は俺が正しいと思う世界のためにお前たちと戦う。
この世界を救うために剣を振るーーー来い!」
それを聞いたケンタが首を振ってこう言った。
「なんだよそれ!お前はたくさんの命を奪って多くの人を傷つけた....俺たちもそうだ!騙されたとは言え....その手先になってしまってた!何が世界を救うだ!」
アレンはそれを聞いて、鼻で笑ってこう言った。
「憎むなら俺を憎め。俺はそれを背負う覚悟がある!この世界を救うためにお前ら異世界人とそれに加勢する奴らを倒す」
タカノ「魔王との接敵があったのか?」
シン「うん!ここから近いみたい。急ごう」
タカノ「おい。全員準備はできてるな!」
シン「タカ兄!鎧、鎧!」
タカノ「ああ。ショウタ達が接敵したんだよな?」
シン「そうみたい。アデルからの魔力を感じる」
タカノ「分かった。とにかく急ぐぞ...魔王は強い。いくらあいつらがS級だからと言っても侮れない」
シン「そうだね...(タカ兄にとって、ショウタもアデルの仲間だもんね)。
次回、魔王 vs 異世界の冒険者達と仲間 乞うご期待」




