囲いの楽園
短くなってしまったのですが、前後関係により、こうすることにしました。
畑、畑、家々、畑、川、畑と進んでいたところから
徐々に森森、家、森森森、なんか小屋、森となって来た。
先頭を進んでいた勢子長田中氏の車が止まる。
「俺たちも行くぞ」
促されるまま、停車した軽トラから飛び降りて勢子長たちに加わる。
「こりゃいねえや」
会長、川島さん、そして僕が見聞する前に言われてしまう。
「岡本さんよ、こういうのを、塔が立ってるってんだ」
斜面を覆う法面コンクリートと法面コンクリートの間の、土の露出している所、その急な地面がやや崩れ、いくつか二股の蹄が残っている。
「そこから時間が出せなきゃ素人よ」
「え。分かるものなんですか」
トリックでもあるのだろうか。
田中さんが語り始める・・・流れだと思ったのだけど、案外あっさり終わる。
あ、とりあえず古いからここはダメってことか。
「三角の、行くぞ、早い方が良い奴だ。」
と会長。うん、猟師はせっかち。
話をぶっちぎってみんな車に乗り込む。
「足跡ってのは大きさで獣のサイズが、間隔と深さで状況がわかる。それはいいよな。」
「はい」
「だがそれだけじゃあない。周りの地面と触り比べれば、今みたいに雪氷霜柱なら、その前か後かが分かる。泥なら固まり具合、氷なら溶け具合、雪なら周りからの風でどれくらい埋まってるか。」
「見るのは足跡そのものだけじゃなくて、比較からわかることも多いんですね」
「そういうことだ。坊っきれで足跡突けば、自然と分かることもある。イノシシなんかなら臭いも分かったりするかもな」
さすがお師匠様。フォロー力高い。
感心していたら、目の前に鉄のゲートが。
いや、ゲートだけじゃない。フェンスの長さが結構凄いことになってる。
「最近すっかり増えたよ」
牧歌的なゾンビホラーで村を守るための防衛線かな?
「夜になると降りて来るんだ」
やっぱりゾンビじゃないですか・・・。
「奴ら村の中あたりめえに入りやがる。」
やだー!
「そんで畑を荒らしてよ。補助金出るからよ、みんなでどんどん囲むんだ」
「効果はあるんですか」
「村の中にいるんじゃな。全部の村でやりゃあいいがよ。道路からたりめえに入っちゃしょうがねえよ」
「それでもないよりましだべ」
鹿。
「だからよ、ここは鍵はかかってねえ。出入りするときはこのチェーンだけ巻き直してくれや。一応こっち方だけでも、無いよりましだ。」
「はい」
※本作品はフィクションです。
※実在の人物、団体、事件、地名、技術、科学的根拠を保証するものではありません。
※また、取材の過程で入手した情報が一部反映されていますが、
※別の地名・時代・人物の話を複合的に盛り込んでおり、実際の出来事や法律と一致するものではありません。
※法律・植生・科学的事実について裏取りが出来ていないものを含む「創作」「ファンタジー」であることをご理解ください。
※偶然書いてあることが何かに一致しても真実だったり嘘であっても著者は一切責任を負いません。
あと、猟師はせっかち。これはたぶんノンフィクションです。取材結果的に。




