終劇はゆっくりと-2 かつてのアレン
アレンはだいぶリラックスした面持ちでタカノに身の上話を始めた。
「俺の名前はアレン・フォルグ。かつて存在したフォルグ族を統べる家系の王子として生を受けた。
幼少期にフォルグ族は侵略に来たロムルス=アルカディア帝国に降った。俺は、フォルグ族の族長の息子だったから、人質としてロムルス帝国である有力将軍の男のもとでロムルス貴族として過ごしてたーーー」
「境遇が似てるとでも言いたいのか?
俺はただの異世界人だ。たまたま、ラシュト家に拾われて...」
「まーまー話を聞け続きはある....俺はロムルス人として育ったが、見た目が違ってたし、純血のロムルス人じゅないことで皇帝の側で使える近衛にはなれず、辺境との騎士団に送られた....
まー個人的に色々とやらかしたこともあったがな....
俺はお前と立場が似ていたと感じる。
大国の中で差別を受けながら必死になって、生きてきたそうだろう?」
タカノはそう言われてふと自身のことを思い返してみた....
「なかったとは言わない。事実、俺が純血の焔帝国の人だったら今頃。黒旗衛将だろうな....
だが、俺は別にチヤホヤされることは望んではない」
「そうか、そこは違うのかもしれないな」
アレンはそう言うとどこか少し残念そうにしながらため息ををついた。そしてタカノがこう言った。
「俺には愛する家族や家来、仲間がいる。そいつらにために動いてるだけだ。あいつらの笑顔を見れることが俺の幸せだ」
「そうか...家族か。昔は俺もお前と同じだったーーー
共通点を見つけられたのは嬉しいところだ。
話を戻させてもらう、
俺は僻地...今のちょうど東ロムルス領に当たる場所に赴任した。そこで、隣国との戦争を通じて捕虜となって奴隷となったーーー
一応は将校だったから、ロムルス帝国軍団は俺の救出をするものだと思ったが実際は違ったな。
絶望したのは覚えてる。俺はロムルス人ではないことで結局は助けは来てはくれなかったんだ。
俺は自力で抜け出して、そこから人を集めた....
故郷に帰りたいと思ったからな、あそこなら俺の居場所はあると思った。
その旅の途中で、ある奴隷を買ったんだ。
俺は彼女を本気で愛したーーー
冷え切った俺の心を癒してくれて照らしてくれるようなそんな人だったーー」
タカノはそれを聞いて、イメージしていた冷酷非道で残忍な魔王のイメージとは違うことに少し驚いていた。
タカノは今まで罪人の嘘を何回と見ていてそれとは違うアレンの表情を見て嘘はなかったように感じられた。
アレンの話を聞いて、科挙で勉強した歴史の一節を思い出して彼にこう言った。
「それがアニスか。コシュカ族の家事奴隷」
「ああ、異世界人なのによく歴史を知ってるな。これだから焔帝国には毎度驚かされる....科挙を突破してきた優秀すぎる人材は文武関わらず本当に欲しい逸材だ...
そうだ、アニスだ。
とても美しく愛おしい人だった。でも、彼女は半獣人族と言う理由だけでロムルス国内で迫害を受けてた。
でもそれでも、そんなのを気に持つことなく明るくしていた。
俺はアニスを故郷に連れ帰ったが....
王子である俺が異民族との彼女との結婚なんて許されるはずもなかったーーー
俺はロムルス人の精神性を信じてたからな。
ロムルスの元ではいかなる市民は平等ってのを....
でも、その理想はその当時のロムルス帝国には消え去ってたーーー」
アレンはそう言って、またレンバスを手に取ってまた口に頬張った。
タカノもアレンが出してきたクッキーを手に取って頬張った。
「その先は俺も知ってる、お前はアニスを妃としてロムルス帝国から新しい国として独立を宣言した」
「そうだな。それであってる....
ただそんな平坦な話じゃなかった。俺の心はその頃から狂ってたんだろうなと思う。
アニスを消そうとする同郷の友を嫌だったが片っ端から殺した....フォルグ族を嫌うロムルス人も多く殺したな。
そのせいでアニスに嫌われてな....
アニスはきっと豊かな国を創れば認めてくれると思って俺は独立を宣言した。賛同してくれる仲間もいた....もう止められなかっただ。愛する者のために」
アレンはそして大きくため息をついてこう言った。
「俺は、誰も種族が違う見た目が違うという差別されない理想郷を作りたいと思ってた。
そこに色々な人物の思念が乗っかり大きくなっていったーーー
そして、俺は良くないものと契約を交わしてしまった。
俺が魔王になったのはそれだ。世界の負の感情から生まれる強大な力を俺は手に入れてそれを元手に長い間戦ってきたーー」
「そうか...」
タカノはアレンに話を聞いて圧倒されかけていたが、首を振って何か言おうとしたが言葉がうまく出なかったーーー
「俺とお前は似てる。虐げられて、それでも強く生きてきたーーー俺はお前とは戦いたくない。
俺はお前とは友人になれそうな気がしてなーー」
アレンはそう言うと手を差し伸べてきたのでタカノは席から立ってその手を握ることなくこう言った。
「いいや。俺とお前とでは根本が違うーーー
俺も望まずに多くを殺してきた。
だが、それは自分自身の感情や事情は関わってないーーー
俺は誰かのために剣を握り動き周り多くを斬ってきた。
それは国のため、家族のため、仲間のため
本当に俺自身のために人を殺したのは一度っきりだーーー
復讐の際に感情のままに仇を殺した。
だが、後味は悪かったーーー
残ったのは傷ついた心だけだった。
お前はそうじゃないはずだ。
感情のままに受け入れないからと言う理由で斬って斬ってを繰り返してきたんじゃないのか?
お前は言ったな、アニスに嫌われたとーーー
そのお前の行動は本当に彼女のためだったのか?俺はそうは思わない。
彼女はお前にそうはしてほしくなかったんじゃないのか...
歴史書にはアニスは最終的にお前を封印しようと動いたというのが残ってるそれが証拠じゃないのか?」
タカノはそう淡々と怒りを抑えながら言うとアレンは、感情を表すこともなく言い訳もすることも詫び入れることもなくこう呟いた。
「かもしれないな....俺の勘違いかもしれないな。お前はすごいなキリシマ・タカノ。
誰かにために自分を犠牲にできるなんてな...確かにその通りだ。
俺は俺自身の為だけに剣を振る長い間戦い続けてたかもしれない」
アレンはそう言うと席から立ち上がったーーー
それをみてタカノはこう言った。
「俺は自分を犠牲なんかしてない。俺は好きで与え続ける....そしてみんなが笑ってくれればそれでいんだ
アレン。俺は今はキリシマ・タカノじゃない。
お前の前に立ってる男は....偉大なるラシュトスタンを統べる王、タカノ・ウル・ラシュトだ」
アレンはそれを聞いてどこか何かを理解したのかどこか嬉しそうな微笑んでこう言った。
「確かにお前と俺は似て非なるみたいだな。対角線上に立つ関係かもな。
俺は自身を変えられなかった。お前はこっちの世界で自分を変えた。
俺は自分自身のことばかりだ。お前は自分のことは二の次だ。
遠くから見れば同じだったかもしれないが、俺とお前はみてる方向が違うのがよくわかった。
もうこの舞台から降りる必要があるかもしれないな。
話ができたよかったよ。お前になら俺は殺されても構わないと思ったーーー」
アレンはそう言うと背を向けて歩き始めた。
そして手を挙げてこう背中を向けたままこう言った。
「俺はこの先の城で待ってる。最後まで抗わせて欲しい...
そして、友であるお前に終わらせて欲しい。
お前なら、この世界によくしてくれそうだ」
ショウタ「魔王の城って遠いんじゃ...」
アデル「うーん。でもさっきの情報だと...このドネウ川の上流にある西ロムルスのプラグ砦にいるって言ってなかった?」
ショウタ「本当なんだろうか...だとしたら、めちゃくちゃ近くまで来てる気がするんだけどね」
アデル「じゃあ、ぶっ飛ばしに行きましょ....私は今すぐにでも、魔王を倒したいわーー」
ショウタ「あ...うん。(なんかいつもと違うけど...)」
アデル「心配しないでいいわよ。私たちだけだと心配だから...ヴィレでパーティの募集をしててここで待ち合わせてる予定よ。きっと力になってくれる人が来るわ」
ショウタ「うん。ならありがたいかもしれない!二人だけだと本拠地攻略ってのも辛いしね」
アデル「あ、きたきた。次回、魔王と関わった冒険者達。魔王との直接対決も近いのね....」
ショウタ「ついにここまできたんだ....」




